「練馬区虐待対応拠点」は「児童相談所のかわり」にはならない!1/30文教レポ

1/30開催の文教児童青少年委員会、レポートです。

都区共同モデル事業「練馬区虐待対応拠点」

「児童相談所は作らない」と明言している練馬区。そのかわりに打ち出してきたのが、この「虐待対応拠点」。

令和2年7月、子ども家庭支援センターが、区役所裏手の新築ビルに移転。あわせて、この「拠点」も、センター内に設置するとのこと。

★内容は…「週1回、都児相職員3-4名が来る」

  • 都児相職員の練馬区担当=約20人
  • そのうち3-4名が来る
  • 来る人は、毎回同じではない
  • 週1回+必要時
  • 必要時とは…虐待通告があった時など。ケースに応じて判断。

というわけで、基本的にはわずか、「週1回、3-4名」に過ぎません。

★1分1秒を争う「一時保護」や、重要な「里親委託」は行わない

週1回で、何ができるのか、が問題です。

業務内容は、

  • 虐待通告に基づく家庭訪問
  • 区子センとの情報共有、合同調査等
  • 児童・保護者面接
  • 家庭復帰に際する調整、指導
  • 人材育成

何より肝心の緊急度の高い「一時保護」や、「里親委託」は、これまでどおり、都児相の本体で行い、この区の拠点では行いません。

区に拠点を置く意味は、迅速に一時保護できる=近さの最大メリット、ではないのでしょうか……?

区は高口の質問に対し、

「毎週保護があるわけではない」

と答弁しましたが、「いつ起こるかわからない」からこそ、「毎日いる」ということが、重要なのではないでしょうか?

★かかる費用は…家賃だけで、月800万円

私は基本的に、子どもにかけるべき必要な費用がどんなに多くても、歓迎すべきと思っています(こどもが未来の社会をつくるから)。

しかし、今回は「週1回、3-4名都児相職員がくる」という点に、

  • 家賃だけで、月800万円
  • 1年間で約1億円

……それならば、しっかりと腰を据えた児童相談所をつくるべき……と考えても仕方ないのではないでしょうか?

★障害、DV、貧困…虐待の陰に、社会のあつれきが

先日、母親が出産直後、バイトに行っている間に、赤ちゃんが死んでしまう……という、本当に痛ましい事件が起こりました。

そこにあるのは、貧困や孤独……。

児童虐待は、虐待だけでなく、多くの問題が潜んでいます。

だからこそ、区の他部署とも広く連携をし、幅広い支援が必要なはず。

「専門的、広域的だから都で」という考え方では、踏み込めない支援があるのを感じます。

★このままでいい?

この「虐待対応拠点」で本当にいいのか?
包括的に児童虐待に取り組むためにも、児童相談所を作るべきではないのか……?

やはりまだまだ、考えていかなくてはならない、大きな問題です。

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