【練馬区議会・区民生活委員会視察レポート②】福岡市美術館〜「改修」だからこその魅力

【練馬区議会・区民生活委員会視察レポート②】

福岡市美術館

1979年に開館し、40年たった
2019年に「リニューアルオープン」!

…つまり、練馬区立美術館のように
改築(建替え)ではなく
大規模改修(修繕)をした、
福岡市美術館さんを
視察させていただきました。

https://www.fukuoka-art-museum.jp/

★なぜ改築ではなく改修に?

何はともあれ、これだけは聞かねば!
ということで…

改築は検討しなかったのですか?
と質問すると、

「改築の話は出なかった」
「建物を残す前提」
とのこと!

「変えるべきところを変え
100年残そう」

とまでおっしゃる強い思い!
元の設計へのリスペクトを感じます。

★大地震にも耐えた頑丈な造り

2005年の福岡県西方沖地震、
リニューアル前でも被害なし。

時間がたつほどに、その頑丈さ、
設計のよさがわかってきたそうです。

★前川國男氏の設計

有名建築家で、
あのル・コルビュジエにも師事した
前川國男氏による設計。

改修の際も、前川國男事務所の方々が参加しています。

「外見はほぼ変えていない」
とおっしゃる通り、

令和の今ではもう作れない
昭和だからこその重厚な設計、
時間を経て熟成された魅力にあふれています。

★時代を経た館内アート

釉薬の反射がなんとも魅力的な「打ち込みタイル」

無機質なコンクリートの質感を変える「はつりコンクリート」

アーチ状の「かまぼこ天井」や
柔らかな照明…

建物自体が、時間を経たゆえの美術品のよう!

★変更点はバリアフリー

多目的トイレや幼児用トイレ、
支援が必要な方の入り口のインターホン等
バリアフリー、
ユニバーサルデザインに変更。

エレベーターの増設等はなく、
2階へは、階段がメインです。
(今の練馬区立美術館と同じですね)

★大きく変えたのは入り口

人の多い大濠公園側からも
入れるように変更しました。

以前は「森に迷い込んだように」との意図から、
あえて入りづらい設計になっていました。

今は、目の前の水面や開けた景観が、
とても心地よく!

★とても広い!

敷地面積 25845㎡
延床面積 14713㎡
建築面積 8630㎡
の2階建て。

大濠公園という広々した環境とマッチ。

その土地に合った、
その土地に求められる設計が
ありますね。

★重要文化財を所有

重要文化財を48件収蔵。
特に、12世紀の薬師如来像は
穏やかで優しいお顔つき、
拝見すると心が洗われます…

土地は県有で、増築を希望したものの、
できなかったそうですが
収蔵庫は、他の倉庫を整理し、広げたそうです。

★常設展と特別展

コレクション展(常設展)は200円と入りやすいお値段ですが、
今開催中の特別展は、1600円と、お高め。

練馬区立美術館も今の改築案だと
常設展と特別展の両方を作る予定ですが
特別展の値上げの可能性も、
あるかもしれません。

特別展では、アニメロボット展、香取慎吾さんの個展など、個性的な企画も。新しい層を呼び込みたい、という思いを感じます。

★改修費用は?

改修にあたり、PFIを採用。
西日本新聞社に、
改修から運営、広報、人件費などすべてを含めて、
2016-2034の18年で107億円。

高いように感じますが、長期の運営を含んでの値段。
練馬区立美術館は、建物の工事だけで81億円予定なので、そちらのほうが高く感じます。

★学芸員は直営職員

学芸員の方に中をご案内頂き、
作品の解説もとてもわかりやすく、
「なるほど!」
と、さらに深く楽しむことができました。

学芸員は全員、直営職員とのこと。
教育普及専門員という、教育普及専門の学芸員さんまでおられます。

5年後の展示会の企画もあり、
指定管理だと5年のため、長期で運営しづらくなるそう。

学芸員さんの待遇も、重要ですね。

★ありがとうございました。

たくさんお話を聞かせてくださり、
本当に勉強になりました。

福岡市美術館の皆様、
ありがとうございました。


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