会計年度任用職員(非正規公務員)の多すぎる問題点【練馬区議会・決算・高口質疑】

2020年度、会計年度任用職員の制度が開始しました。

民間で法定化された「同一労働同一賃金」「5年働けば正規化」の理念が放棄され、
様々な矛盾をはらんでいます。

区の収入モデルの資料によれば、

1日8時間弱、月16日働き、手取りで204万円

「官製ワーキングプア」の事実上の容認とも言えます。

だれかの貧困の上に成り立つ公共サービスであってはならないし、
そのようなサービスは持続可能ではなく、改善すべきだ

…との観点から、以下伺いました(練馬区議会・決算特別委員会「全款」にて)。

 

【Q1】問題1:部分休業は後退

制度移行に伴い、以前は6歳、小学校就学前まで取得可能だった「育児時短勤務」が、「3歳まで」と改悪されました。
練馬区から説明もなかったそうです。

会計年度任用職員は女性が9割というなか
育休、介護休暇等も、無給です。

育休等、休暇制度の改善を求めますが、見解を伺います。

A:職員課長
  • 本年8月、国から人事員勧告が出されていまして、
  • その中で国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出がございました。
  • 中身は、いろいろとございます。
  •  例えば、非常勤職員の産前産後の休暇につきまして。
  •  これは、区においても現在無休になってございますが、
  • この国の意見の申出で有給化するなどの意見が出されたところでございます。
  • 今後、人事員規則の制定状況などの動向、また他団体の動きを踏まえまして対応してい
    きたいと考えてございます。
  • これまでも区におきましては、会計年度任用職員の休暇制度につきまして、国や他の地方公共団体との制度的均衡を図るなど、充実を図ってございます。
  • 今後とも適切に対応してまいります。

練馬区としても改善を!

今、国の少し意見が挙がっているというところで、国が変わったら地方も変わっていくかもしれませんが、
ぜひ、練馬区としても改善を求めたいと思います。

それから、先日来、(議会で)少子化の話が出ていましたが、
出産するかは本人の自由という大前提の上で、

こういった休暇制度の拡充や、
なにより非正規の常勤化や安定した雇用、昇給をしていくことこそが必要
だと私は考えております。

 

【Q2】問題2:公募

今回、練馬区は制度導入にあたり、「5年目は公募」と規定しました。

これまで任用回数の制限はなかったので、具体的な不利益であり、制度の改悪です。

平成31年度までは、勤続年別の統計があり、
21年以上働く方も76人もいました。

今後はこの統計もとらないとのことです。

矛盾もあります。

「主任図書館専門員」は、
「在職期間が通算で5年以上」の「図書館専門員」がなる規定ですが、
5年公募のルールと制度的に両立しません。

なぜこの規定としたのでしょうか?

A:職員課長
  • 主任図書館専門員でございます。
  • 平成22年4月に、当時特別職の非常勤職員として新たに職を設置したものでございます。
  • その際の職務内容として、高度な知識と経験を活用して図書館専門員による業務の統括を担うとしてございます。
  • 図書館専門員を統括する職として、どの程度の経験が必要かを検討いたしまして、平成30年4月からは5年としてございます。
  • 特に、5年公募との関係はないと考えてございます。

1年ごとの試用期間も撤廃を!

5年公募の関係はないということです。

(しかし)以前と違って、5年で公募にするという任用の制限をしてきた中で、そもそも1年ごとの任用であり、

さらに、毎年試用期間まで設けたのにもかかわらず、5年以上を想定する規程が残ってきたという点。

まさにこれは、会計年度任用職員の力が、区は5年以上必要だという証拠だと思います。

フルタイムや常勤化への道を開くよう求めます。

それから、常勤との差をつける理由の一つに超過勤務、いわゆるサービス残業がないことが挙げられています。
しかし、実際は隠れ残業、サービス残業が常態化している話も聞いています。

人材を確保する点でも給与を上げるしかなく、フルタイムや常勤化を改めて要望します。


*質疑は時間切れでここまでだったのですが、
準備していた質疑もぜひお読み頂ければと思います。


※【Q3】サービス残業→人が確保できないから→まずはフルタイムを目指そう

 

常勤との差をつける理由の一つに、
超過勤務、いわゆる残業がないことがあげられています。

しかし実際は、かくれ残業、サービス残業が
常態化している話を聞いています。

コロナ禍で大変ななか、会計年度任用職員の残業はなかったのでしょうか?

コロナ対応の保健師も、11名は会計年度任用職員です。
上司の命令がなければ超勤扱いとならない問題もあります。

やはりしっかり、フルタイムや常勤化にしていくべきです。

たとえば、学校生活支援員は
令和2年度、予算上の想定は247人のところ、
実際の任用数は207名で、40名不足。
保育補助員は629名のところ、559名と70名不足です。

そもそも、必要な人数や時間が足りないのだと思います。
人を確保するには給与をあげるしかなく、フルタイムや常勤化を要望します。

 

※【Q4】専門職→常勤化の道を作ろう(※たぶんここまでいかない)

練馬区の虐待対応拠点でも、「子ども家庭支援相談員」という
会計年度の職で、10人任用されています。

家庭訪問、ケース会議の参加など、常勤と仕事は変わらず、
違いは超過勤務がないこと等の説明でした。

継続した見守りが必要な虐待対応で、単年度という採用自体が、
求められる支援と合致しません。

現在、特別区の人事委員会に「心理職」という枠があり、
虐待対応拠点の常勤職員はその枠で採用しています。

練馬区が今後も、虐待対応拠点をはじめ、相談対応に力を入れるのであれば、
常勤採用を増やしていくべきです。

専門職の常勤化、少なくともフルタイムへの道を開くよう求めます。

公共サービスの質向上のためにも、全庁的な職員体制の見直しが必要と申し上げ、終わります。