【高口ようこ一般質問2022-1】子どもの権利から、新しい学校づくりを!

2022/11/29、練馬区議会、高口ようこの一般質問。

1つ目のテーマは、学校について!

増え続ける不登校は、子どもからのメッセージであり
学校制度そのものを見直すこと。

子どもの権利が保障され、学びたいことが学びたいだけ学べる環境に…!

そのためにも、区の考え方自体を改めること……。

具体的な方法とともに、質疑しました!


子どもの権利から、学校制度の見直しを

★不登校は、子どもからのメッセージ

昨年度、小中学生の不登校は24万人、過去最多を更新しました。
練馬区では1146人
コロナ前の2019年度と比べ、246人の増加です。

長引くコロナは、学校の根本的な課題を露わにしました。

なぜ、大人は飲みに行くのに、子どもの給食は黙食なのか。
マスクをつけろと言われたり、はずせと言われたりするのか。

そこに、子どもの声がどれほど聴かれ、
尊重され、反映されてきたでしょうか。

この間、私たちは、子どもの声から、
学校制度を変えてきたでしょうか。

千人を超える子どもが、学校に行けない、行かない。
これは子どものメッセージです。

学校制度そのものにNOが突き付けられており、
今まさに緊急に、学校のあり方を見直さなくてはならない。

その根本に据えるべきは、子どもの権利です。

★校則に、権利を明記しよう!

たとえば校則の見直しも、権利を拡充する方向で行われるべきです。

練馬区でも、生徒もまじえて校則を見直していると言いますが、

教育学者の池田賢市氏は、管理、罰則、自由の制限など、

学校は
「自然と子どもたちの権利を侵害してしまう可能性をあらかじめもたされて」おり

「校則を子どもたち自身がつくろうとすると、それまで以上に抑圧的な細かいものになってしまう~実践」があると指摘。

「本来、規則は権利を守るためにあり、校則には子どもの権利が書かれるべき

「学校で何ができるのかが校則に書かれなければ、学びの権利保障の場とはいえない」

と述べています。

権利が明記され、生徒自身にも根付かない限り、
生徒が校則を見直せば解決とはならないのです。

 

どのように学校を変えていくべきか。

子どもの権利、特に、学ぶ、休む、遊ぶ、参加する権利の保障
と、私は考えます。

 

子どもの学びたい気持ちから出発する

臨床心理士の武田信子氏は

もともと「赤ちゃんは主体的、探索的、自律的」

と述べています。

すべての子どもに、赤ちゃんの時から、学ぶ本能が備わっているのです。

 

子どもは、遊びと生活と学びが分離せず、生活や遊びの中で学びます。
だから学びは本来、生き生きした感情を伴います。
悲しみなどのネガティブな感情も含め、様々な生活体験の中で、脳が発達していきます。

子どもが本来持つ力…
学びたいことを学びたいだけ学べる環境を設定する。

教師はコーディネーターやファシリテーターとなる

その方法は、すでに各地で実践されています。

★イエナプラン教育の実践

たとえば、オランダのイエナプラン教育。

昨年夏、私は、イエナプランの研修を受けた先生を招き、
子ども自身が決めたテーマを自由に研究する学習会を開きました。

参考イエナプランの実践!「なつのがっこう」開催レポート

「何秒レンジでチンしたら、チョコレートはどのくらい溶けるのか?」
など、自分で決めた問いをもとに
どんどん問いを生み出し探求し、
オンラインでもこんなに学べるのか、と感動しました。

★映画『夢みる小学校』

練馬区の小学校の校内研修会でも上映された
『夢みる小学校』というドキュメンタリー映画は、

きのくに子どもの村学園の生徒たちが
目を輝かせ、夢中になって学ぶ姿が印象的です。

参考『夢みる小学校』

全学年異年齢クラスで、授業の半分はプロジェクト学習。

子どもだけで大型遊具を設計して完成させたり、
畑を耕すところから始め、1年かけてそばをつくったりします。

「おいしい麺をつくるには算数が必要」で、
算数、理科、歴史、地理と、好奇心から学びが広がります。

「きそ」の時間で学んだことを整理しますが
テストはなく、成績で順位付けもしません。

大人も子どもも同じ1票を持ち、学校のことを決めます。

校長先生は「学校は楽しいだけでいい」と言い、
子どもの自由を、大人が全力で尊重します。

疲れたらソファで眠ったり、先生がおんぶ。

学校を楽しく、自由にすると、自然と成績も伸び、
卒業後、高校での成績は上位。

この学校は私立ですが、
文科省の学習指導要領に基づいており、

公立でも、長野県伊那小学校など、
プロジェクト型学習に取り組む学校もあります。

 

1Q:プロジェクト型学習中心の学びへ、転換を!

練馬区でも、生徒自身が考えて決める、
プロジェクト型学習中心のカリキュラムへ転換すべきです。

  • 当面は、総合学習の時間を増やすこと
  • 小規模校のよさを活かし、小竹小学校や旭丘小中一貫校などをモデル校にすること

新しい学校づくりについて、見解を伺います。

練馬区A(教育振興部長)
  • 練馬区は、野党にだけ、教育長ではなく、その下の部長が答弁します
  • その差別的な対応も踏まえて、ご覧ください
  • 区立小中学校では、総合的な学習の時間において、横断的・総合的な学習を通し、探求的な学びを深めながら、自己の生き方を考える資質や能力を育んでいます。
  • 今月、区の研究指定校として全国に授業を発表した開進第三小学校では
    • 令和元年度からの4か年にわたり
    • 課題研究に取り組み
    • 農家の方々との対話から、児童自らが美味しい野菜作りに興味をもち
    • 課題を見付け、解決策を見出しながら収穫する等
    • 主体的に活動に取り組む探求的な学習を推進
  • 今後も、このような特色のある取組を研修会等を通じて全校に広げ
  • 学校の規模にかかわらず、地域の特性を生かした独自の教育活動を推進
  • 各教科等の授業時数は学校教育法施行規則で定められており(※)、総合的な学習の時間を増やす考えはありません。
  • 高口注:開三小の取組みはよいことと思います!それを否定するわけではありません!
  • が……そもそも、生徒自身がテーマを決めるところから!やるべきだ、というのが、そもそもの今回の質問の主旨です。
  • 学校が決めたその時点で、生徒主体ではなくなる…
  • 本質的な主体的な学びを、教育委員会には考えて頂きたいと思います。
  • ※学校教育法施行規則とあり、まるで禁止されているかのような言い方ですが、実際には公立でもプロジェクト型学習をやっているので、可能なんですよ~!

 

「適正」という違和感

★不登校実態調査

今の不登校対策にも様々課題があります。

11月22日の文教児童青少年委員会で不登校実態調査の結果が出、
中学卒業後、不登校経験者の8割が、現在の生活が「よくなった」と回答。

教育長は、高校で「心機一転」「人生をリセット」する子もいると発言しました。

参考【練馬区】不登校実態調査の結果…

よくなったと答えた経験者がいることは安堵しますが、

  • 4分の3が調査に答えなかったこと
  • わずか15歳の子どもが、人生をリセットしたくなる小中学校をつくってきた責任

を、重く受け止めるべきです。

★適応、適正…数字ではかれるの?

教育長の発言と同様に、区の子どもへの見方にも、疑問があります。

象徴されるのが、「適応指導教室」という言葉です。

答えのない時代に生きるための学びとしながら、
「適応するよう指導する」という。

何が正解かを決めつけ、その枠の中に子どもをくくる。
学校を変えずに、子どもを変えようとする。

だから枠からはみだし、はじかれる子どもが出るのではないでしょうか。

他にも、「適正」という言葉をつかい、

「学校は~児童・生徒の豊かな人間性や社会性を育て~る場」
「適正規模を確保し~適正配置を進めていく必要」

と言います。

小規模校では豊かな人間性が育たないかのような表現で、
子どもに失礼です。

人間性や社会性は、誰がどう判断できるのでしょうか?
数字ではかれますか?
数字ではかれない力を育てるのではないですか?

 

2Q:子どもを枠にはめる言葉、考えをやめて!

「適応指導」「適正」という言葉に表れる大人の考え方のほうこそ、”適正”すべきです。

すべての子どもを受け入れる学校にするために、
子どもを枠にはめる言葉や考え方を改めて頂きたい。

お答えください。

練馬区A(教育振興部長)
  • 適応指導教室事業は、国が不登校対策として全国自治体に導入を進めてきた事業の名称です(※1)。
  • 区では、適応指導教室で児童・生徒の日々の状態を観察し、保護者とも情報共有したうえで支援方針を決定するなど、一人ひとりに寄り添った支援をしています(※2)。
  • 先日公表した不登校実態調査では、適応指導教室を利用した方の約9割が利用をして良かったと答え、生活満足度も高いなど、支援の効果が実証されています。
  • この結果を正しくご認識ください(※3)。
  • 学校は、学習だけでなく生活集団としての目的があり、一定規模の集団の中で児童生徒を育成していくことが重要です。
  • こうした観点から、学校教育法施行規則では、学級数の標準を12以上8以下としているものと認識しています(※4)。
  • 学校運営を行う上で、適正な規模を確保し、良好な教育環境を整える必要があります。
  • 適応指導や適正の言葉を「子供(※5)を枠にはめる言葉」として捉えることは、議員の曲解であると考えます(※6)。
  • ※1:まず、事業の名前は国のせいのように言っていますが、練馬区でその事業名のままにするかどうかは、区の判断ではないでしょうか? そして、この言葉でいいと思える時点で、子どもへの見方を見直すべきだと私は思います。
  • ※2:一人ひとりに寄り添うといいながら、こどものことは「観察」するだけで、方針を決めるのに、当事者である子どもの声は聴いていないという答弁に驚きます。子どもは単なる観察対象だと思っているのでしょうか?
  • ※3:そもそも私の質疑に正面から答えていないのに、こういう嫌味な答弁を必ず入れてくるんですよね…答えられないからなのかな…(;^^)
  • ※4:その国の規則に従うかどうかも、区が主体的に考えるべきことです。少人数や小規模校のよさがあり、小さい学校だから合う、という子どもも、必ず存在します。
  • ※5:区の原稿ママで「子供」としました。「子ども」「こども」と書きましょうよ…子どもはお供えものではありませんよ~
  • ※6:学校からはじかれた子どもたちの目線に立って頂きたいです。曲解と言い切ることこそ、曲解です。

 


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