【高口ようこ一般質問2023-3】新しい教育、新しい学校に変えていこう!
2023年度(2024年2月14日)、練馬区議会、高口ようこの一般質問。
3つ目のテーマは、新しい教育、新しい学校のあり方について。
こちらも毎回一般質問で取り上げ、つい長くなるテーマです(普通の委員会では案件として出してくれないので……)。
★教員のあり方…「グループリーダー」について
★一斉授業から探求学習、協働学習中心に!
★コミュニケーション教育、演劇教育の実践を
★「やらされる式・行事」の見直しを
★「”今”の幸せ」を大切にする教育に
★ダメすぎる『適正配置方針』
について、訴えました。
★録画放映はこちら
↓以下、質疑です。
【テーマ3】新しい教育、新しい学校に変えていこう!
① 教員の役割→グループリーダー
教員の役割や姿勢を変えることも、
学校や教室の風通しをよくし、暴力防止につながると考えます。
練馬区のある学校だよりでは
「言われたことは1秒でやる」ことが「ルール」
だと紹介されましたが、
先生と生徒は上下関係ではないはずです。
オランダから広まったイエナプラン教育では、
教員は「先生」ではなく「グループリーダー」と呼ばれ、
ファシリテーターやコーディネーターの役割を担います。
Q1
往来の「指導」的役割でない、
「グループリーダー」の意義について、見解を伺います。
【参考】イエナプラン教育とは(日本イエナプラン教育協会HP)
>担任教師はグループ・リーダーと呼ばれグループの一員であるとともに、リーダーとして子どもたちの発達をファシリテートする。
② 学校のあり方を変えよう
発達支援で有名な星山麻木(あさぎ)・明星(めいせい)大学教授は、
今の学校は
「採寸せずに、みんながMサイズを着るようなもの」で、
「多様な学びのデザイン」に変えることが、
「学校の苦しさをなくすため」にも必要と仰います。
一律授業のままだと合わない子が出るのは当然であり、
不登校を減らすヒントも、ここにあります。
兵庫県豊岡市で演劇教育を公教育に採り入れた立役者である、
劇作家の平田オリザ氏も、
学校のこれからについて、
- 国語算数などの教科は個別で学び
- 体育、音楽など、「学校でしかできないこと」
学校本来の役割に立ち返るべきと提案します。
渋谷区では、「未来の学校」をコンセプトに掲げ、
来年度から全区立小中学校で、午後の授業を
探究学習「シブヤ未来科」に振り向けます。
教育に理解ある区長かどうかが、
自治体の未来を決めると言っても過言ではありません。
Q2-1
練馬区でも、教科学習は個人に合った自由で多様な学び方を可能にしたうえで、探求学習や、協働の学び中心に、カリキュラムを再編成すべきです。
Q2-2
大泉学園中学校では、イエナプラン教育校の大日向中学校長を講師に迎え、教師主導でない対話的な学びの研究を進めており、素晴らしく、ぜひ全校で取り組むよう求めます。
お答えください。
③ コミュニケーション教育の実践を
また、先進国で唯一、日本で行われていないと言われる演劇教育、コミュニケーション教育は、新学習指導要領「対話的な学び」の実践でもとても有効です。
先述の豊岡市では、実際に進学実績も上がったそうです。
練馬区でも、光が丘夏の雲小学校で、
「文化庁・コミュニケーション能力向上事業」の一環で
「演劇の手法を活用したコミュニケーションWS」を実施。
2016〜22年度、5年生が、コミュニケーションゲーム等をしました。
Q3-1
ぜひ練馬区でも、この画期的で先進的な事例を各校に広め、
文化庁への申請を促してください。
Q3-2
今年度は文化庁への申請が不採択だったことを踏まえ、練馬区独自でも予算をつけ、コミュニケーション教育を実施すべきです。
お答えください。
④ 行事のあり方も見直しを
学びの集大成である卒業式には、
生徒が一斉にザッと立ち、ザッと座ります。
あのザッザッという訓練は、誰の何のためでしょうか?
合わせることが苦手な特性の生徒のことは、考慮されているでしょうか?
映画『夢みる小学校』の、きのくに子どもの村学園では
子どもたち自身が運動会や入学式、卒業式を運営。
笑顔とあたたかさ、自分らしさにあふれた式です。
Q4-1
「やらされる式」から、
生徒がやりたい式、自分らしさが活かせる式へ、
行事のあり方を見直すべきです。
Q4-2
また、等間隔に椅子を並べるのも”学校あるある”ですが、
整然と列に並ぶと、逆に見づらくなり、非合理的です。
子どもにまかせて座らせると、自然と同心円状になり、
小さい子は前、大きい子は後ろへ行き、
それぞれが見やすい位置にいくと、現役教員が証言。
誰もが参加しやすい環境こそが最優先であり、
並ばせない、列をつくらせない合理性を周知すべきです。
見解を伺います。
⑤ 「今」を大切にする教育
「まず子どもを幸せにしよう、すべてはその後につづく」
教育家・ニイルの言葉です。
校則をなくしたことで有名な桜丘中学校の元校長、西郷孝彦氏も、
「将来ではなく、子どもが“今”幸せであること」
こそが大切だと強調します。
Q5
受験のために今我慢する、いい会社に入るために今我慢をする…
「将来のため」ではなく、「今」子どもたちが幸せかを最も重視して
学校の運営やルールを見直すべきではありませんか?
考えを聞きます。
⑥ 適正配置ダメすぎる
新たな学校像こそ求められるなか、
練馬区が出した『適正配置方針』には、絶望しかありません。
統廃合で友達と離れ離れになる、通学距離が遠くなる、
この方針のどこが、教育環境の向上なのでしょうか?
Q6
練馬区が、学校で育む能力として挙げた「思考力、表現力、判断力、問題解決能力」や「社会性」は、そもそも数値化できません。
にも関わらず練馬区は、一定規模が必要としています。
それらの能力が、12-18クラスという「適正規模」だとより身につく
という科学的・客観的・合理的な根拠を、具体的に提示ください。
【参考】練馬区の学校統廃合 学校つぶしが本格化!?『第2次区立小・中学校 および区立幼稚園の適正配置基本方針』素案
この質問の前提にしている『適正配置方針』の問題は、ぜひこちらをご覧ください。
練馬区答弁
<A:教育振興部長>
A1「教員の役割について」
教員には、日常的な指導の中で子供一人一人の良さを認め、主体的な学びにつなげる支援を行う職責があります。
練馬区教育・子育て大綱では、重点施策として「子どもたちの良さや伸びようとする力を引き出す教員の育成」を掲げ、鋭意取り組んでいます。
A2-1「主体的・対話的で深い学びについて」
各学校では通常の授業において、課題に協働的に取り組むグループ学習やタブレットを活用した意見交換など、対話的な学びを行っています。
総合的な学習の時間では、環境や国際理解など大きなテーマの中で、子供一人一人が興味・関心に応じた課題を自ら設定し、情報の収集、整理・分析、発表するなど、主体的に課題を解決する探究的な学びに取り組んでいます。
A2-2
大泉学園中学校の取り組みについては、先月、研究発表会を開催し、好事例として全区立小中学校と共有しています。
A3-1+3-2(コミュニケーションWSについて)
区は文化庁のコミュニケーション能力向上事業のほか、都事業の外部指導員を招き子供同士が協働して課題解決に取り組む「笑顔と学びの体験活動プロジェクト」への参加を各校に働きかけています。
A4-1(式・行事について)
次に、学校事業についてです。
卒業式は学習指導要領において儀式的行事に位置付けられ、意義や場にふさわしい参加の仕方について理解し、厳粛な場におけるマナー等の規律、気品ある行動の仕方などを身に付けることを目的としています。
一方、運動会や宿泊行事などは、児童生徒が自主的、実践的にその運営に参画できるようにしています。
学校行事によって子供の関わり方は異なるものと考えており、卒業式の見直しは考えていません。配慮が必要な子供たちへの対応は、各校で工夫して行っています。
A4-2(列に並ばせることについて)
※回答なし………
A5「学校のきまりについて」
校則等の学校のきまりは、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられている約束事です。各校では、児童生徒や保護者から意見を収集したり、児童生徒が議論を行う場を設定して定期的に、校則を見直しています。
※高口解説:
>「今」子どもたちが幸せかを最も重視して
という高口の質疑への答えになっていません。
A6「学校の適正規模について」
1学年1学級の単学級では、クラス替えを行えないため、入学から卒業まで固定した人間関係が続き、多様なものの見方・考え方に触れる機会が少なくなることが懸念されます。
平成21年の中央教育審議会作業部会の報告においても、同様の指摘がなされています。
区の適正規模の基準は、学校教育法施工規則に定められた標準規模と同一であり、児童生徒に良好な教育環境を提供するためには、学級数の基準を設けることは必要であると考えています。
※高口解説:適正配置の具体的な根拠を聞いたのですが、「平成21年の中央教育審議会作業部会の報告」←これしか根拠が示せない、教育学的なデータ等は一切ない、ということですね……