教育事務の点検・評価報告から見える、練馬区の教育の課題とは…【練馬区議会・文教児童青少年委員会】

※2023/3/7、練馬区議会・文教児童青少年委員会のレポートです。

教育事務の点検・評価報告

正式名称は、「教育に関する事務の管理および執行の状況の点検・評価報告書」。

法律※に基づき、毎年報告しているものです。
令和4年度のものが報告されました。

※地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第26条

★点検項目と結果

  1. 「練馬区教育・子育て大綱」の重点施策→ほぼ「良好」
    • 1(施策が良好に進んでいない):0
    • 2(施策が良好に進んでいる):14
    • 3(施策がとても良好に進んでいる):3
  2. 新型コロナウイルス対策:3(とても良好)

→というわけで、ほぼ2、少し3で、1はナシ。

★有識者からの意見・助言

  1. 漆澤その子 氏(武蔵大学人文学部教授)
  2. 藤岡孝志 氏(日本社会事業大学社会福祉学部教授)
  3. 谷津諭 氏(練馬区小学校PTA連合協議会顧問)

※3の谷津諭氏は、「保護者代表」とのことですが、現在はPTA会長を引退して、顧問という立場です。


高口的注目ポイント

★「オンライン授業を実施した」?

これまで高口のもとにはずっと、コロナで休みの間、「オンライン授業を」と希望したのに、やってもらえなかった……という声を聴き続けていました。

なのに「事業成果」として、練馬区が

「新型コロナウイルス感染症の不安等により
登校できない児童・生徒を対象に、
オンラインによる授業を実施した」

と明記。評価は「2(良好)」でした。

この点を質疑したところ、

  • 練馬区「基本、各校に実施する旨を通知」
  • 「子ども、保護者がどういう学習支援を求めているか」
  • 「年齢によって難しい」場合もある
  • 「課題に取り組みながらオンラインでの会話の機会を設け」ることも含めて
  • 「オンライン授業とひとくくりにした」

…との答弁。

であれば、オンライン授業を全校でやっているかのような表現は、誤解を与えると思います…。むしろ、この記述にあわせ、全校で実施できるようにしていただきたいです!

★外遊び体験~子どもだけでも参加できる場の提供を

こちらは外遊びの取組について、有識者からの「特記事項」として書かれた文章。

「外遊び体験では、子どもたちが外遊びをしたいときにいつでもできる環境づくりに取り組むとともに、こどもだけでも参加できる場の提供を引き続き検討してほしい」

高口もずっと、外遊びの大切さを訴えてきました。

有識者のこの意見も踏まえ、練馬区の見解を聞くと……

  • 練馬区「区内で外遊びの実施団体に協力、補助」
  • 「活動場所拡大→町会や地域」でも

とのこと。今後もしっかりと、外遊びの充実に取り組んで頂きたい旨、要望しました。

★ウィズコロナの行事のあり方

練馬区の学校でのコロナ対策の評価は「3」と最高でした。

一方、今後、様々な制限が緩和されていくなかで、
「行事をなくす」「コロナ前に戻さない」ということが起きていると聞いています。

もちろん、コロナをきっかけに、教員の多忙化を招く業務や、行事のあり方自体を見直すことは重要です。一方で、生徒や保護者が楽しみにしている行事は、「なくさないで」という思いもあると思います。

それを踏まえて、今後の行事のあり方を問いました。

  • 練馬区「様々な制限が解けるなか、行事の意義や目的、改めて見直している」
  • 「体育、音楽など…学校の特色とも関連」
  • 「すべて戻すのではない」
  • 「価値の高いものを見極め」る

高口からは、子どもの保護者の意見「なくさないで」の声もしっかり聴いて進めてほしい、と求めました。

★不登校対策

文末に、有識者からの意見・助言がつくのですが、

藤岡孝志教授の、不登校についての意見が素晴らしく、ご紹介させて頂きます。

「不登校になる前も、不登校である時も、不登校ではなくなってから以降も、周りの人たちが一貫して温かいまなざしで関わり、その支援者たちが生涯にわたり支援者であり続けることが子どもに実感でき」

「不登校状態であるからこそ、感じることができたという自分の感性に気付き、それを信じ、将来に向けて、不登校を経験したからこそ、人生の深みを理解し、小さなこと・ささいなことにも幸せを感じることができる」

「~ように支援を進めていくことが必要と考えます」

ぜひ、この考え方をもとに、不登校対策を進めて頂きたい、と求めました。

他にも…

他委員から出た質疑でのポイントをお伝えします。

★ICT×教員の働き方改革

  • 各校で同じファイルを使えるように、共通の帳票を教員に用意
  • 教員用ポータルサイトに掲示
  • 準備中

★スクールロイヤー

  • 2021年6月~翌3月:9か月の実績
  • 案件38件、のべ62件
  • 相談事例
    • こども同士のいじめの長期化→膠着化した状況の解決
    • 保護者要望→どういう選択肢がふさわしいか
    • 金銭的要求→どう回答するとよいか
  • すべてきれいに解決するわけではないが
  • 区「課題は少し前進」「繰り返し支援頂く」

高口はいつも、日ごろから保護者やお子さんからいろいろなお話を伺っています。

そしてそのなかで、こういう案件が出た際に、「こういう話を聞いているがどうなのか?」といった質疑をします(もちろん個人情報などはわからないようにして)。

皆さんの声を、議会に届けて、変えていく。
皆さんの声が、出発点です。

今後も議会に声を届けるべく、頑張ります!


参考