練馬区立美術館の見直し、陳情に賛成の討論!【練馬区議会・第三回定例会最終日】

2023年10月13日、練馬区議会・第三回定例会最終日にて、

陳情第4号「練馬区立美術館建て替え等の再整備方針の見直し等を求めることについて」に、賛成の立場で討論を行いました。

詳細陳情の内容については、高口ブログで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください!

↓以下の原稿は、同じ会派(インクルーシブな練馬をめざす会)の岩瀬たけしさんが作成し、本会議では私が読ませて頂きました!


1205名もの賛同が集まった署名

本陳情の主旨は

  • サンライフ練馬の存続、
  • 練馬区立美術館の整備方針の見直し、および
  • 貫井図書館と美術の森緑地の工事期間中の代替施設の確保

にあります。

6月に162名の署名とともに提出され、その後わずかひと月あまりで賛同者は1,205名まで増加。このことをもってしても、多くの方が同じ思いを抱いていることが分かります。

陳情に通底する思いは、本方針が区の計画ありきで進められており、一番大切な住民の思いや訴えに誠実に応えようとする姿勢が見られないことにあります。

1.サンライフ練馬の代替は、確保できていない

最初にサンライフ練馬について。

委員会の資料では2020年度の利用者は13万人に達し、体育室ではフットサル、バレーボール、卓球等の78団体が利用とのことです。

区は、廃止後の代替施設として中村橋区民センターに加え、勤労福祉会館や大泉運動場なども挙げていますが、その距離をもってしても、また、既に施設の利用者が多いことをもってしても、代替になりえないことは明らかであり、

これまで数十年にわたって利用してきた方々の思いを蔑ろにするものです。

2.問題だらけの練馬区立美術館

続いて美術館について。

★住民参加から遠い、ワークショップ

この間、住民の声を聴くという目的で4回のワークショップが実施されてきました。しかし、人数が制限されている中で、抽選に落選している方も多くいます。また、ワークショップの資料などは一切公開されておらず、結局は一部の方しか参加できていません

その内容においても、事業者が選んだテーマ、ルールの中でしか議論ができず、住民が意見を述べようとしても今回のテーマとは関係がないといって、打ち切られてしまうケースもあったとのこと。とても住民参加とは言えません。

★美術館は、作品中心から人中心に

本来美術館はどうあるべきか。

国際博物館会議(ICOM、イコム)は2022年プラハ大会で、これからの美術館についての新たな定義を決定しました。

その根底には、「作品中心から人中心となるべき」という大きな変化があります。

練馬区立美術館のあるべき姿は、区が目標に掲げる公開承認施設となって国宝を展示することよりも、地域の美術が持つ力を発信していくこと、そして美術館を通じてコミュニティを作っていくことです。

★スロープ、階段ばかり…移動困難な設計

その意味において、現在計画されている美術館は、どんな方でも気軽に来られるようなデザインや設計になっているでしょうか。スロープや階段があまりに多い、移動が困難といった声にきちんと向き合って来たのでしょうか。どんな美術館であるべきか、もっと住民との対話が必要です。

3.2年半も使えなくていいの!?貫井図書館

そして、貫井図書館について。

★美術館メインで進められている…

先日策定された「これからの図書館構想」でも実現イメージとして、貫井図書館を提示されています。しかし、その作成にあたっても利用者である地域住民の声が聞かれることはほとんどありませんでした。

今回のワークショップも美術館がメインになっており、図書館そのもののあり方ではなく、既に計画があるなかで、棚の配置など「どう使いたいか」「どう過ごしたいか」ばかり聞かれたとのこと。「美術館と図書館との融合」のテーマがあるゆえに、図書館の戸棚や配置など非常に制限されたものになっています。

2022年の「ユネスコ公共図書館宣言」でも、図書館は私たちが生きていくうえで欠くことのできない存在であることを謳っています。だからこそ図書館自体の価値を高めることが必要であり、決して図書館は美術館の付属施設ではありません。

★改修なら、7ヶ月以内で済むのに、2年半も…

区の説明では、工事期間中の代替施設は過去の事例を参考に検討し、本の貸し出しなどを中心に行うとのことです。

しかし、これまでの改修はどんなに長くても7か月程度だったのに対し、今回は2年半に及びます。

図書館は単に予約した本を受け取る場所ではなく、調べものをしたり、自習をしたり、個人の自主的な学習を支援、保証する社会教育施設としての役割を果たすべきものです。

練馬区は他の11館1分室を活用してほしいとのことですが、他の図書館でも自習室などの利用者が多い中で、住民の需要を満たせるのか、極めて不十分です。

4.美術の森緑地も、長期間使えない…

最後に美術の森緑地について。

ここは子どもたちの数少ない貴重な遊び場です。

1,907㎡におよぶ広大な敷地は区内でも有数であり、多くの保育園の散歩コースや地域の子どもの遊び場にも使われています。

子ども達に支障がないよう、各園で工夫されているとのことでしたが、結局は、各園の工夫に委ねるのみ

しかし、これ以上どのように工夫しろというのでしょうか?


大切なことは住民の声に向き合うこと、そのためにも一度立ち止まって計画を見直すよう求めて反対討論とします。