【高口質疑】①谷原保育園問題追及&②育児支援ヘルパーの充実を【練馬区予算・こども家庭費】
2024年3月4日、練馬区議会・予算特別委員会「こども家庭費」の高口質疑です。
- 4月に1歳児クラスの転園が迫る谷原保育園問題
- 利用が増える育児支援ヘルパーの課題
→2点を質疑しました!
1:谷原保育園問題
区立園がセーフティーネットであることは当然だと指摘した上で(※)、
谷原保育園問題について伺います。
※区立保育園を残そうというと、必ず「民間が悪いのか!」という的外れな議論があります。今回も高口の前の質疑でそれが出たため、一言付け加えてのスタートとなりました。
民間園が悪いなんて一言も言っていません。
→その点はブログ最後に補足しておきます。
【1】一般質問続き1:強制転園の条例上の位置づけ→ナシ
谷原地域の待機児童が厳しいことは
近隣保育園の申請倍率が3~23倍という高さからも明らかです。
保育ニーズの観点からも、谷原保育園1-2歳児クラスが必要ではないのか
必要でないなら、なぜしろくま保育園で待機児童対策である
1歳児1年保育を実施するのか、と一般質問で質疑しましたが、
明確な答弁はありませんでした。
答えられないということは、
つまり1-2歳児クラスが必要だという証拠だと私は受け止めました。
<Q1>
同じく一般質問で、『案内』に書けば強制転園させられるとする
条例上規則上の具体的な根拠をたずねましたが、
こちらも明確な答弁はなし。
具体的に何条何項とは答えられないということでよろしいでしょうか?
簡潔かつ明確にお答えください。
<A:保育計画調整課長>
まず倍率でございますけれども、
先程、他会派の委員の質問にもご回答させていただきましたけれども、
保育園の入園希望につきましては、
第13希望まで記載ができるものでございます。
その中で、駅近等の理由により、人気がある園については、
希望が重なることで、倍率が高くなるものと考えてございます。
区内の特定の地域に限定された話ではない、という風に考えてございます。
また、保育利用のご案内につきましては、
谷原保育園の1歳児クラスの募集にあたりまして、
令和5年度の保育料のご案内に、
令和6年度の新設園への転園が入園条件になることを
明記したものでございます。
保護者の皆様には、そのご案内をご覧いただいた上で、
お申し込みをいただいている、というものでございます。
また、重要事項確認表でございますけれども、旧様式の申請も有効である、
と致しました。
この点につきましても、そういう判断をしたということで、この定例会の
一般質問でも、ご答弁をさせていただいたものでございます。
<Q:高口>
お答えいただいていないのですが、案内の位置づけや条例上や規則上に書いてあるのか、位置づけがあるのかないのか、有無だけを簡潔にお答えください。
<A:保育課長←別の課長>
ちょっと質問の趣旨がよく分かり兼ねますけれども(※)
※高口注:質問の趣旨がわからないって……(ため息)。
こういう嫌味答弁をちょいちょい練馬区は挟んできます。
保育園の申し込み全般でお答えさせていただきますと、
保育園の入園のお申し込みのご案内につきましては、そもそも条例施工規則で
様々な様式等定めておりまして、それを具現化するために、
区民の皆様に、出来るだけわかりやすく、実際の条件であるとか、
また保育園、募集している保育園等を明記しているものでございます。
私共、このように考えておりまして、適切に対応しているものと
考えてございます。
<高口>
(時間がないので)再度聞きませんけど、具体的に、
何条何項に、この案内についての規則上の根拠があるという
明確な答えはありませんでしたので、
そういうような根拠はない、という事実が確認できたと思います。
それから近隣園への倍率については、区が出した数字ですので、ご理解ください。
【2】一般質問続き2:保育利用承諾書→5歳児まで在園できる但し書き
同じく一般質問で、区がこれで「契約成立」とする、
1歳児クラスの保育利用承諾書には、
3歳直前までの利用期間が明記してあると指摘しました。
「ただし施設(事業)の対象年齢の上限まで」
という但し書きについてですが、
確認したところ、これは谷原保育園1歳児に限らず、
他に保育園に申し込んだ方への承諾書にも広く付されている文言でした。
区が主として想定しているのは、
5歳児まで対象の認可園で、3歳までの3号認定の承諾書を送る場合、
3歳になった後も、手続きなしで自動的に2号認定に変更されて、
そのまま5歳児の卒園まで同じ園にいられますよ、安心してください
…という意味の但し書きであると、確認できました。
<Q2-1>
このことを、谷原保育園に置き換えれば、
1歳児クラスも「5歳児クラスまでいられるんだ」
という意味の但し書き
だと理解して当然だという点が1点目。
<Q2-2>
少なくとも、区が谷原保育園で主張している以外の意味にも解釈できる
ということは少なくとも最低限言える、という点が2点目。
見解を伺います。
<保育課長>
本定例会の一般質問で、今、委員からもございましたが、
保育園の利用承諾と、それから保育認定の期間、これらを題材に
ご質問いただいたところでございます。
保育認定の有効期間でありますけれども、
利用する保育園によって期間が変わる、
という性格のものではございません。
むしろ、保育認定と園の利用期間が異なることが一般的であります。
今、0歳から2歳児の、5歳児○○を利用する場合を、
委員からもご紹介いただきました。
そのほかにも、0歳から2歳児まで施設に通う
2歳児クラスに通うお子さんが、
年度途中に3歳になった場合、
こうした例が代表例でございます。
今回の谷原保育園も同様に、設置するクラス、
また、園児の年齢によりまして、認定の有効期間等、実際の利用期間には
違いが生じるものと考えてございます。
先程、保育計画調整課長からございましたように、
入園状況を明記した上で、募集をさせていただいた結果でございます。
谷原保育園は、令和6年度に2歳児クラスを設置いたしませんので、
現1歳児クラスの園児において、施設の対象年齢の上限、これは
1歳児までとなるものでございます。
<高口>
私が5歳児まで、とご紹介した例も「代表例」だと仰っていただきました。
承諾書には、谷原保育園1歳児クラスに特定した但し書きはありませんので、
区がこの承諾書で「契約成立」だと答弁したんですから、
契約内容を誠実に履行して、
2歳児クラスを設置するのが当然だと思います。
【3】子どものために、引継ぎに1年かけるべき!
練馬区は1歳児クラスの「引継ぎ」を
「保育参加」という言葉でごまかしていますが、
今行われている内容は、明らかな「引継ぎ」であり、
実際に、園児については「引き継ぎ」という言葉を、区も使っています。
もともと練馬区は労働組合と、
委託の場合、1年の引継ぎを行うことを双方確認。
これが現在の労使交渉の「到達点」です。
民間委託が開始した当初、
心身ともに疲れ果て、心を病んだり退職を選んだ職員も少なくなく、
組合としては今も委託に反対ではあるものの、
少しでも委託負担の少ない引き継ぎの合意を作ってきた経緯があります。
そのひとつが、事業者のリーダー保育士が1年かけて保育に入ることです。
こどもとの信頼関係をつくるのに、3ヶ月では短すぎるためです。
<Q3-1>
1年の引継ぎは子どもに少しでも無理がないようにと
労使交渉で設定した長さであり、
たとえ保育参加だろうと、
本当に子どものことを考えるのならば、1年にすべきだという点が1点目。
<Q3-2>
また、実質引継ぎであるにも関わらず、3か月で済ますことは、組合との労使交渉に反するものではありませんか?
2点、お答えください。
<A:保育計画調整課長>
引継ぎ、ということのご質問でございますが、
まず、申し上げさせていただきたいのは、
この、谷原保育園に関しては、区立園の業務委託、
ということではございません。
ということをまずお話させていただいた上で、
お答えさせていただきます。
私共ですね、区は子どもの事を第一に考え、対応しているところでございます。
谷原保育園からしろくま保育園、新設園への転園についても
同様でございます。
今回、約3か月に渡りまして、新設園の保育士等が、
谷原保育園の保育に入りまして、
お子さんの引継ぎを行っている。
お子さんとの関係づくり、ということで、
やっているところでございます。
それを「保育参加」と呼んでございます。
委託に関する「引継ぎ」とは異なるものでございます。
区に寄せられた、谷原保育園の保護者の方のご意見の中でもですね、
今回の保育参加、時間を掛けて丁寧にやっていただくだけでもありがたいと、
ホームページなどを見ても、新設園のホームページですけれども、
とても良い雰囲気の園になると思うと、いうことで、
4月からがとても楽しみであると、
いうようなお声もいただいているところでございます。
また、2月でございますけれども、
保護者さんとの懇談会をさせていただきました。
それに合わせてですね、新設園の保育士等が、保育参加した際の、
お子さんひとりひとりのご様子について、
保護者の方に個別に文書を配布をさせていただいたところでございます。
こちらについても、好評を得たところです。
3月の下旬まででございますけれども、
引き続き子ども第一の対応に努めて行きたいと、
このように考えてございます。
今回の転園にあたりまして、区は丁寧に対応していると、
いう風に考えてございます。
通常の保育園の転園については、転出先の保育園との引継ぎ、
というものは実施しないものと承知してございます。
尚、区立保育園の、運営業務委託、でございますけれども、
園の行事ですとか、プールの実施など、
区立保育園の運営をそのまま引き継ぐと、いうために、
1年という期間を設定しているものでございます。
改めますけれども、区立園の業務委託ではないので、
目的は異なるものでございます。
<高口>
いま、「引継ぎ」と課長もおっしゃいました。
園児については引継ぎ、ということをやっています。
それで、委託の場合ですけど、1年かけて、
保育の、子どもの引継ぎをしているのは事実ですので、
子どもの事を第一に考えたらこんなことできないと思うのですが、
子どもの事を第一に考えるなら、
最低でも1年の引継ぎをして頂きたいと思います。
それから、反対の声も上がっているのに
紹介しないのは偏っているなと思います。
それすらしない、1年の引継ぎすらしない谷原保育園の廃園計画こそ
周回遅れで、子どもの最善の利益を侵害していて、
労使交渉に反しており、撤回すべきです。
【4】中立性に反するのでは?
それから、今おっしゃった保護者説明会について伺います。
昨年12月の1歳児クラスの保護者説明会では、
2歳児クラスの設置を「要望として検討してほしい」という保護者に対し、
多摩福祉会と区がこう回答しています。
「経営的な話になりますが、4月1日に転園がないと、
しろくま保育園は新規入園児だけになります。
既に保育士を確保している状態で、お金が入ってこないことになります。
制度上で申し上げると、毎月1日時点での在園児数に基づき
運営費が入ってくるので、園児がいないということは困難です」
つまり、谷原保育園1歳児が来ないと、「経営的」に困るから、転園させると。
明確に、しろくま保育園の「経営」上の理由だと答えています。
<Q4-1>
園児がいないと困るのは、どの私立保育園でも同じですが、
他の私立民間園で、練馬区が一定の人数の入園を担保することが、
委託民営化以外で、他にこれまであったのかが1点目。
<Q4-2>
また、これは特定の民間事業者を利する結果となり、
中立性公平性に反すると考えますが、その点への見解。
2点、伺います。
<A:保育計画調整課長>
まず4月1日時点の園児数ということで、
新設園の法人さんが、一定数、入園が必要である、
ということを述べたというお話でございますけれども、
私共、保護者さんとのご説明の中でですね、やり取りした中で、確かに
そのような発言あった、やに記憶はしてございますけれども、
あくまでもお子さんをきちんと新設園にですね、
受け入れるという姿勢でご説明をしたものでございまして、
決して経営面の話だけをしたものではない、という風に考えてございます。
文脈は少し違うのかな、という認識でございます。
また、今、委員のお話がありました、民間園に対して一定の援助を確保して、
必ず入園させるような対応が他であったのかと、いうようなことで
ございますけれども、
転園を前提とした事例については、私共無いものと
承知しているものでございます。
<A:子ども家庭部長>
今回の、いわゆる谷原保育園の閉園に伴う新設園の誘致でございますが、
そもそも、隣接する区有地に民間保育園を誘致いたしまして、
谷原保育園の園児さんを引き継いでいただくと、いうような条件のもとに、
今回の新設園が開設されるものでございます。
そうした内容の中で、実施しているものですから、
法人さんからはそのようなご発言があったものという風に考えておりますが、
いずれにしましても、
谷原保育園における保育の継続性、これを担保するために、
区有地に新設園を誘致し、
引き続き谷原の子どもたちを保育に預けていただく、
というもので実施しているものでございます。
以上でございます。
<高口>
今、「引継ぎ」とおっしゃったようなんですけど、
民間じゃないんじゃないでしょうか。
「継続性の担保」という風におっしゃったんですかね、
委託じゃないと、引継ぎじゃない、とおっしゃっていたんですが、
「引継ぎだ」とおっしゃったことが事実だと思います。
それから、「発言があったように記憶」って、
区が作成した資料を私は読んでいるだけですので、その点はご承知ください。
この問題、行政としての信頼を損なって、
保育行政全体にも関わる大問題です。
小金井市では公立保育園廃園の訴訟が起きて、
「条例改正自体も無効」と、東京地裁が判断。
谷原保育園の廃園計画も無効の可能性が出てきた以上、
1-2歳児クラス含め、谷原保育園を存続させるべきです。
※参考:【NHK】小金井市の保育園の園児募集を廃止する条例は「無効」東京地裁
育児支援ヘルパー事業の充実を!
近年利用が急増している、育児支援ヘルパー事業について、
実績がかなり上がっているということで、
その一方で、ヘルパーさんが見つからない
リストの上から下まで電話しても断られた
という声を、複数聞いています。
こういう実態は、数字として出てきませんので、
<Q>
ぜひより多くの事業者に登録いただき継続いただくためにも、
委託単価の見直しを含めた制度の充実をしていくことが重要
と考えますが、見解を伺います。
<A:子ども家庭支援センター所長>
企業の見直しについては、実態ですとか事業所の意見を伺いながら
検討しているところでございます。
料金等の見直しについても、今後伺いながら、検討を行う必要があると
考えてございます。
以上でございます。
~ここまでで制限時間のため終了~
- ※高口補足:前向きな答弁が頂けて、よかったです!ありがとうございました!!!
※補足:質問全文
育児支援ヘルパーについては、時間切れで、用意していた質問を全部言えませんでした。
質問の背景などがわかるよう、こちらに掲載しておきます。
あわせてご覧いただけると、わかって頂けるかなと思います!
↓以下、質問
近年利用が急増している、育児支援ヘルパー事業。
2018年度から2022年度の5年の推移を見てみると、
子育てスタート応援券の利用実績は、
821→1076時間
他の既存事業が横ばい、減るなかで、右肩あがりです。
5年間で
利用世帯数は、317→597世帯に。
利用のべ時間は、1577→3087時間と、
約2倍ものびています。
その一方で、
ヘルパーさんが見つからない
リストの上から下まで電話しても断られた
という声を、複数聞いています。
こういう実態は、数字として出てきません。
育児専門ではなく介護系事業者が多く、
事業者は毎年入れ替わりがあり、
5年前の2019年度、29社あったうち、11社が撤退
2023年度は24社で、6社が新規です。
区内事業者でも1年でやめるところもありました。
24社あっても地域が分かれているので、
実際に選べるのはどの地域も実質11社です。
事業者の方からは、養育困難なご家庭に伺い、
対応が難しいこともある、という声も伺っており、
スキルの必要な事業です。
Q:より多くの事業者に登録いただき継続いただくためにも、
委託単価の見直しを含めた制度の充実をしていくことが
重要と考えます。見解を伺います。
※民間保育園に関する的外れな批判への批判
※こちら(X)にUPしたものの転記です。
区立保育園、公立の保育園を守ろう
という話になると、
いつも必ず、お決まりのワンパターンで、
民間を悪く言っているかのような的外れな批判を議会でされるのですが、
そんなことは全くもって一言も言っていません。
公立保育園が潰されようとしているので、潰すな、残せ、守ろう、という話をしているわけです。
公立も民間も、地域の保育にとって必要だからです。
だいたい、練馬区は「子育てを選択できる」社会をと言っているのだから、「区立園に入れたい」という保護者の「選択」を尊重すべきではないですか?
区自らが掲げた理念を守るように指摘するのは、議員としての当然の務めです。
私も子どもは民間園でしたし、民間園が悪いなんて全く思っていません。
民間園に通わせている保護者、民間に勤めておられる保育士さんが、全員、「区立園はなくなれ」と望んでいるのでしょうか?
私はそうは思いません。
どちらも、地域の保育を豊かにしあう仲間だからです。民間の保育士さんでも、民間委託に反対され、運動に参加している方もいらっしゃいます!
それなのに、
区立園を守れ=民間園はダメだ
という論理になるのでしょうか?
なりませんよね。
なぜそんな解釈をするのか、私には不思議でならないのですが……
自分たちは、「民間だけでいい=区立はつぶれろ」と主張しているから、
私たちが「区立も残そう」と言うと、民間が悪いように受け取るのでしょうかね?
私には理解できない論理ですが……
ひとつ訴えているのは、民間の保育士さんの給与の低さ、待遇の低さで、しっかり上げるべきだという主張はしています。
もしも仮に、練馬区が民間園をつぶそうとしているのなら、私は民間園も守ろうと全力で訴えますよ。
今は区立をつぶそうとしているから、区立園を守ろうと言っています。
民間も区立も、どちらも支え合って、地域の、練馬区の保育を豊かにし合うために、必要です!