【練馬区議会】重要議案解説!【2023年第3回定例会】

令和5年第3回定例会に提出された議案のうち、重要なものを解説します!

今回は大きく議論になるような議案はないな、という印象です。
高口的には、旭丘小中一貫教育校の契約金額が気になるところですが……

そこも含めて、解説します!

※議案の一覧はコチラ(練馬区議会HP)

旭丘小中一貫校→新築工事費、約80億円に膨らむ…!

「新たな小中一貫教育校」…現在解体工事中の、旭丘小、旭丘中の一貫校。
その工事の契約案件です。

★69億円の説明→78億円に!

2022年3月の段階では「約69億円」と概算を説明していたのですが……

今回の工事金額が、ちょっと目玉の飛び出る金額となっています。

  • 校舎等工事費:61億8596万円
  • 機械設備:10億2952万円
  • 電気設備:6億5916万円
  • 合計:78億7464万円

通常の校舎で、約38億円かかると言われています。
(プールの工事が入らなければ、28億円で済むケースも)

今回は2校分…とはいえ、それを超えています。

★さらにかかる見込み…

この他に、給食調理用備品の買入で約5300万円など、プラスでかかるものがあります。

また、近年、人件費等の高騰により、毎年、入札金額から、価格があがっています。

「インフレスライド」といいます。

学校等は、工期が長期間にわたります。
その間に、労務単価や材料等の価格が上昇すると、金額が見直され、当初の金額よりも、上乗せされる仕組みです。

★上石神井北小学校を参考に

参考になるのが、今工事中の、上石神井北小学校。

2022年2-3月の議会で入札したのち、今定例会までの1年半で、3回の価格改定。

当初の入札金額より、約6400万円、契約金額が上がっています。

今の物価状況を見ると、旭丘小中学校の場合も、工事中にさらに上がることが考えられます。

★上昇の理由は?

旭丘小中一貫校の場合、

  • 69億はプロポーザルの提案で、粗々の概算
  • 物価上昇を踏まえた

という2点が主な理由とのことです。

面積が増えたこと……
児童館、学童クラブ、まちかどケアカフェ等…複合施設化したことも、関係していそうです。

★経費を抑え、3校を建て替える方法もあった…

旭丘の地域の方からも、「69億円って高いね」という声を伺っていました。

それが、約80億円…!
さらに上がってしまいました。

そもそも練馬区は、「コンストラクションマネジメント」と言って、
施設の標準化等によって、学校の改築費用をおさえる手法をとっています。

しかし今回は、小中一貫校+複合施設化によって、費用を抑える手段は使えません。

もともと、旭丘小学校も、旭丘中学校も、小竹小学校も、小規模な学校です。

3校を、もっとコンパクトにし、経費をおさえることで、
3校建て替える方法もあったのではないでしょうか。

※議案名
第87号	新たな小中一貫教育校校舎等改築工事請負契約
第88号	新たな小中一貫教育校校舎等改築機械設備工事請負契約
第89号	新たな小中一貫教育校校舎等改築電気設備工事請負契約

練馬文化センター工事、1億5千万円の増額

現在工事中の、練馬文化センター。

  1. 外壁のタイルの範囲→予定より増加
  2. 鉄骨材の増加
  3. インフレスライド

…等により、契約金額が増額に。

合計で、約1億5500万円の増額です。

工期に変更はありませんが、やはり物価があがっているのですね…。

※議案名
第91号	練馬区立練馬文化センター大規模改修工事請負契約の一部変更について
第92号	練馬区立練馬文化センター大規模改修機械設備工事請負契約の一部変更について

情報処理センターの土地建物買入→34年の賃料は30億…

★練馬区役所中村北分館とは?

あまり知られていませんが……

「練馬区役所中村北分館」という場所に、練馬区の情報処理センターがあります。

元は「中央館電気計算室」といって、34年前にできました。

今はクラウド化されてきていますが、今も練馬区の諸々の重要なサーバーやデータが置かれています。

(資料に、住所だけでなく、館内図等も出てきて、セキュリティ的にはどうなんだろうと思ったりもするわけですが…汗)

★34年分の賃料が……

そんな大切な場所ですが、実は、長年ずーーーーっと、賃料を払っていました。

自前の建物、土地ではなかったのです。

支払総額は、なんと……

  • 月額680万円
    →のちに約730万円に変更
  • 合計:30億6200万円!!!

★ようやく買取に

今回の議案は、そこをようやく買取るというもの。

  • 建物:1億3772万円
  • 土地:約7億40万円
  • 合計:約8億3812万円

★総額は39億円…

賃料を払い続け、さらに買取の金額。
合計で、39億円払ったことに。

もう少し早く、買い取ったり、別の土地建物を見付ける、ということはできなかったのか、考えてしまいます……。

第97号	建物の買入れについて(練馬区役所中村北分館)

 

区画街路第1号線の工事、工期延長へ

★約2ヶ月の延長

練馬総合運動場横で続いている、橋の工事。

その工期が、延長となりました。

280日間
→349日間

…なので、69日間、約2ヶ月の延長です。

★延長の理由は?

鋼材価格があがったために、製作工場を選び直したり、確認作業に時間を要したため。

やはり、様々な工事が、物価上昇の影響を受けていることが、わかります。

第94号	橋梁上部工工事(練馬区画街路第1号線)請負契約の一部変更について

 

氷川台駅の駐輪場、また一つ閉鎖へ……

放射36号線の工事ともあわせて、駐輪場の閉鎖が続いている、氷川台駅前。

今回の議案で、「氷川台駅第六自転車駐車場」の廃止が決まりました。

ただしこちらは、放射36号線ではなく、土地所有者から、返却の申し出があったため。
「新たに土地利用を行うため」との理由です。

★氷川台駅、駐輪場の状況

今回の第六駐輪場は、すべて定期利用。
契約している方は、他に移れる見込みと伺っています。

駅全体で、2759台の確保があり
需要としては、2300台なので、まだ余裕はある、という計算です。

★安心できない、今後の課題

しかし……

氷川台の駐輪場は

  • 放射36号線の予定地に600台→今後閉鎖になる
  • 他も多くが借地→返却申し出される可能性アリ

…ということで、安定しない状況です。

練馬区も「用地確保を行う」と言っていますが、ぜひご努力をお願いしたいと思います。

第79号	練馬区立自転車駐車場条例の一部を改正する条例

 

地区計画の改定

  1. 補助230号線大泉町二丁目地区地区計画
  2. 富士見台三・四丁目環八南地区地区計画

→2か所の区域内で、建築制限を定めるという内容。

もう一つは、

  1. 大泉町二丁目地区地区計画

→こちらは、都市計画を変更し、廃止に
→そのために、この地区計画の規定を削る、という内容です。

第78号 練馬区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例

 

練馬区「女性福祉資金貸付」→金額UP

東京都の女性福祉資金貸付条例の改正にあわせた形で、練馬区の条例も改正しています。

消費者物価指数にあわせているため、コンスタントに変更があるのですが…

今回は、

  1. 事業開始資金
  2. 事業継続資金
  3. 就職した区資金
  4. 生活資金(医療・介護を受ける、または失業中)
  5. 結婚資金
  6. 修学資金(専修学校の一般課程)

の6項目での「貸付限度額」が、上昇しました。

過去5年の平均では、2.5項目なので、今回は改正項目が多いのが特徴です。

第74号	練馬区女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例

 

診療報酬の返還請求→裁判へ

こちらは、「先議」(議会最終日を待たず、議会の途中で議決)となりました。

その理由は、急いで議決して、裁判を起こせるようにするため(9/15に議決)。

ざっくり事情を解説すると……

  • 練馬区の国保に加入している方が、ある病院に入院(A病院とします)
  • 2020年2月
    • 厚生労働省の調査により、A病院が、人配置基準を満たしていないことが発覚
      →診療報酬の過大請求となっていた
  • 2022年1月
    • A病院は、過大請求分を、各保険者に返還することに同意
    • 各保険者=練馬区もその一つ
    • 練馬区の返還金額は、約470万円
  • 9~10月
    • 東京都福祉保健局より、「区が直接返還請求するよう」通知があった
    • 練馬区がA病院に返還請求
  • 2023年6~7月
    • A病院より通知がくる
    • 内容:返済が困難、8割減額をしてほしい
    • 区→応じられない→当初の請求どおりで督促
    • 過大請求で生じた高額療養費:約81万円も返還請求+督促
    • 合計で約551万円
  • 9月
    • 区議会で訴えの提起を議決←今ココ
    • 早急に裁判を起こす予定

A病院には当然、練馬区以外の自治体の患者さんもいらっしゃいます。
他区でも同様に、返還訴訟が起こされるだろうと思います。

早い者勝ちで、返還されない自治体が出てくるのか?
果たして無事全額返還されるのか…?

裁判の状況を見守りたいと思います。

病院名については、練馬区は伏せる方針ですが、裁判では出てきますし、報道等されれば、明かされるかもしれません。

第98号	診療報酬等に係る返還請求に関する訴えの提起について

 

「旅館業法」「興行場法」の改正→練馬区への影響

皆さんの生活に直接関係がある!という議案ではありませんが…
ちょっとマニアック?な改正です。

旅館業法=いわゆるホテル等
興行業法=映画、演劇、音楽、スポーツ…等
が対象の法律です。

これまで、相続での分割、合併はOKでしたが、「第三者への事業譲渡、事業承継」はNGでした。
それが法改正により、第三者への事業譲渡が可能に。

法改正にあわせ、練馬区の条例で対応する規定が、変更されました。

練馬区にある施設では、ホテルの他、映画館やホール、プール(区立施設、スポーツクラブ)等が対象となります。

第75号	練馬区旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第76号	練馬区興行場法施行条例の一部を改正する条例
第77号	練馬区プールの規制に関する条例の一部を改正する条例

 


※参考:【練馬区議会】重要議案解説!【2023年第2回定例会】