子どもの安全&事故防止対策→練馬区の条例改正へ
※2023/2/10、練馬区議会・文教児童青少年委員会のレポートです。
子どもの安全&事故防止対策→練馬区の条例改正へ
★発端は、園バスの置き去り事故
静岡県牧之原市での園バスの置き去り事故などを受け、子どもの事故防止について、国が義務付けなど、様々な変更を出しました。
それを受け、練馬区でも各種の条例改正が行われました。
まとめて解説します。
※認可保育園など→都条例改正のため、練馬区に関わる条例改正です。
学童の変更点4つ
変更①安全計画の策定(義務)
- 設備の安全点検や安全に関する指導など
- 危機管理マニュアルにすでにあるものが多い→整理して、計画に盛り込む
変更②送迎バスの安全対策(義務)
- 練馬区の学童→送迎バスはない
- 遠足の借り上げバス等を想定
変更③感染症や災害時の『業務継続計画』を策定(努力義務)
- 区がひな形を作成→それを参考に各学童がつくる想定
変更④感染症や食中毒予防の研修・定期的な訓練(努力義務)
- (例)エピペンの使い方、119通報訓練、心肺蘇生法、遠足での安全確保…など
- 今やっているものプラスで規定に盛り込む
家庭的保育&地域型保育等での変更点
変更①「懲戒権」の削除
懲戒権→虐待の言い訳に使われている…と問題になり、民法と児童福祉法が改正
→「懲戒権」自体の規定がなくなりました。
→それを受け、懲戒権の項目をなくす改正を行いました。
※認可保育園等は都条例なので、そちらで改正されます。
変更②他施設と併設→基準緩和
他の社会福祉施設等と併設するときは、設備や職員の基準を緩和できる……というもの。
練馬区の場合、
- 保育施設+病児・病後児保育(4か所)
- 認可保育園+介護付き有料老人ホーム(1か所)
- 小規模保育所+学童(1か所)
→計6か所が該当。
どちらの施設も面積や保育士数を確保したうえで、「共用」できるようにする……という内容です。
練馬区の説明では、実際には行わないのでは、とのことでしたが、基準としては緩和になるので、心配は残ります。
★その他は、学童と同じ
- 変更②安全計画の策定(義務)
- 変更③バスの安全対策(義務)
※そもそもバスがないので練馬区では想定せず - 変更④感染症、食中毒の予防の研修と訓練(努力義務)
高口的ポイント
①人を増やそう!人件費も!
事故の対策を受け、現場では、義務、やるべきことが増えます。
ただでさえ少ない、現場の人手……
義務を増やすなら、そのための人員体制を強化すべきです。
そのためには、待遇改善もしっかりすべき、と練馬区に求めました。
練馬区は「すでに取り組んでいるもの」が多く、「ひな形もつくる」から「人員増やす必要はない」との答弁でしたが……
もともと保育、学童の基準が先進国最低の日本。
人員体制の強化、待遇改善を、繰り返し求めました。
②保育現場での虐待→懲戒権の禁止、徹底を!
多くの保育士さんが、もちろんきちんと保育をしていただいていると思います。
一方で、昨今の保育士による虐待……心配の声を頂いていることを、議会で伝えました。
そして、懲戒権がなくなったことを保育現場にしっかり周知頂き、虐待が起こらないように、と、求めました。
練馬区からは
- 「昨年の事故、不安の声、区にも寄せられている」
- 「当然周知する」
との答弁をもらいました。
③こども家庭庁、どうなる?
今回、大きな変更はありませんが、厚労省からこども家庭庁に権限が移ったことによる、条例改正もありました。
こども家庭庁ができたことで、練馬区の保育はどう変わるのか?を聞いたところ
練馬区「具体的にはない」
とのこと……。
たとえば、障害者自立支援施設、心身障害者福祉センター、こども発達支援センターは、
これまで厚労省の所管していた事務が、厚労省+こども家庭庁の「共管」となります。
それでも練馬区での事務等の変更は「一切ない」とのこと。
(何も変わらないなら、何のために変えたの?と思ってしまいますが……(;^^)
一方で、名称に「家庭」が入ったり、「子どもコミッショナー」の設置が見送られたり、懸念も残ります。
動きがあれば、練馬区議会に報告をと、求めました。
参考
- 高口ブログ:保育所、幼稚園、学童等の処遇改善(賃金アップ)…月9千円?現場に届く仕組みは未定【練馬区・補正予算】(2021/12/27)
- 練馬区:学童クラブ