11/4「”障がい”を考える会」レポート~ともに、地域で生きるために~

11月4日(日)、桜台地区区民館にて、「”障がい”を考える会」を開催しました。

高口ようこサポーターの中に、特別支援教育に携わる者が多いことから実現した、今回の企画。特別支援学校の元教師、放課後デイサービスの職員、学校生活支援員、そして保護者……。メンバーそれぞれの立場から、考えを語ってもらいました。

学校生活支援員より…「すべての親子が、思いやりの中で育ってほしい」

  • 毎朝、子ども達の登校を見守り、1時間目が始まります。
  • 子ども達と給食を食べ、掃除をし、休み時間も遊び見守り、下校までずっと一緒に、子ども達と過ごしています。
  • 子どもたちは基本的にはクラスで過ごしますが、支援学級の中で能力別にグループに分かれて学習をしたり、通常級と一緒に、体育などをやる子もいます。
  • 支援級と通常級を行ったり来たり、忙しく過ごす子もいます。
  • 掃除や当番仕事等、やるべき時はやる。そこは厳しく注意されます。社会に出た時、本人が困らないよう、しっかり教えられます。
  • 練馬区の特別支援学級では年に2回、練馬区少年自然・ベルデ軽井沢と岩井に、2泊3日の宿泊学習に行きます。自分の身の回りの整理、支度、布団を敷く、風呂での体の洗い方など、家庭とは違う環境でみんなと過ごします。この宿泊学習の後は、みんなちょっとお兄さんお姉さんになったよう。成長が感じられ、私たちも嬉しいです。
  • 支援学級では非常勤が2人つき、臨時支援員も1人います。各教室に大人が2人以上いる状態が、インクルーシブ教育の実現には必要だと思います。
  • 練馬区の通級の種類は、情緒学級のほかに、耳の問題がある「聞こえの学級」、言葉の遅れのある「言葉の学級」、弱視の子には「目の学級」があります。中には本当は「言葉の学校」よりも「情緒学級」の方が適しているのですが、個別指導を望みたいので「言葉の学級」を選択している子もいるようです。
  • 数年前から「情緒学級」は、地域で年度ごとに拠点校を決め、近隣の学校に先生が行く、派遣型になりました。これにより、子どもたちがわざわざ通うことはなくなりましたが、良し悪しは何とも言えないと、私は思っています。
  • あたりまえですが、発達障害を持っているお子さんも、みんなとなんら変わらない、大事なかわいいお子様です。大事な命です。その子を見守る環境が一番大事で、ご家族の心の安定のための環境も大事。すべての親子が、思いやりの中で育っていってほしいな、と思います。
  • お子さんの二次障害を生まないためにも、周りの理解があってこそ、と感じています。

特別支援学校元教師より…「どんなに重度でも、一緒に学ぶ権利がある」

  • 障害者権利条約を中心として、どんなに重度・重複の障害児でも、一緒に学ぶことが権利であり、分けることは差別だというのが、世界的な流れ。分けない教育を望んでいるのに受けられないのは、権利侵害です。
  • 本来はお金をかけていろいろな条件整備をすべきだが、現状ではそれができない状態。しかし、条件が整っていないからできないという考えだといつまでも一緒にはなりません。
  • そのうえで……それぞれのメリット、デメリットがあると思います。
  • 「特別支援学校」のメリット
    ・専門的な教育が受けられる→疑問
    ・障害児教育の専門的教育を受けた教員は少なく、臨時採用の教員も多い
    ・経験による専門性はある
  • 「特別支援学校」のデメリット
    ・友達からの刺激が少ない
    ・地域に友達を作りづらい
    ・授業時数が足りない
  • 「普通学級」のメリット
    ・卒業後も地域で生きていきやすい!
  • 「普通学級」のデメリット
    ・施設・設備が整っていない(地域やボランティアの力を借りれば可能ではないか)
    ・授業についていけないことがある(別室で教える方法もある)
  • 健常の子どもたちにとって、障害児のいない学級のメリット
    ・勉強に集中できる
  • 健常の子どもたちにとって、障害児のいない学級のデメリット
    ・障害を持つ友達と一緒に生活しないと、思いやりが育たないのでは
  • 健常の子どもたちにとって、障害児のいる学級のメリット
    ・友達の個性を認め合える
  • 健常の子どもたちにとって、障害児のいる学級のデメリット
    ・迷惑をかける可能性がある(特性を知れば防げる)
    ・担任が、ただえさえ過労死ラインといわれるなか、対応しきれない

放課後デイサービス職員「法改正で、手厚いデイほど厳しい状況に」

  • 「今日は楽しかったな、よかったな」と言ってもらえるよう、一人ひとりにあった、その子らしいケア、支援を心がけています。
  • 認可の基準以上に、手厚く人員を配置していますが……。
  • 利益優先の他業種の参入が急増し、2018年4月、法改正。基準が厳しく!
  • 8割の放課後デイが、2割の減収に……。
  • 中村橋の放課後デイも、閉鎖に追い込まれました。
  • 手厚くやっているところほど、厳しい状況になっています。

保護者Aさんの場合…「”普通の子育て”を早くあきらめてよかった」

  • 子どもは高校生。通級に通っていました。
  • 通級に行くよう指摘されて、「やはり普通の子とは違うんだ」と思いましたが、「普通の子育て」を早くあきらめることができて良かったと思っています。無理強いせず、好きなことをさせていた小学生時代でした。
  • しかし、中学は内申点があるので、簡単にはいきませんでした。

保護者Bさんの場合…「我が子が”日常風景”になる」

  • 子どもは小学生で、発達障害。普通学級に通っています。
  • 我が子がいることが「日常風景」。まわりも先生も慣れます。
  • 障害がなくても、問題のある子はたくさんいるのだと知りました。障害があるから、大変とは限りません。
  • それでも、心が折れそうなことも……吐き出す場所を見つけて、吐き出しています。
  • もんもんとしなくて済む、ストレスフリーな学校になればな、と思います。

保護者Cさんの場合…「親も子も、年をとる……」

  • 子どもは難病で、今は成人。
  • 人間の生には多様な機能があり、機能の一つを失うことは、ありうること。
  • 親も子も年をとる。それが今、一番の問題。

高口より~区政の現状は…

高口からは、練馬区が、特別支援教育や障害者の施策について、どんなことを行っているのか、インクルーシブ教育を実現していくにはどんな問題があるか、ご報告しました。

  • 障害児保育園ヘレンについて
  • 区立の民間委託が進み、私立の認可保育所や小規模保育所が増えるなか、区立幼稚園が障害児の受け皿になっていること
  • 発達障害への対応……一般質問で質疑しても、区は「すでにやっている」「研修もきちんとしている」という答弁。現状のままでは、実際に困っている親子がたくさんいるのに…
  • 障害者就労、練馬区の取り組み(レインボーワーク)について
    *決算の質疑:http://koguchiyoko.net/nerima/20181011gaikaku/
  • 区議会のインクルーシブ教育に対する無理解→区議会を変えねば!

座談会~子どもを変えるより、社会を変えよう!~

その後、参加者の皆さんと意見交換へ。

  • 「障害があっても、やりたいことをやればいい」という、当事者の力強い声。
  • 「子どもはみんな、迷惑をかけるもの。この子を変えるより、社会を変えよう!」という、保護者。
  • 普通級に通っていた兄弟が、おとなになった今も「学校に行く!」と言い、「みんなと一緒に生活したい」と意欲を見せるという、ご家族の言葉。
  • 我が子には特別支援学校しかない、と考えていたお母さんが、普通級に通わせる複数の実体験を聞き、思わず涙ぐむ場面も……。

 

障害のある子が大切にされない社会は、健常の子も大切にされない社会。障害は、社会の側にある。いろいろな人が、ともに生きる環境は、私の子のため、私自身のため……。「みんな一緒に、地域で生きる」ことが大切だと、高口は信じています。

長い道のりかもしれないけれど、できることから実現していきたいです!

当日はお子様連れの方も複数いらしていただいたおかげで、とても賑やか♪(こどもたちのかわいいこと~♡) 腹を割って本音を言い合い(?)、あっという間の時間でした。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!