保育所、幼稚園、学童等の処遇改善(賃金アップ)…月9千円?現場に届く仕組みは未定【練馬区・補正予算】
※2021/12/27、練馬区議会・補正予算のレポートです。
保育所、幼稚園、学童、母子生活支援施設での職員の処遇改善
正式名称は
- 保育士等処遇改善臨時特例交付金
- 社会的養護従事者処遇改善事業
と、とても長いのですが……
いわゆる、国が進めている保育士等の賃金UPを、練馬区が補正予算で可決したものです。
国からの詳細は未定ですが、補正予算質疑で明らかになった内容や問題点を、お伝えします!
概要
★UPする額
- 収入を「3%程度」引き上げ
- 「月額9000円程度」
*9千円にならないケースも…
一歩改善!……とはいえ、月9千円アップでも、まだまだ低い保育士の給与。
*数人でならされ、9千円にならないケースがあるとのこと。
★対象の施設
*()は練馬区内の対象施設数
- 保育施設(317)
- 私立の認可保育園
- 区立委託園
- 地域型(小規模、家庭的保育)
- 認可外
- 病児・病後児保育
- 幼稚園(16)
*新制度移行した園は区が、移行していない園は都が払う - 学童クラブ(81)
*民間、委託どちらもOK - 母子生活支援施設(1)
★対象外の施設は?
- 「区立直営」は対象外
★保育士以外の職種は?
- 国「柔軟な運用を認める」
- 調理、用務など、他職種も対象
- 今回の補正予算に、その数も計上してある
★スケジュール等
- 練馬区「国からの通知を待っている状況」
職員に行き届くのか?
★支給要件に「計画書」がある
- 支給要件
- 計画書を作成
- その内容を職員に周知すること
- 練馬区「区としても給付審査をしっかり」やる
*高口注:これまでも、職員への給付金では、実際に職員にいきわたらない、という問題が起きてきました。
必ず!職員に届くような制度設計が、とても重要です!
★基本給を下げられない対策は?
- 計画書の確認などの方法
→国から具体的に示されていない
=詳細不明 - 練馬区「保育課の体制は確認が必要」
- 運営費等、今やっている審査のなかで「審査していく」
★違反した場合の指導はどこがどうやる?
- 練馬区「詳細は示されていない」
- 「指導の権限があれば、疑義があれば、確認を求める」
*高口注:賃金アップの事業が出るたびに、「基本給を下げられて、変わらない」という問題を聞きます。ルールの明確化が重要です。「確認」というワードだと、強制的に修正させる権限があるのか、不安が残ります。
制度からはずれる問題…
★練馬区の事業の受け止め
- 練馬区「職種別平均賃金、令和2年度までの10年で、全産業の女性を下回る」
- 人の確保の面からも、「重要な取り組み」と認識
*高口注:練馬区がわざわざ「女性」と答弁したとおり、保育士の給与が低いのは、女性の職種ほど賃金が低くなる+賃金が低い職種は女性化するという、ジェンダーの問題でもあります。
★会計年度任用職員(非正規公務員)は対象外!
圧倒的に給与の低い非正規公務員ですが、正規職員と同じ扱いで、対象外。
練馬区は「制度により変えることはできない」と答弁しましたが、
そもそもの非正規公務員の低賃金の問題も、この機会に、改善すべきです。
★国の予算が足りない場合、区が穴埋めをするか?
- 練馬区「仮定の質問にはお答えしづらい」
- 「きちんと届く必要」
- 「国への要望、必要なら対応」
まどぐちは、こうぐち!
高口ようこでした。