【高口質疑】①旭丘の小中一貫校→新校名から見える地域の思い、②適正配置方針の問題、③小中一貫校の課題に対応を!【練馬区予算・全款】
2024年3月8日、練馬区議会・予算特別委員会の質疑最終日(全款2日目)。
旭丘の新校、小中一貫校や統廃合について質疑しました!
【A】旭丘の新校、学校名から見えた地域の思い
旭丘の小中一貫教育校について伺います。
【A-1】校名決定の経緯
①公募の中にない学校名に
新校の通称名が「みらい青空学園」に決まったのですが、
この名前は、まず公募をし、
567人から870件も集めた校名案のうち、
ゼロ件。なし。
わざわざ、学校の授業時間まで使って、子どもたちにも案を出させたのに
募集案の中にない校名になりました。
②最終候補すべて、公募案にほぼなし
最終候補だった他4案も
- 旭丘小竹学園:5件
- えこだ学園・えご花学園:各2件
- あさひの森学園:0件
計9件のみで、
そもそも公募案の中からほとんど選ばれていません。
↓予算質疑に当たり資料請求し、区が作成した資料↓
③決定までの経緯1:公募案は「旭丘」が圧倒的多数
決定までの経緯をたどると、
まず、870件の募集結果からは、
「旭丘」という名前を残したい
という強い思いがわかります。
実際に「理由」の欄で、
「旭丘の名前を残したい・入れたい・変えたくない・なくさないでほしい」
という意見が50件以上もあり、
他にも「そのままがいい」など、今の校名にこだわる理由が目立ちます。
校名案をみても、
「旭丘」「旭」、漢字違いの「朝日」、ひらがなで「あさひ」など
「旭丘」に関連する案が347件と最多。
一方、「小竹」「竹」、ひらがなで「こたけ」など、
小竹に関連する案は7分の1の46件。
旭丘と小竹の組み合わせ、両方に関連する案は
33件に過ぎません。
また、「旭丘」そのままを使っている名前が120件に対し、
「小竹」そのままの名前はわずか8件です。
つまり募集案からは、
「学校名を旭丘にしたい」
という思いが読み取れます。
④決定までの経緯2:推進委員会でも「旭丘」案が強い
この公募ののち、推進委員会(※)が6グループに分かれ、
公募案から候補を選んだのですが、
※練馬区立小中一貫教育校推進委員会とは
- 町会、PTA・学校関係者で構成
- 傍聴禁止・公募なし=非常にクローズな会議体
- 未就学、これから入学する保護者等の参加はなし
そこでも、12案中6案が「旭丘学園」など、「旭丘」単体の名前。
この「旭丘学園」は公募案のうち46件もある人気の案です。
2回目の委員会でも同様で、
7案中3案が「旭丘」のみの名前でした。
ちなみにここまでで、「青空」はまったく出てきません。
さらに、推進委員会の最終候補にも「旭丘学園」がありましたが、
委員会終了後に、練馬区によって弾かれて、なくなりました。
<Q1-1>
なぜ最終候補まで残った「旭丘学園」を推進委員会終了後に
はずしたのか。
<Q1-2>
公募や推進委員会で最も強い
「旭丘」という名前を残してほしいという意見、思いについて、
区はどう受け止めているか?
2点、伺います。
<A:教育施策課長>
統一学園名につきまして、でございます。
推進委員会でですね、公募案から絞り込みを行う際、
私共、区から現在の3校を統廃合し、新たな学校とする方針を、
改めて説明させていただきました。
もともとの公募案の中にも、「旭丘小竹学園」という案があったり、
また推進委員会から、両地域を表す「旭丘小竹学園」を
候補に入れたい、そのような声もいただいた所です。
最終的に、区の方からというお話、ご案内ございました。
私共から、方針との整合が取れないことから、
旭丘学園ではなく、旭丘小竹学園を候補とする旨を、
委員の皆様全員に個別に説明いたしまして、
その旨了承いただいた、委員会としての総意を得た、
というものでございます。
また、「旭丘」という件数が多かった、
というようなご趣旨のお話でございます。
件数といたしまして、事実でございます。
公募を募る際に、案の数の高ではない旨は、
あらかじめご案内しております。
旭丘小中の卒業生から、旭丘の名前を残したい、
というような声もいただいた所です。
愛着のある名称だと、そのような認識をしております。
一方で、旭丘、小竹両地区のこどもが通う学校だから、
どちらかを優先させるような名前はふさわしくない、
こう言った意見を、公募でもいただき、
推進委員の中からも、ご発言をいただいた所でございます。
【A-2】旭丘も小竹も残すのが地域の総意!
①区の統廃合の方針のために、旭丘の名前が消えた
「方針との整合性が取れない」ということで、
委員会終了後に外した、ということでした。
件数、事実ですけど、多寡ではないという説明でしたけど、
「0件の案から選ぶ」というのは
公募とかあるいは推進委員会の合意の軽視
ではないかなと、私は感じております。
やはり、
区の統廃合の方針があるために、
旭丘の名前が無くなった
と私は考えております。
②統廃合の地域の合意はとれていない
そもそもなぜ、旭丘という案が最多となったかと言うと、
区が言う、「3校を無くして新しい学校に」という合意が、
小竹だけでなく、旭丘でも取れていない表れだと言えます。
私の周りでも、いまだに、
「統廃合はどうなっているのか?」
「わからない」
「情報が無い」
という声ばかりで、地域の理解も進まない中、
地域の方にとって、この学校は「旭小」「旭中」なのです。
<Q2>
正式名称の変更には条例改正が必要ですが、
練馬区としては、正式名称の変更手続きを
いつどのような形で行う想定にしているのか、伺います。
<A:教育施策課長>
今回投票いただきました、
「みらい青空学園」という名称につきましては、
公募の案では0だった、というところは事実でございますけれど、
「みらい」ですとか
「希望」ですとか、
そういう声が多かったのを受けて、
推進委員会の皆様から、
「みらい青空学園」というような候補をいただいた、
ものでございます。
この点は申し上げさせていただきます。
※高口補足:「多かった」というのはどのくらいかというと…
- みらい:10案
- 青空:6案
※希望→不明(答弁なし)
資料からは「希望学園」「きぼうがっこう」「きぼうの小学校」がありました(3件)。「旭丘」のほうが圧倒的に多いです。
手続きの話でございます。
統一学園名は通称名でございます。
条例上は、小中学校ごとに校名を定めることとなります。
光が丘地区の小学校の統廃合と同様に、既存の学校を廃止し、
新たな学校を新設する位置づけとなる、
練馬区学校設置条例の改正を行う必要がございます。
この時期につきましては、今後の検討の上、
然るべき時期に、必要があれば手続きを行う、
というものでございます。
③小竹小が残れば、旭丘中・旭丘小も残る!
恐らくですけれど、
統廃合すぐに、校名を条例改正という事ではなくて、
開校と同時にではなくて、
小竹小統廃合した時期に条例改正するっていうのが
他の事例を見てもわかるかなあと思います。
つまり、このまま小竹小を統廃合すれば、旭丘も小竹の名も消えますが、
まだ「みらい青空学園」は通称名なので、
小竹小が残れば、正式名称の「旭丘小学校」「旭丘中学校」も残ることになります。
それが地域にとってのWinWinだと申し上げて、
【B】適正配置やば!!
続いて、『適正配置基本方針』について伺います。
【B-1】一般質問続き:適正規模の根拠は、ない!
来年度、練馬区がいよいよ、統廃合の候補校を抽出するとしているなか、
先日の一般質問で、様々な能力や社会性等が
「12-18クラスという「適正規模」だとより身につく
という科学的・客観的・合理的な根拠を、具体的に提示ください」
と聞きましたが、具体的なデータ等の答弁はありませんでした。
区が根拠としてあげた
「平成21年の中央教育審議会作業部会の報告」
を読みましたが、
そこにも具体的な数値、データ、研究結果等はありません。
科学的客観的合理的な「根拠はない」ということだと、理解しました。
【B-2】20年後の人口動向→練馬エリアは増える!
『適正配置基本方針』では、
「学校別児童・生徒数×人口推計増減率=20年後の学校規模」
で算出するとしています。
この人口推計は、企画課が
『第3次みどりの風吹くまちビジョン』
作成時に使ったデータを用いると確認しましたが、
これは練馬・光が丘・石神井・大泉の4エリアの
大まかなデータしかありません。
↓資料請求し、練馬区が作成した資料↓
2023年・令和5年から、20年後の2043年・令和25年に
年少人口(15歳まで)が増えるのは、練馬エリアのみで、
1351人、7%の増加。
光が丘エリアは1293人、6%の減、
石神井エリアは2599人、11%の減少。
大江戸線が延伸した想定のデータですが、
大泉エリアも270人、2%の減少です。
<Q3-1>
20年後の人口推計として、練馬エリアのみ増えるのであれば、
当然エリア内にある小竹小は20年後も適正規模となり、
統廃合の対象になり得えませんが、
統廃合の方針を出しているから、
小竹小は除外して候補校を抽出するのか?
小竹小も含めて算出するのか?が1点目の質問。
<Q3-2>
また、5年後の児童数推計の資料いただきましたが、
旭丘小・小竹小あわせて微増で、
35人学級換算で14-15クラスとなり、
新校は12クラスしかつくらないので、
5年後でも統廃合のタイミングが来ないと言えますが、
この地域の子どもが急激に減る見通しがあるのか?
2点伺います。
<A:教育施策課長>
今般お示しいたしました、
適正配置の基本方針素案では、
児童生徒の教育環境の充実を第一に考え、
適正規模の確保を目指して行くものでございます。
こういった考え方に基づきまして、
旭丘小、小竹小につきましても、
両校の児童生徒数推計を踏まえ、
教室数であったり、周辺環境、隣接校との位置関係も加味して、
総合的に判断していくものでございます。
また、子どもたちの数が、大幅には減らないのではないか、
というようなお話でございます。
私共が入手しております、
東京都人口等推計におきましても、
大幅な減少、というものではございません。
また、全体といたしまして、少子化トレンド、
そして区のビジョン、そして直近の東京都教育人口等推計、
これらを鑑みまして、総合的に考えて参るところでございます。
また、議員のご発言の中で、
適正規模に関する根拠がないのではないのか、
というようなお話ございました。
国の地方審議会、私共の適正配置検討委員会でも、
学識経験者や、子どもと向き合っている校長先生方が参加し、
意見をいただいているところでございます。
そのような方の知見であったり、経験則に基づく発言ということですから、
これをただ一方的に根拠が無いと言うことは、不適切でないのかな、
そのように考えているところ、申し上げさせていただきます。
【B-3】「攻めの防災」なら、小竹小を一刻も早く改築せよ!
「大幅の減少じゃない」っておっしゃいましたけど、
「微増」ですからね。
同じデータを見ていると思います。
練馬区からいただいたデータですから。
子どもの事を考えると、おっしゃいましたが、
5年後で、小竹小は築70年となり、あまりにも無責任だと思います。
能登半島地震をもって「攻めの防災」と言うなら真っ先に、
最も古い校舎を改築改修するのは当然の責務であって、
100%絶対大丈夫と言い切れるのか?
何かあったら誰がどう責任をとるのか?
一刻も早い改築を求めて、
【C】施設一体型小中一貫校の課題への対策を
以下、我が子も通う旭丘の新校をよくしたいからこそ、小中一貫校の問題について伺います。
【C-1】「中1ギャップ」はない!
小中一貫校が2000年に広島県呉市で開校して20年以上たち、
小中一貫校の課題も見えてきました。
施設一体型ですね。
そもそも「中1ギャップ」が問題とされ、
その解決等のために始まった小中一貫校ですが、
文科省の国立教育政策研究所さえも
「中1ギャップという語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない」
と、2014年の時点で明言しています。
【C-2】「小6問題」への対応が必要
いちはやく施設一体型小中一貫校に取組んできた つくば市は、
課題の大きさから、ついに施設一体型をやめる転換を表明。
そのつくば市の調査報告書では、
「6 年生がしっかりしないのが顕著」
「意欲があまり感じられない」
「リーダーも任せられない、任せてもらえない」
等、6年生の課題があげられ、その原因について
「従来であれば児童会や行事において最高学年、リーダ-として大きく成長する時期に、さらに上級生の中学生がいるためにその役割を期待されず、任せられないことによる成長・発達の課題が生じることが指摘される」
「中央教育審議会答申(2014年)においても「小学校高学年のリーダー性、主体性の育成」が「(児童・生徒の)課題」として指摘」
と記されています。
いわゆる、「小6問題」です。
さらに、9年間、74校8789名を対象にした大規模調査でも、
「高学年段階のリーダーシップ」は、一貫校の児童のほうが低い結果。
また、
- 「学校にくるのが楽しい」といった「学校適応感」、
- 「精神的健康」、
- 自信・有能感などの「コンピテンス」
- 独立性・協調性など
複数の項目で、4・5・6年で、一貫校が非一貫校を下回る傾向です。
一方で「体がだるい」など「疲労」の数値が高い等、
一貫校では6年生から環境負荷が高まり始めるとの調査結果です。
また、区は過小規模校のデメリットに「人間関係の固定化」をあげていますが、
小中一貫校はまさに、9年に及ぶ「人間関係の固定化」が課題にあがっています。
<Q4-1>
旭丘を良くしたいからこそという前提で、
この小6問題への対策として、
6年生が最上級生としてリーダーシップを発揮できる場面をたくさん設けたり、
中学校から新しいクラスメートがたくさん入るなどの対策が必要
と考えますが、新校開設にあたり、小中一貫校としての課題に
区としてどう対応するのかが1点
<Q4-2>
また、3校を統廃合した場合、教員が何人減る推計か?
2点伺います。
<A:教育施策課長>
小竹小学校防災の観点からというご発言がございました。
小竹小学校の施設状況でございますが、
21年度に耐震改修工事が完了している点、
はっきりと申し上げさせていただきます。
教員の数でございます。
基準に基づきますと、試算の上でございますけれど、
4人、人数が減る、という試算でございます。
※高口注→先生が減るのが、子どもにとってよいこと???
<A:教育振興副参事>
今、ありました小学校6年生のリーダーシップの件でございますけれども、
先行している桜学園の方では、6年生のリーダーシップを育てる取り組みを意図的に行っています。
教育活動の場面を様々工夫することによってそれらは一定程度解消できると考えております。
そのほか指摘される課題についても、
既に小中一貫教育の研究でも指摘されている点もあります。
4・3・2制だけでなく、6年生・3年生制の
小中一貫教育の在り方もありますので、
各学校の実態に応じた、適切な方法を今後も検討してまいりたいと思います。
以上です。
★小竹小の存続が、より重要に!!!
小竹小が残りさえすれば、
9年の人間関係の固定化も避けられる
メリットがあると申し上げております。
~ここまでで制限時間により終了~
議論をするには時間が足りなすぎるのですが……
後日、Xにて、論点を追記したので、そちらもあわせて掲載しておきます
【追記】一貫校は、中学への期待が薄れるデータ
旭丘小中一貫校の学校名の公募から、わかったこと。
「旭丘」という案が一番多かったことが、何を意味するか。
「旭丘小中と小竹小を統廃合して、3校ともなくして、新しい学校をつくる」
という練馬区の方針が、地域に全く伝わっていない、合意や理解が取れていない、ということです。
何年たっても地域の理解が進まない方針は、撤回すべきです。
子どもも地域も望まないものを押し付けて、いい方向にいくでしょうか?
今ならまだ間に合います。
また、練馬区は小規模校のデメリットに「人間関係の固定化」をあげていますが、小中一貫にすると、むしろ「9年に及ぶ人間関係の固定化」が、大規模調査から指摘されている課題なのです。
区自らが言うデメリットを克服できない。
一つだけ方法があって、
小竹小が残り、中学校から合流することで、その固定化のデメリットは避けられます。
小竹小が残るメリットが、両校にとっても大きいのです。
そして、各調査で最も興味深かったことは…
施設一体型小中一貫校で、中学生の姿を間近に見ていると、中学校への憧れや期待が”薄れる”こと。
期待は弱まるけれど、予測していた「悪いこと」は、実際に起きてしまうこと。
逆に、非一貫校のほうが、中学校への期待が高く、中学に入ってからもその期待が高いぶん、悪いことが起きても乗り越えられる、という調査結果です。
中学校に入ってしばらくは、慣れない環境で落ち込んだとしても、小学校で、6年生としてのリーダーシップ等しっかりと育んだ力が、中学校生活を支え、子どもが伸びていく。
6-3制度は子どもの発達段階にも沿っていて、早く中学校生活に慣れさせればいいというわけではないのです。
自分を振り返っても思うのですが、中学生の時期って不安定で、自分のことで手一杯で、いつもいつも、”素敵”で、憧れの存在でいられるわけではないですよね。
その現実を小学生が、いつも一緒にいて見ていると、期待が下がってしまうと。それが現実というのは、実感としても納得できます。
地元の中学生が、
「一貫校になって、下の子の面倒を見るなんてイヤだ」
と言っていたことが、ずっと心に残っています。
中学生の本音ですよね。
中学生は、中学生として大事にすべき時期です。
もちろん下の子の面倒を見るメリットがないわけではないけれど、どうしても施設一体型だと、その場面が大きくなる。
時々、下の子たちと交流して、素敵な面を見せてあげる、憧れられるスタンスや距離感が大切ではないか。
練馬区には、旭丘がよい学校になるよう、新しい小中一貫校で対応すべきこと、質疑でも要望しましたが、これからもしっかりとチェックしていきたいと思います。
そして小竹小も、地域の義務教育の小学校の選択肢として、残すべきです。