23区で唯一、児童相談所をつくらない練馬区…児童相談行政の行方

児童虐待のかなしいニュースが起きるたび、「なぜ助けられなかったんだろう?」「何かできたんじゃないか」と思わずにはいられません。

「地域の子どもは、地域で育てる。地域で守る」
が基本だと私は思うのですが、23区で唯一、練馬区だけが、「児童相談所は、都がやるべき」と断言しています。

児童相談所の様々な問題が取りざたされています。保護されている子どもの、人権の問題。職員の多忙化・待遇の問題等……。

そういったことを、自分たちの手の届く範囲で新しいかたちを作っていくことは、とても重要だと思うのですが。

たとえば、設置を進めている世田谷区の資料「世田谷区における効果的な児童相談行政の推進について 中間報告」
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/103/138/d00160938_d/fil/01_tyukangaiyouan.pdf

都と区のはざまで、「支援のすきま」ができることの問題点が指摘されています。

>子ども・子育て・若者支援に関する資源が多く、顔の見える関係にある地域の支援を最大限活用

まさにこれです。「顔の見える関係の地域の支援」こそ、児童相談所を練馬区に設置する意義だと思います。

児童相談所にしかできないことが、様々

一時保護など、児童相談所でないとできないことはたくさんあります。たとえば、認可外保育所関連など、一時保護以外にも様々な業務を負っている児童相談所。

保健相談所も区の管轄ですし、今や様々な事業が、区の担当となっています。その連携を考えても、区でやることのメリットは大きいと感じます。区自身の言う「妊娠期から子育て期までの切れ目のないサポート」を実現するためにも、児童相談所が区にあることは、重要です。

(参考)児童相談所のしおり
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/jicen/others/insatsu.files/shiori2018.pdf

里親事業も、児童相談所の役割

一時保護には、里親(養育里親)がとても重要だと言われています。施設ではなく、家庭的な環境にいられることや、学校に変わらずに通えることが、子どもにとってとても大切です。

その里親事業は、児童相談所の役割。

児童相談所を設置することで、この重要な事業も、主体的に取り組むことができるのです。

「練馬モデル」って何?

一方で練馬区は、独自の体制を整える「練馬モデル」なるものを実施しようとしています。

具体的には、

  • 都との連携を強める
  • 弁護士、児相OBなどスーパーバイザーの配置
  • 心理士、保健師、非常勤相談員等、支援体制の増員
  • 都児童相談センターへの区職員(課長級=管理職+一般職員)の派遣
  • 要支援家庭対象のショートステイ事業、受け入れ対象年齢の拡大

などです。

区は、「東京ルールを改訂し、区の業務と児相の業務を整理して対応する」としていますが……

今後も、練馬区の児童相談行政について、真剣に注視していきます。みなさんも、ご意見をお寄せください。
info@koguchiyoko.net