高野台保育園民営化、どうなる?光和小・橋戸小・大泉桜学園がねりっこに…他【文教児童青少年委員会・2024/6/14】
2024年6月14日、練馬区議会・文教児童青少年委員会のレポート!
★【議案】光和小・橋戸小、大泉桜学園→ねりっこ化
★【議案】保育士配置基準の引き上げ
★『高野台保育園 民営化実施計画(案)』
★指定管理者の継続→①石神井図書館②谷原フレンド&谷原あおぞら学童クラブ
の4点です!
【議案】光和小・橋戸小、大泉桜学園→ねりっこ化
第49号 練馬区立学童クラブ条例の一部を改正する条例 第50号 練馬区ねりっこクラブ条例の一部を改正する条例
学童条例、ねりっこ条例を一部改正する…という議案です。
内容は、
- 大泉桜学園:すでに校内学童あり→ねりっこに
- 光和小・橋戸小:校内学童なし→いきなりねりっこに
という、3校のねりっこ化です。
★大泉桜学園学童は…
大泉桜学園は、すでに校内学童があり、59名在籍。
ねりっこでは、60名を上回るセカンドスペースを確保すべく、調整中です。
また、既存学童の別棟が、東側にあるため、近い場所にセカンドスペースを確保したい、学校と調整中とのことでした。
★橋戸小、光和小は…
橋戸小は60名、光和小は90名の定員の予定。
人数の多い光和小については、1FのPC教室を改修して学童室にし、算数室や家庭科室をセカンドスペースとして使用する予定。
高口からは、ねりっこが過密にならないよう、対応を求めました。
★学童申請が増加見込み→区立学童は残す
現在の学校外学童の在籍は、
- 光和小→石神井児童館学童31名、石神井町学童クラブ51名、民間の明光キッズ27名/待機児童9名
- 橋戸小→三原台児童館学童49名
練馬区の学童の申請率は(1-3年生)、全体で45%ですが、光和小は現在30%台。
ただし、ねりっこになると申請率があがる傾向にあり、光和小も今後、50-60人申請が増えると見込んでいます。
今回は、他の区立学童をつぶさず、残すこととなりました。
(そのこともあり、今回の議案には賛成をしました)
高口としても、ねりっこにしても、他学童を閉鎖せず、さらに枠を増やすよう、求めました。
★学童待機とねりっこプラス
学童の申請率は、ねりっこ開始の2014年の27.5%から
→2019年35.1%
→今年度45.1%と、
3000人規模で増加。
学童の待機児童は、一時期387名まで悪化しました。
一方で、待機児童は、令和6年度(5/12時点)で、164名まで減少。
ただしこれには、「裏」があります。
ねりっこで待機が発生した場合に実施される「ねりっこプラス」。
これに登録すると、待機児童からはずれることが、大きく影響しています。
ねりっこプラスは、あくまで待機児童対策。
ねりっこにしてもなお待機児童が発生していること、学童の枠がまだまだ不足していることの証拠です。
ねりっこプラスの問題も、今後しっかり見ていく必要があります。
★残り3校→小竹小の問題!
今回の議案により、ねりっこになっていない学校は、豊溪小、旭丘小、小竹小の3校のみとなりました。
豊溪小、旭丘小は改築が予定されています。
つまり実質、ねりっこになっていない小学校は、小竹小だけ。
統廃合問題によって、振り回され、置き去りにされ、学童さえ作ってもらえない小竹小の保護者、児童……あまりにも不公平です。
一番近い民間の学童も、1年生でも入れない状況と聞いています。
これを放置している練馬区の責任は、あまりに重い。
にもかかわらず、他委員の「ねりっこの早期設置を」の要望には「全校実施に向け、引き続き取り組む」と答弁。
であれば、自らの答弁を誠実に履行すべきです。
この状況を重く受け止め、一刻も早い学童設置を、強く強く、求めました。
【議案】保育士配置基準の引き上げ
第51号 練馬区家庭的保育事業等の設備および運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
4-5歳児の国の保育士配置基準が、なんと戦後75年を経て、初めての改善…!
高口としても、喜ばしいという気持ちと、「ようやく」という気持ち、「まだまだ引き上げを!」の気持ちがないまぜです。
今回の議案は、「家庭的保育事業等」のうち、小規模保育事業、事業所内保育を引き上げるもの。
- 3歳児:20人に1人→15人に1人
- 4-5歳児:30人に1人→25人に1人
ただ、お気づきの通り、小規模等は2歳児までのため、練馬区に、対象となる保育園はありません。
※認可保育園の基準は、東京都のため、都条例が改正されます。
★区としてさらなる保育の質向上を!
実は、区では、すでに独自の加配をして、国基準より上乗せの基準にしていました(東京都では、加配している自治体が多いと思います)。
そのため、今回の国の保育士配置基準の引き上げは、あまり影響がなく……
区立は、独自の基準で、すでに新基準を満たしており、
私立園も、134園のうち133園は新基準を満たし、残り1園も新基準を満たせるよう支援に取り組むとしています。
であれば!
さらなる保育士配置基準を上乗せ、加配をし、保育の質向上を!
国より先に、国に先駆けてやるよう、求めました。
(練馬区の答弁は「国の配置基準だから国が行うのが原則、国の動向を重視」という答弁でした)
『高野台保育園 民営化実施計画(案)』
今回の最も大きな問題です……
これまで民間委託を進めてきた区立園を、ついに、民営化、完全な民間園、私立園に移行するというもの。
練馬区では、この高野台保育園が、初めてとなります。
今回、『練馬区立高野台保育園 民営化実施計画(案)』が提示され、
区立園の民営化をどう考えるか、どうあるべきか、様々な論点が見えてきました。
【論点1】元区立園だから特別待遇?土地も建物も無償、建て替え費用も補助…
計画案では、「運営の安定性・継続性を確保するため」
- 土地を無償貸し付け(30年間)→評価額は約5億6千万円
- 建物は無償譲渡→約1億9千万円
- 大規模改修等の経費が不足する場合→区が補助を検討
…としています。
当然、一般の民間園にはこれらの支援はありません。
【論点2】運営経費の「弾力運用」で、人件費率はどうなる?
区立園であれば、大規模改修等は、練馬区が出します。
事業者負担はありません。
一方、民営化されると、事業者は「補助金から、経営努力により改修等の積み立てを行う」ことになります。
練馬区の基準だと、約40年を目途に大規模改修。
高野台保育園は現在築30年です。
つまり、あと約10年で、積み立てなくてはいけません。
補助金が、「弾力運用」という形で、改修費等に回さざるを得なくなります。
①現在の人件費率と、
②今後、人件費率についての協定は結ぶのか?の2点を質疑したところ
- 人件費率→手元に資料がない(あとから個別回答→現在まで回答なし)
- 協定については回答なし(結ばないということでしょう)
ということで、人件費率が下がらない懸念は、払拭されませんでした。
【論点3】財政効果、あくまで「区」にとって…
民営化すると、国と都の補助が入り、区の負担額が減ります。
※後から画像入れます(資料UP待ち)
国も都も、みんなの税金であることに変わりはないのですが……
練馬区としての経費が浮いたぶんを、どこに回すのか?が問われます。
区は「子育て支援の充実、在宅家庭の子育てを支援していくスタンス」
「経費を振り分ける考えを持ちながら」
「子育て支援を充実させていく」
としています。
はっきりと、いくらをどの事業にまわすかまでは、答弁がありませんでしたが、
「保育園にかけるお金を、在宅子育てに振り向ける」
という意向が読み取れます。
子育て世帯同士で財源を奪い合うような考えでよいのかどうかが、問われます。
【論点4】運営の安定性と協定の内容
民間園になるということの最大のデメリットは、経営のリスクを負う、ということです。
区立園であれば、直営だろうと委託だろうと、経営的につぶれる、ということはありえません(まあ、谷原保育園のように、区自らつぶすことはあるわけですが…苦)
この間、他自治体では、突然の閉園、保育士の一斉退職などが報道されてきました。
万万一、事業者が運営を大きく変更する、経営の理由などでやめざるを得なくなるといった場合、区はどのような対応をとるのか?
区が再度運営を引き継ぐ等を協定に盛り込むのか?は、当然、とても重要な点です。
しかし区は
「今後30年は少なくとも運営頂く前提で対応」
「撤退した時の仮定の話の具体的な対応は申し上げられない」
と答弁。
しかし、30年後の状況が、誰にわかるでしょうか?
万万一を想定した協定、何よりも、何かあった場合に園児が困らない対応を、協定に盛り込み、担保しておくことが必要ですが、区にはその想定がないことがわかりました。
そもそも、私立園に何かあった時、緊急の対応にあたるのは、区立直営園の、区職員の保育士です。
しかし今後、民間委託、民営化を続けていった結果、いざという時対応できる職員自体がいなくなるでしょう。
30年後の保育がどうあるべきか、安定をどう担保するかが、問われています。
ただ……他の区立施設の事例を見ていると、「次期指定管理は受けません」と突然言い出し、委託から撤退してしまう事例が複数起きています。自分たちの経営でない分、委託のほうが、事業者が手を引きやすいのかな?とも感じています。
第一、練馬区自身が「やめた」と廃園しようとしている谷原保育園のように、必ずしも区立園だから安定とも言えず…(経営面でつぶれる心配はない、というだけで)。
子どもにとっての保育の安定性という観点で、民営化をどうとらえるかは、難しい問題です。
【論点5】職員の継続性
上記のとおり、高口は、民営化に関しては、頭ごなしに反対一択ではありません。
(それを見極めるために今回質疑したのですが、区の答弁が不安になるものばかりで困っています…)
「民間委託」の場合の最大の反対理由は、「職員が一気に入れ替わり、子どもたちに大きな影響が出ること」です。
今回の「民営化」では、同じ事業者が引き継ぐ予定なので、それは起こりません。
(練馬区の障害施設等では、民営化予定の直前に、事業者が交代することが起きています)
子どもたちにとって、同じ先生がいて、保育が安定することが一番です。
区は、高野台保育園は14年前からの委託運営で「職員が継続雇用され、スキルをあげた」とも答弁しました。
一方で、離職率について尋ねると、
過去3年で、
- 2020年:6%
- 2021年:5.5%
- 2022年:11.4%
となっています。
「他園に比べて高いわけじゃない、平均かそれ以下」との区の説明でしたが、毎年5~11%変わっていれば、14年たてば計算上、かなりの入れ替わりがある数字です。「職員が継続雇用でスキルをあげた」という説明だけで、安心はできません。
【論点6】保護者の声
高野台保育園の民営化についても、保護者が「継続して運営してもらいたい」と要望したことが「大きな要素」だと答弁しています。
一方、高野台保育園以外で、民営化の候補にあがっている委託園の保護者や事業者からは
- 区立園でいたほうがいい
- 委託園のほうが運営が安定するので、委託のままがいい
という声も聴いています。
高野台保育園の保護者からの意見は、職員配置が変わることへの懸念や、「変わらないこと」の保証についてだったそうです(私もそのとおりだと思います)。
運営が区立でなくなることによって、どのような変化や影響があるか、しっかり保護者に説明しているのかというと、
区は
「運営が不安定になる前提の聞き方をしていない」
「保育士配置、現行サービスの継続の説明を重ねてきた」
と答弁。
私がここで述べたような、民営化に伴う様々な論点については、保護者には説明していないということです。
同じ事業者がよい、という点は私もそう思いますので、様々なことをきちんと説明して保護者にご判断いただくことが大切です。
そして、継続性を求める保護者に対しては、民営化に伴う問題が出ないよう、協定等できちんと担保することが重要です(が、それをやるという答弁はなかった)。
【その他論点】
- 「民営化後も、延長保育、障害児保育、地域交流事業等の保育サービスを維持」としているが、「等」の中身、つまり具体的にどのような保育サービスが維持されるのか、全貌が不明
- 「等」の中身について質疑したが、「区立委託園でやっていることを包含」「様々ある」との回答。
- 「包含」…すべてを継続するのだとしたら、民間園になって、自由に運営してもらう意義自体が逆になくなってしまうが…
- 障害児保育は枠を設けず(定員とは別)に、受け入れを拡充、とあるが…
- 実際には「職員体制」などで「事業者と調整」
- 職員体制が整うかがカギとなる
- 「協定の内容は必要に応じて、区と民営化事業社とで協議を行い、見直します」という一文
- 悪い方向で、恣意的に利用することもできてしまう一文
- 区は「サービスの拡充」「法令根拠、規定の改定」を想定していて、悪く使うつもりはもちろんないのでしょうが、たとえば「障害児保育をやめる」等の見直しも可能だということで、注意が必要です。
- (谷原保育園のやり方を見ていると、やめてほしくないとどんなに保護者が言っても、勝手にやめてしまうことがあり得ると思っています…)
指定管理者の継続→①石神井図書館②谷原フレンド&谷原あおぞら学童クラブ
5年の指定管理の期限を迎える2つの施設について、どちらも公募なし、継続する、という案件。
練馬区の指定管理は、問題がなければ、基本2回まで公募なし、「継続」という形がとられるのが通例です。
①石神井図書館
5年前、ついに直営から指定管理となった石神井図書館。
指定管理者は、図書館流通センターです。
★職員の入れ替わりは?
5年前からいる職員は、73.9%。館長は変わらず。
★区内雇用58.7%(4年間平均)
区では毎年、指定管理者の施設の「モニタリング」を行っています。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/shiteikanri/monita_keka/index.html
指定管理の最終年度は、5年間を振り返る「最終総合評価」が行われるのですが、それによれば、区内雇用者は4年間平均で「58.7%」。
内訳を聞いたところ、常勤のみ45名で、うち有資格者は28名とのことでした。
★直営図書館は残り2つ…
5年前まで石神井図書館では、区職員の図書館研修を行っていました。
現在、コロナのため座学が中心とのこと。
研修は光が丘図書館に移りましたが、今年度から、練馬図書館でも行っています。
その理由として、
区「利用者が多いところ」だから「業務の妨げにならないよう少人数で」研修を行うため、と答弁しました。
しかし、今後、練馬図書館は建物の大規模改修後、指定管理にするとしています。
練馬図書館でも研修を行えなくなるということです。
「業務の妨げ」は、どうするのでしょうね?
練馬区の図書館のあり方が、問われます……。
②谷原フレンド&谷原あおぞら学童クラブ
こちらは、引き続き、「社会福祉法人 手をつなぐ育成会」が継続することとなります。
2施設とも、議案としては、今年の第4回定例会(12月)の議会に提出される予定です。
時間切れで、残りの案件は、6/18に持ち越されることになりました。また別途レポートします!