【高口質疑】断熱が超重要!区立施設の基準を引き上げよう!【練馬区予算・環境費】
2024年2月27日、予算特別委員会・環境費での高口の質疑です。
一般質問で断熱の質疑をしましたが、その続きで、予算質疑のなかで、具体的な要望や質疑をしていきました!
① そもそも、日本の断熱基準が激低!
そもそも、日本は世界的に見て、断熱の基準が著しく低いという
事実について、まず共有したいと思います。
★断熱等級
つい最近、2022年まで、日本の断熱等級4が「トップクラス」でしたが、
海外では「違法建築」つまり建設が認められないレベルの低さでした。
2022年に断熱等級5、6、7が新設され、
4が一気に「最低基準」になりましたが、
それでも、まだまだ低いうえに、
「等級6じゃないとエネルギーが減らない」
という指摘もあります。
全館暖房をしたうえでエネルギーや光熱費が増えず、健康によいレベルだと、
断熱等級6が「最低限」だと専門家は指摘します。
★UA値
日本の断熱等級は、北海道から沖縄まで、全国8エリアで分かれていますが、
一番基準の厳しい北海道でも、UA値0.46。
UA値は、数字が小さいほど断熱性能が高いのですが、
2021年データでアメリカ・カリフォルニア0.42、韓国0.41、イタリア0.34と、
北海道でさえ、世界と比べると、断熱の基準が劣る結果です。
東京は0.87なので、UA値で他国と比べて、
半分以下の断熱性能しかなく、ZEH基準でも0.6しかありません。
窓断熱にいたっては、そもそも国として、最低基準の義務付けがありません。
結果、日本の既存住宅の9割以上がまともに断熱されていないと言われます。
★区として断熱基準の向上を!
一般質問や、先程来の他会派の答弁でも、
断熱単体ではなく一次エネルギーの削減量でみていくという話でしたが、
国自体の断熱の低さを思うと、やはり区として、
区立施設でのきちんとした断熱基準を持つべきだと思います。
<Q>
そこで伺いますが、練馬区立施設で断熱改修や改築等した場合、
どの程度の改修や改築になるのか、断熱について、
例えば窓はトリプルガラスなのかとか、断熱材の基準はどうなっているかなど
具体的に教えてください。
<A:環境課長>
環境課といたしましては、区立施設の環境性能向上を図る目的で、
施設設計、策定にあたっての、環境配慮手順書というものを定めており、
これに基づいて、設計段階で事前に、こういったものを検討しました協議が来ることになってございます。
この手順書につきましては、施工面積300平米以上のものについて、
それぞれ17項目の環境配慮の項目、例えば照明の省エネ化、
空調設備の省エネ化、当然、建物の断熱化、
等々17項目について検討する事としております。
この中で、今断熱のお話がございましたが、断熱の項目といたしましては、
建物の断熱の項目の中で、検討すべき設備として、外壁・屋根の断熱化、
また、複層ガラス・気密サッシ、等について検討すべきものとして定め、
具体的に検討して、それぞれの施設の状況に応じて
改修を取り組んでいただいている、というのが現状でございます。
② 健康にいい!
今後、環境基本計画が改定されて、環境配慮手順書でも見直して行くんだと思うんですが、
この断熱、外壁・屋根、含めて、複層ガラス窓についても、
ぜひ、充実した基準に直していただきたいと思います。
★最低室温18℃がWHO基準
私たちは、家の断熱について、
冬は家の中も寒くてあたりまえと思って我慢したり、
暖房の設定も、省エネのために低く抑えろと言われて抑えたりしていますが、
WHOの基準は「最低室温18℃」
居室の温度がこれより低くなると、健康に深刻な影響が出るリスクがあると
WHOが勧告しています。
★ヒートショックの死亡者は交通事故より多い
その大きなリスクの一つが、ヒートショックで、
家の中の寒暖差で亡くなる数は、年間約1万7000人
交通事故死亡者の6倍という多さです。
このヒートショックが、実はもっとも少ないのが北海道で、
これは家全体を断熱し、部屋ごとの寒暖差が少ないからです。
日本では、間欠暖房=部屋ごとの暖房が主流のため
部屋の寒暖差で健康被害が起こります。
★断熱性能をあげると、健康によいデータ
逆に、断熱をよくするだけで血圧が下がるデータ、
脱衣所の平均室温が2.2℃高い住まいだと、
要介護状態になる年齢が4年のびる、
つまり健康寿命が4歳分のびるという研究結果があったり、
夜間頻尿にともなう経済的損失が、1人あたり年間約11万円
という試算もあります。
<Q>
- 断熱されたあたたかい家が、健康によく、
医療費削減効果も期待できる点への見解が1点と、 - 風呂場でのヒートショックが多いので
家全体で断熱改修が難しい場合は、
まず脱衣所と浴室の断熱が有効という点を、
ぜひ、区民に周知をお願いしたいのですが、
2点、伺います。
<A:環境課長>
只今、断熱について様々ご意見頂戴致したところでございますが、
まず、日本の建築につきましては、長い歴史の中で、日本の気候風土に適した
木造住宅として発展、定着してきた、そういった経過があります。
木造住宅にも、こういった優れた特性があるものと考えております。
しかしながら、昨今の地球温暖化に向けて、消費エネルギーを削減すると、
そういう観点においては、気密性・断熱性の向上ということが、
ひとつ大きな課題となってきて、様々な取り組みが進められていると、
そのように考えております。
次に、ヒートショック等のお話を賜りましたが、まず住宅につきましては、
気密性・断熱性を向上を図ることによりまして、委員からもございましたが、
各居室間の寒暖差が平均化される、解消される、
そのような形になってまいります。
そういった中で、委員からご指摘のありました、ヒートショック等の防止にも
役立ってくると、そのように考えております。
私共といたしましては、今、既存住宅の窓改修・窓断熱改修を、
助成を行っておりますので、
断熱改修で期待される効果のひとつといたしまして、
そういった、住宅の快適さの向上による効果について、
併せて周知を検討してまいります。
③ サッシ問題→樹脂か木製に!
ぜひ、よろしくお願いします。
★サッシを変えると健康にも家にもいい
一般質問で、窓断熱の費用対効果の高さを述べましたが、
今おっしゃっていただいたと思いますが、窓断熱がすごく有効で、
重要なのは窓だけでなく、サッシも重要です。
日本ではアルミサッシが主流ですが、
世界では断熱性能の高い樹脂製や木製で、
アルミは熱伝導率が高いので断熱には不向きです。
樹脂製や木製だと、結露によるカビやダニも発生しづらくなって、
アレルギーやアトピー、ぜんそく等の改善効果があるというデータもあります。
内部結露と言って、結露は家の内部でも生じるため、
断熱で家のダメージも軽減できて、家が長持ちする。
良い事だらけですね。
★結露は「あたりまえ」じゃない
結露は日本では当たり前のイメージですけど、
たとえばドイツでは「結露しないのがあたりまえ」。
ちなみにドイツではトリプルガラスも、
真冬でも家が寒くないのも当たり前、ということです。
<Q>
- 練馬区でも、区民にサッシも替える事、樹脂や木製サッシに替える
重要性を周知すべきという点と、 - 区立施設では残念ながら、まだ改築や改修でも、サッシはアルミしかないと伺っています。この点も、環境配慮手順書での基準も含めて、改善すべきと思いますが、
2点、伺います。
<A:環境課長>
2点、お伺いしました。
1点目は区の補助の中での、窓のサッシ等の断熱等についてのお話でございます。
私共といたしましては、窓断熱については様々、補助対象についてご意見をいただいているところでございます。
例えば、開口部という問題で言えば、住宅の玄関等を対象にしないのかというようなご議論をいただいているところでございます。
現在ですね、補助内容の拡充等を見直をしておりますので、
今後、適時適切に、補助対象については、検討してまいります。
次に、区立施設につきましては、先程お答えいたしましたが、
現在、環境配慮手順書に基づいて、省エネの検討を進める、
という形にしてございます。
その中で、複層ガラス、気密サッシについて、
施設の状況に応じて検討する、という項目になってございますが、
現在、それぞれの詳細な基準等は定めていないところであります。
今後、私共としては、環境基本計画書にもお示しした通りですね、
環境配慮手順書、様々ございますが、
施設計画策定にあたっての環境配慮基準書についても見直しを
進めてまいりますので、その中で検討項目のひとつとして考えてまいります。
<高口>
サッシは窓断熱改修を家ですると、
大体、樹脂・アルミと樹脂の複合になる、
枠はアルミで淵の部分は樹脂という複合のものが多いので、
ぜひ区立施設でもアルミから樹脂などへの返還を環境配慮手順書での基準へ
位置づけていただきたいなと思います。
④ ランニングコストも◎!
今、必読の1冊が、
高橋真樹氏の著書『断熱が日本を救う』
必読だと言われて私も読んだんですけど、
★電気代が安いうえに、快適!
この著者は実際に高気密・高断熱のエコハウスに住んでいて、
家の過ごしやすさ、快適さを実感していて本を書いています。
電気代は、1ヶ月つけっぱなしでも家全体で4-5000円程度。
川越市の別のエコハウスでは、33℃の真夏日でも、
家の中は、4畳用簡易型エアコンたった1台で、
家全体が25度の快適な温度に保たれているということです。
快適で、光熱費も安く済んで、しかも健康にいい。
★初期コストとランニングコスト→21年で逆転
私も住みたいなあと思うんですけど、
断熱等級4と7の家で比較すると、断熱等級7のほうが
初期コストは約300万円ほど高いのですが、
ランニングコスト等を含めると、21年で逆転するという試算もあります。
日本では家の購入で初期投資を抑える傾向がありますが、
長期的に見て、最初に高性能の、高断熱の家を建てたほうが安上がり、
と言えます。
<Q>
- 高性能の、高断熱の住宅を長く使い続けるメリットを、
区民に周知頂きたいという点と、 - 区立施設自体もそう変えていくべきという点、
2点、伺います。
<環境課長>
先程と少し重なるところもあるかと思いますが、
断熱性能の向上によりまして、光熱費の削減が進む、
それはひとつ事実としてございます。
ただ、実際に、改修等にあたってですね、初期に多額の費用を工面できる方、
また、なかなかそういうことは難しい方、様々ございます。
私共といたしましては、それぞれの状況に合わせてですね、補助金なのか、
最近サービスが出始めている、サブスクリプション型のサービスのご案内と、
様々な制度の中で、各ご事情に合ったものをご案内して、取り組みを促していきたいと考えております。
区立施設につきましては、こちらにつきましても繰り返しになってしまいますが、
今現在、環境配慮手順書に基づいて断熱についての
取り組みを進めているところでございますので、
見直しの検討の中で、そういった財政コストの効率的な改修についても、
検討の要素として、当然ひとつ考えて行く予定でございます。
⑤ エネルギー問題
ぜひ検討をお願いします。
★日本の貿易収支の赤字は、エネルギー輸入が原因
日本は、エネルギーの輸入に
火力発電だけで毎年30兆円もかかっていまして、
2022年度は円安もあって33兆円。
そのために日本の貿易収支は22兆円の赤字です。
1世帯当たり61万円もの負担となっています。
断熱でエネルギーの輸入を減らしていくことは、
経済的な合理性、そしてエネルギー安全保障の観点でも
必要だと考えます。
断熱が進んでいくと、区のエネルギー費用の流出も防げて
地域経済にとってもプラスと考えます。
<Q>
練馬区では、毎年区立施設でいくら光熱費がかかっていて、
今後、基準を改善していく、とおっしゃっていますが、
それによって、どの程度抑えられると見込んでいるのか、伺います。
<A:環境課長>
環境課で把握している範囲のデータでお答えを申し上げます。
まず、区で契約しております、特別高圧、および高圧の電力契約につきまして、
162施設で、年間4312万kw。
電気料金といたしまして、約15億1300万円、
これが令和4年度の実績値でございます。
今後ですね、資源エネルギー庁がZEB化を進めた際、
約延べ床1万平米程度の事務所ビルで、行った場合ですね、
年間で4-5割程度の光熱費削減が
可能という資料が提示されてございます。
しかしながら、これをそのままですね、各施設、個別に
状況が違うものに充ててですね、削減効果を概算するというのは、
なかなか難しいものと考えております。
具体的な効果につきましては、
それぞれの施設の改修・改築等のタイミングにおきまして、
設計等の段階で、ZEBのプランナー等による積算によって
経済効果、それから初期費用のコスト見合いを考えて行く必要があると、
考えております。
※ZEHについての質問も用意していたのですが、ここでタイムアップでした。
またいずれどこかでと思っています!