「会計年度任用職員」って何?どう変わる…? ~第三定例会注目議案、解説!

第三定例会(2019年3回目の議会)で最も注目の議案は、「会計年度任用職員」。この制度が来年度から導入されるにあたり、それにかかわる様々・細かな条例改正が、今回多岐にわたって行われました。

私たち市民の声ねりまは、基本的に、この条例改正については反対をしました。その理由と、そもそも「会計年度任用職員」って何? を、紐解きたいと思います。

★制度改正の背景に、非常勤、臨時職員の待遇の問題

今回の条例改正は、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」という国の法律が変わったために、それにあわせて改正されるものです。

ではなぜ、地方公務員法が変わったのか?

制度の背景には、非常勤・臨時職員の急増にあります。

全国で、

  • 2005年度:45.6万人
  • 2016年度:64.5万人

と、10年で急増!

私たちはつい、「公務員」とひとくくりにしがちですが、その業務の多くを、正規でない職員が請け負っている。これは、練馬区も同じです。

★法改正のポイントは、4点

制度にそわない運用がある…として、法改正がなされました。

  1. 「特別職」を、本来想定される「専門的な助言、調査などを行う者」に厳格化
    (例)学校医など
  2. 「臨時的採用」は例外的な制度のはずが、臨時が常態化している
    →本来臨時職員は6ヶ月だが、1日あけて、また採用して、実質的に連続して雇用するケースも
    →これを、「常勤職員に欠員が生じた場合」に厳格化
  3. 一般職の非常勤職員に「会計年度任用職員」の規定を設け、採用方法や任期などを明確化
  4. 「会計年度任用職員」は、期末手当(ボーナス)の支給を可能に

★これを受けた、練馬区の体制は?

  1. 特別職非常勤職員→そのまま移行=1500人
    (例)附属機関の委員、参与、学校医など
  2. 特別職非常勤職員の「相談員等」
    →特別職から一般職(会計年度任用職員)へ=1400人
    (例)図書館専門員、保育補佐員、保育補助員、就労支援専門員等…
  3. 臨時職員(アルバイト)
    →会計年度任用職員へ=1100人*2+3=2500人、75職
  4.  

    臨時的任用職員→一部残す

*それ以外
(例)日本語講師、法律相談員等→「報償費(謝礼)」で対応

★会計年度任用職員は、フルタイムとパートタイム→練馬区はパートタイムのみ

  • フルタイム職員=給料+旅費+諸手当(期末手当、通期手当、退職金など)/副業NG
  • パートタイム職員=報酬+費用弁償(通勤手当はここで)+期末手当/副業OK
  • パートタイムの条件は、月16日、7時間45分=フルタイムの3/4
  • 期末手当=2.6カ月分

確かに、期末手当が出ることで、給与はUPするメリットがあります。

さらに、フルタイムの会計年度任用職員になれば、退職金も出て、安定の道が開けます。しかし練馬区は、すべて「パートタイム」のみに移行。これでは、安定した雇用の道が開けません。

何より、現在私たちの区の福祉を根底で支えている職員の待遇を改善することが、今回の法改正の主旨だったはず……。

私たちが今回反対した大きな理由の一つが、これです。

★再任用は、4回までの制限が!

これまで非常勤職員は、再任用の数は、限定がありませんでした。1年更新とはいえ、たとえば図書館専門員のなかには、20年以上更新を続ける大ベテランもいます。

しかし、会計年度任用職員となると……

  • 公募が原則
  • 再任用は、連続4回が限度
  • 5回目以降は、公募となる

再任用は妨げないとするものの、職の安定としては、大きく後退してしまいます。これが、反対する理由の二つ目です。

★再任用の回数は、区によって違いが

  • 練馬区=4回
  • 中野区=毎年公募
  • 杉並区=5回
  • 豊島区=4回
  • 板橋区=協議中

★職の内容も整理、調整が入る

非常勤と臨時をただ同じ会計年度任用職員に移行するのではなく、職務内容も整理が入ります。なくなる職種も、わずかですがあります。

たとえば、学校生活支援員は、非常勤と臨時で、業務の内容も異なっていましたが、一本化されることによって対応がどう変わるのか……。

決算の時点では「調整中」とのことでしたが、子どもたち一人ひとりが見守られる環境が損なわれることのないよう、むしろよりよくなるようにすべきです。

何より大切なのは、ひと。いい人材に、長く働き続けていただく。そして、いい人材を大切に育てていく。それは私たちの福祉を高めることでもあります。

長く安心して働き続けられる練馬区になるよう、引き続き求めていきたいと思います。