選択的夫婦別姓制度に関する陳情を質疑【練馬区議会・区民生活委員会9/14】
2023/9/14、練馬区議会・区民生活委員会のレポートです。
選択的夫婦別姓制度に関する陳情を質疑
陳情第2号「選択的夫婦別姓制度について国会審議を求める意見書の提出について」
の「質疑」が、2023/9/14の区民生活委員会にて行われました。
署名数は、「326名」です。
★陳情の主旨
要旨は「国会審議を推進する意見書を、国および政府に提出してください」
↓
…簡単に言うと、制度導入そのものではなく、国会での”審議の推進”を、国に求めてほしい、という内容です。
制度反対派にも考慮した主旨だと言えますね(陳情者の苦慮・配慮が伺えます…)
陳情の「理由」、ポイント
- 最高裁判所は2021年、 現行の夫婦同姓を合憲とする判決
- しかし、最高裁でも意見が分かれている
- 最高裁判所は2度、制度の在り方を国会で議論すべきと求めている
- 法制審議会(法務大臣の諮問機関)が、1996年に法律案要綱を答申
- 約27年が経過
- 選択的夫婦別姓制度は、あくまで 「選択制」
- 不利益を案ずることなく結婚・出産し、老後も法的な家族として支え合える社会の根幹を成す制度
- 異次元の少子化対策にもつながる
- 法的根拠のない 「旧姓併記」 「旧姓使用」 では、犯罪の温床になる可能性
- 様々な場面で事務手続きの煩雑→社会の混乱を招いている
- キャリアを継続することが可能
- 個人のアイデンティティも保たれる
- 男女がともに活躍できる社会実現のためにも、国会審議を求める意見書の提出を!
資料→今回も出ず…
他陳情(美術館、インボイス)でも、資料要求をしても、出ない事態が続いているのですが……
今回も、他委員からの
- 結婚時→改正の男女比
- 改正の不利益がわかる資料
- 「一体感がなくなる」ことがわかる資料
- システム改修のコスト見積り
高口からの
- 住民票において、続柄が「未届」の数
- 全国自治体における、同主旨の陳情の採択状況
……いずれも、資料は用意されませんでした。
(この話をしたら、他委員会の区議が驚いていたので、委員会による差もありそうです)
他委員の質疑より
Q:世論調査の結果は?
- 練馬区「令和3年度に実施」
- 現行制度維持:27.0%
- 現行制度+通称使用を認める:42.2%(※下のほうで問題点記載)
- 選択的夫婦別姓を認める:28.9%
- 賛成意見:仕事への不利益、アイデンティティ等
- 反対意見:日本社会に定着している
Q:全国での意見書の採択状況は?
※資料要求したものの、資料では出しませんでしたが、口頭では答弁しました。
- 練馬区「一般団体※」のHP掲載→373自治体(7月時点)
※『選択的夫婦別姓・全国陳情アクション』のことで間違いないと思います! - 23区では10区程度(直近5年)
Q:歴史、いつから?
- 明治時代から
- 現在の民法は、昭和22年に施行
Q:外国籍の方との結婚は苗字が分かれる。運用は?
- 現在の戸籍→それぞれの欄に氏が載る
- 海外の法律の適応か、国内法の適応か→様々
- 現在の選択的夫婦別姓の検討案→同じ戸籍に別姓を載せる手続き
Q:強制的夫婦同姓制度→主要先進国では日本だけか?
- 法務省調査「日本だけ」
Q:何%が夫の氏を選択?
- R3統計で「95%」
Q:現行制度の課題は?
- 課題として明確に示されているものはないが
- 国が影響を例示
- 日常生活、職業上の不便、不利益
- 今後の妨げ
- プライバシーの不安…など
Q:別姓が「離婚、離散につながる」という根拠はあるのか?
- 国も「客観的な判断は難しい」という見解
高口質疑より
他委員のやりとりを受け、質疑しました。
★選択的夫婦別姓なくして、ジェンダー平等なし!
強制的夫婦同姓は、戦前・明治時代にできたイエ制度、戦後解体されたイエ制度の名残りです。
この問題に取り組む方が、「ジェンダー平等の一丁目一番地」と仰っていました。
選択的夫婦別姓の実現なくして、ジェンダー平等は実現しない、ということです。
当然、練馬区も男女共同参画を掲げるなかで、避けて通れない問題です。
★バックラッシュが続いた30年
陳情にある通り、1996年には法整備の準備が整い、あとは通すだけ、という状態でした。
政治のほうでいろいろあって、それから30年のバックラッシュ!
30年の停滞は、日本のジェンダーギャップ指数が落ち続けていることとも、重なります。
社会を前に進めることが、政治の責任です。
★若い方々のためにも!
特に若い世代の間では「選択的夫婦別姓はあたりまえ、当然」の認識。
若い方たちが結婚を望んだ時に、困らない法整備を整えるのは大人の責任です。
★住民票の「未届」の数は?
今も実際に、選択的夫婦別姓がないために、事実婚を選ばざるを得ない方々がいます。
住民票の「未届」には、事実婚の方もいますが、その数は?
- 練馬区:婚姻予定の方が同居する際の記載。
世帯基準なので、同居でも生計が別の方もいる
→「事実婚の直接の数字にはなりえない前提」で…- 未届(夫)=83人
- 未届(妻)=306人
★正確な把握ができない
内閣府・男女共同参画局の調査では、「事実婚を選択している人は成人人口の2-3%を占めている」とのこと(令和3年度実施の各種意識調査の結果)。
練馬区で当てはめると、約18000人にのぼります。
一方で、住民票・未届は389人。
つまり、事実婚夫婦について、正確な数を把握できない、ということです。
★旧姓併記はコストが高い!
世論調査では、現行制度+旧姓使用の%が高い結果が出ていますが……
通称使用・旧姓使用は国際的に認められない等、問題があります。
また、旧姓使用は、そのたびにシステム改修の費用がかかります。
練馬区だけでいくらかかっているか、練馬区に確認すると…↓
- 令和元年度、住民票の写しやマイナンバー、国保等の旧姓表記のシステム改修
- 「7061万円」
- うち国保が6500万円
↑と、練馬区だけで7000万円!
全国で考えたら膨大な税金…
それが、旧姓使用を増やすたびにかかってくる……。
選択的夫婦別姓なら、たった一度、システム改修をすれば済むのです!
★「議論」を進めよう!
何より、今回の陳情の主旨は、「議論の推進」です。
この陳情に反対するということは、議論をするな、という意味になってしまいます。
議論を進めていかなければならない、そのためにも、意見書の採択が必要です!
他会派の意見(要約)
- 自民党
- 会派でも「意見は分かれている」が、
- 「今後さらに議論を進めていかなければならない問題の一つ」
- 「審議しなきゃいけない」
- 公明党
- 「現行制度の不利益解消は政治の役割」
- 意見書は「全会一致が望ましい」
- 練馬会議
- 最高裁判決はあるが、「選択的夫婦別姓に合理性がないとまでは言っていない」
- 「国会で論じる」べき
- 立憲
- 「一個人を尊重する時代」
- 「近年成り立ってきた制度」
※共産党は、言わずもがな賛成です!
※正確な発言は議事録をお待ちください。
★練馬区議会議員選挙でのアンケート結果は…
練馬区議選の際、「選択的夫婦別姓制度を推進する練馬区の会」が、各区議・候補者にアンケートをとっています。
中には、区民生活委員会に所属する委員の回答もあります。
区議選でのアンケートも、尊重されますように!
結果は9月19日
「審査」=採択・不採択の結果は、次回の区民生活委員会
★9月19日13時~
にて、出されます。
高口はもちろん採択ですが……
結果にもぜひ、ご注目ください!