「ギフテッド」の困り感を理解し、一人ひとりに寄り添う支援を!【練馬区議会・決算・高口質疑】

「ギフテッドチルドレン」をご存知でしょうか?

最近知られるようになってきましたが、国の検討もまだまだこれから。
練馬区の学校や教育支援センターでも、支援の対象として可視化されていません。

並外れた素晴らしい能力がある一方で、だからこその困難や、困り感がある。
一人ひとりにあわせた支援をして、どの子どももその子らしく成長し、楽しみながら学んでいける教育を!

と、決算にて求めました。


【Q1】ギフテッドとは?

知的、創造的、芸術的な分野や特定の学問において、並外れた能力をもつ
いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる子どもたちが、近年知られるようになってきました。

日本では、公式な定義はまだなく、文科省が9月13日、
有識者会議の3回目を開いたばかりです。

国によりますが、アメリカの試算約6.7%とすると(*2006年データ)
500人の学校なら33人いる計算です。

それぞれ子どもによって異なりますが、

  • 学びの意欲や好奇心がとても高い
  • 強いリーダーシップを発揮する
  • 強力な正義感がある
  • 感覚が鋭く、敏感で繊細

等の特徴があります。

素晴らしい特性ですが、それゆえの困難もあります。

まず、学校の勉強が簡単すぎて苦痛

たとえるなら、「大人が離乳食を無理やり食べさせられている感覚」だそうです。

そのために、

  • 学びの意欲がそがれたり、
  • 学校が疲れる、
  • 周りと話が合わない、
  • 不登校になりやすい、

等の傾向が指摘されています。

また、発達障害と誤診されたり、「2E(Twice-Exceptional エクセプショナル)」といって、

発達障害とギフテッドの両方を持つケースもあります。

 

実際に私は、ギフテッドのお子さんが不登校で、居場所がない、
というご相談を頂きました。

教育支援センター、フリーマインド、児童相談所、子ども家庭支援センター等、
様々相談をしたが、ギフテッドとしての対応はない

…と、お困りでした。

教育支援センターでは、ギフテッドのお子さんにどう対応・支援しているのか、伺います。

A:学校教育支援センター所長
  • ギフテッド自体は委員がご紹介いただきましたとおり、
  • 新しい概念のため、学校教育支援センターではギフテッドの子どもへの支援としての対応は、現在のところ事例としてはございません。
  • センターが支援をしている子どもの多くは、学習や学校生活でつまずいたお子さんたちになります。
  • 子ども一人ひとりの状況は異なりますけれども、その中の一部のお子さんに高い1Qや秀でた才能を占めすお子さんたちがいることはいらっしゃいます。
  • 例えば、友人関係でつまずいて不登校になった子どもが適合指導教室の活動を通じて友人と関わる力を身に着けることで自信を取り戻して、難関校を受験して合格したり、
  • また体験活動で自分のやりたいことを見つけて、その中で秀でた才能を見出して、大会などで優秀な成績を納めたり、そうした事例はございます。
  • 今後も、子ども一人ひとりの状況に応じて、きめ細やかに対応してまいります。

 

親子の交流の場など、仲間づくりの支援を

まだ新しい概念なので、そういう概念としてではないけれども、
一人ひとりのお子さんに支援しているとおっしゃっていました。

そういう対応がし切れていない部分もあるのかと思っています。

例えば、保護者が子育てで困っていても、

「知能が高い」というと自慢と思われ、周囲に言えない、仲間に出会えない

とも伺っており、

ギフテッドの親子が交流できる場をつくることも検討頂ければと思います。

 

【Q2】まずは、理解&周知を!

私は、エリート教育を求めているのではありません。

今の学校教育の枠にはまらない子どもたちがいること、
その特性や困り感が理解・周知され、どの学校の先生も支援できることが重要です。

保護者も、

「完璧な支援でなくてもいいので、まずはギフテッドも支援対象であると認めてもらえたら」

と言っています。

区の今後の検討を求めますが、現在の学校での対応や、検討状況を教えてください。

A:教育指導課長
  • まず、学校では、特異な才能と学習困難を持ち合わせているお子さんの対応そのものに苦慮しているといった報告は私どもには入っておりません。
  • 学校ができる範囲で適切に対応しているものと認識してございます。
  • 学校では、個に応じた教育とか、あるいは個別最適な学びの実現といったことの一人ひとりのニーズに応じた対応を行っており
  • 授業では、学習指導要領の範囲を超えないところで発展的な学習内容を
  • あるいは算数、数学、英語などの授業において、習熟度別の少人数に分けた学習を行ったりしています。
  • この習熟度別学習というのは、学習進度の違い、あるいは学習内容の難易度の違いなどを取り入れて対応しているところです。
  • 仮に保護者や家庭、本人からの相談があれば個人面談や教育相談、特別支援学級などへの転入もできるなど、柔軟に対応してまいりたいと考えてございます。

「それぞれ違う」ことを前提に、子ども一人ひとりに寄り添った対応を!

今、苦慮している話は入っていないということですが、
学校ではなく、子どもと保護者が苦慮していることだと思うので、
ぜひ、なかったことにしないで、受けとめていただきたいと思います。

それから、できる範囲でということで、
学習指導要領に超えたできない範囲もあるので、
その辺のきめ細やかな対応ができないかといったことを、今後検討いただきたいと思います。

国が少しずつ動いていくかもしれないので、その辺の動向も見ていただきたいと思います。

たとえば、岐阜県の不登校特例校の草潤中学校では、
ギフテッドクラスができるなど、先行している自治体の事例もあります。

ギフテッドに限らないことですが、

それぞれ違うということを前提に、
子ども一人ひとりに寄り添った対応がなされ、
どの子も楽しく学べ、それぞれの力を延ばせるような学校に
していっていただきたいと求めます。

 

【Q3】子ども発達支援センターでも対応を

また、就学前に子ども発達支援センターで検査を行い、
知能の高さが判明するケースがあります。

私が相談を頂いた未就学児の保護者は、

  • 子ども発達支援センターの医師はギフテッドを理解していたが、診断は出せなかった
  • 発達障害のガイドラインの範囲内のお話だった
  • 専門医など、信頼できる相談先の案内だけでもしてほしい

とのことでした。

子ども発達支援センターとして、どのような対応・支援をしているか、伺います

A:障害者サービス調整担当課長
  • ギフテッドと呼ばれるお子様たちが、昨今注目されておりますけれども、
  • 区としましては現在のところ、どのような才能の持つお子様が該当するかという定義づけや支援のあり方は定まっていないと認識しております。
  • こども発達支援センターでは、発達相談、医療相談、療育などの支援を行っておりますが、
  • これまでギフテッドに関する相談に関しては対応したことがなく、また相談に来られた方に知能の検査を行った結果、発達に課題のないケースは見受けられない状況でございます。
  • 委員ご指摘のとおり、ギフテッドの子どもたちへの支援につきましては、国が有識者会議を設置していることから、
  • 今後、障害福祉サービスの影響を含めまして、国や都の動向を注視してまいります。
  • また、こども発達支援センターでは、引き続き発達に課題のあるお子様およびその保護者の悩みを受け止め、家族に寄り添う支援に取り組んでまいります。

練馬区が率先して、対応を!

まだ、支援の定まっていないというのは、国もなかなか支援としてどうしていくかを見定めているというか、検討しているというか、まだこれからの状況だと思います。

実際に、お困り感を抱えていらっしゃる保護者やお子さんはいらっしゃると思いますので、

ぜひできること、例えば率先して情報を収集して信頼できる機関を紹介するなど、ぜひ検討いただきたいと要望します。