【練馬区議会】重要議案解説!【2023年度第2回定例会】

2023年6月開催中の、「令和5年度第2回定例会」。

そこで提出された議案のなかから、重要なものを解説します!

※議案とは、議会の議決を必要とするもの。
通常の委員会での「報告事項」は、議員の「議決」は必要としないので、報告事項より重みがあります。


パートナーシップ制度関連の条例改正


東京都がパートナーシップ制度を作ったことにより、練馬区の職員の手当てや休業等の規定に、「パートナーシップの相手方」を加えることになりました。

これにより、配偶者(事実婚含む)と同様の取り扱いとなります。

練馬区は相変わらず、パートナーシップ制度は作らないと言い張っていますが、
実際の制度自体は、どんどん改正・運用が進んでおり、現実との乖離が大きくなっています……。

今回は、ざっくり以下の点で、改正されます。

①扶養手当がつく

②退職手当

  • 職員が死亡した場合に支給…等

③育児休業、育児短時間勤務

  • パートナーの疾病等、特別の事情がある場合に
  • 再度の育休所得や延長、再度の短時間勤務が可能に

④深夜勤務の制限がなくなる

これまで、同性カップルで子どもがいる場合は「ひとり親」扱いだったため、深夜勤務の対象外、つまり深夜勤務はありませんでした。

今後は、パートナーが「常態として子を養育できる場合、制限の対象外」

…つまり、深夜勤務の対象になる=深夜勤務が可能となります。

⑤その他(該当なし)

  • 単身赴任手当
  • 単身赴任の住居手当
  • 単身赴任の移転料
  • 単身赴任の扶養親族移転料

→こちらは、規定としてはありますが、現在は単身赴任の職員がいないため、該当なし。

ちなみに、昔は、ベルデが委託ではなく区職員が担当しており、その際に必要な規定だったそうです。

※正式名称
第39号 練馬区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第40号 練馬区職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第41号 練馬区職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第42号 練馬区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第43号 練馬区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第49号 練馬区立幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第50号 練馬区立幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例

高齢者の働き方改革?時間休業がOKに

正式名称「第38号 練馬区職員の高齢者部分休業に関する条例」

こちらは、働く高齢者が増えてきた(働かざるを得ない高齢者が増えてきた)社会状況とも関係している議案です。

区職員の定年が、1年ずつ順次引き上げられ、最終的には65歳定年となります。

それに伴い、

  • 61歳以上の職員は、
  • 2時間を限度に、
  • 時間休業をとれるようにする

……という改正です。

育休と同じスキームです。

たとえば「朝2時間遅く行く」「夕方2時間はやく帰る」等が可能に。

ただし……その分、給与は減額

他先行自治体を見ると、制度はあっても、実際に使っている事例は少ないそうです。

区税条例→森林環境税と電動キックボード

第44号 練馬区特別区税条例の一部を改正する条例

地方税法等の改正にあわせた条例改正。
注目は、2点です。

①森林環境税が令和6年度から課税

森林環境税とは?

現在、東日本大震災を受けた防災減災のため、「区民税500円、都民税500円=計1000円」が徴収されています。

それが、今年度(2023年度)、終了。

来年度(2024年度)から新たに始まり、同額1000円徴収されるのが、「森林環境税」です。

練馬区の課題は?

区民としては、徴収されるのは、同じ1000円。

ですが、練馬区にとっては、大きな違いがあります。

これまでは区民税として直接入ってきたので、約2億400万円の収入。
→防災機器のデジタル化等、防災事業に充てていました。

一方、森林環境税は、国税。
練馬区には直接入ってきません。

林の面積、林業就業者数、人工で按分し、練馬区に入ってくるのは、約7500万円予定(2023年度予算)。

つまり、約1億3千万、収入はマイナスに……

使い道が重要!

練馬区は、憩いの森や保護樹林の選定、つながるカレッジのコース、関町北小の木材改修などに使ってきました。

高口からは、

  • 憩いの森や生産緑地の買取の一部にあててほしい
  • 岡山県真庭市では、県産木材を活用したZEH認定を受けた新築住宅30万円の補助にあてている→検討を

と求めました。

練馬区からは「様々な活用が考えられる」「指摘の点踏まえ、広く検討」との答弁を頂きました。

②電動キックボード→2000円徴収

正確には「特定小型原動機付自転車に係る軽自動車税の種別割の税率」と言います。

いわゆる電動キックボードの法律が改正されます。

  • 主な変更点
    • ヘルメットや免許が不要
    • 歩道も可に(ただし6km/h以下)
  • 変わらない点
    • 16歳以上~
    • 自賠責保険加入
    • 専用のナンバープレート

今持っている人も、条件に当てはまれば、新たに申請し直すことが可能。

ちなみに、練馬区には5か所、シェアリングポートがあるそうです。

高口からは、

  • 新たな乗り物…交通ルール、マナーなどの整備、周知が重要になる
  • 事故なども心配されるところ
  • 補正予算で、自転車ヘルメットは購入費補助をしたのに、電動キックボードはヘルメット不要になる…
  • 軽自動車税の納付書のなかに、ヘルメットの推奨やルール・マナーを記載したチラシ等を同封してほしい

と要望しました。

学童、ねりっこ

★休室中→廃止の直営学童

  1. 石神井台けやき学童クラブ(2023度~休室)
  2. 光が丘コスモス学童クラブ(2022年度~〃)
  3. 光が丘コスモス第二学童クラブ(2002年度~〃)

★廃止の直営学童

  1. 西大泉地区区民館学童クラブ

★委託→ねりっこに移行

  1. 豊玉南小学童クラブ
  2. 大泉西小学童クラブ
  3. 南が丘小学童クラブ
  4. 早宮小学童クラブ(ねりっこだけど定員40名と小規模)

★新設ねりっこ(いきなりねりっこ)

※委託を経ずに、いきなりねりっこにする学童のこと

  1. 光が丘四季の香小ねりっこクラブ
  2. 大泉第四小ねりっこクラブ
  3. 南田中小ねりっこクラブ

【問題】待機は減らず、ねりっこプラスも469名も!

学童待機は約300名と、減っていません。

また、「ねりっこプラス」という、学童の待機児童をひろばで延長預かりする事業は、なんと469名が利用!

このねりっこプラスは、学童待機のための事業なので、469名も、待機と考えてよいはず。

「ねりっこにすれば待機児童は解消する」
と言っていたのは、なんだったのか……

ねりっこ化+直営学童廃止をセットで進めてきたなかで、
ねりっこを増やしても、学童待機は減っていません。

ねりっこにしても、直営学童は減らさず、残すべきです。

それでも、直営廃止もセットで進める姿勢を変えない練馬区。
こどもの放課後を、もっと真剣に考えていただきたいです!

第51号練馬区立学童クラブ条例の一部を改正する条例
第52号練馬区ねりっこクラブ条例の一部を改正する条例

まちづくり

★駐輪場の追加1件、廃止1件

第48号 練馬区立自転車駐車場条例の一部を改正する条例
新設:大泉学園駅北第五自転車駐車場
  • 民間の駐輪場が廃止→新たに区立で新設
  • 11月頃整備予定
  • ただし、全台「定期利用」で、一時利用なし
  • 理由:500名定期利用の待機があるため
  • 他の既存の駐輪場の一時利用を増やして対応

駅前の放置自転車が増えているとの情報もあり、一時利用も必要ではないか、との意見が出ています。

廃止:氷川台駅第一自転車駐車場
  • 642台、駅前の一番便利な駐輪場が廃止に
  • 理由:道路事業のため
  • 代替用地:第四、第六、第八、第九の4か所に、640名のあきがある

……とのことですが、地図のとおり、駅からは遠めなところばかり……

氷川台駅は、放射36号線の道路工事に伴い、駐輪場の利便性確保も、非常に重要です…!

★田柄二丁目区民農園の廃止

第45号 練馬区立区民農園条例の一部を改正する条例

相続が発生し、返還を求められたため、廃止となりました。

生産緑地なら、練馬区が最初に買い取る権利がありますが、こちらは宅地化農地で、買取の権利がありません。

練馬区も交渉したものの、かなわずでした。

倍率は1.8倍、周囲の区民農園は遠いため、高口からは、

  • 機会をとらえて、かわりの区民農園を確保してほしい

と、求めました。

★失われた生産緑地=7860㎡

「特別区道路線の認定」と言って、大規模な開発で、住宅沿いに道路ができる際、それが区道に認定されます。
ほぼ毎回、定例会で、この特別区道路線の認定の議案が出てきます。

開発前は、生産緑地(畑)だったところを確認したところ、

  1. 議案53号:1382㎡
  2. 議案56号:1951㎡
  3. 議案58号:約2000㎡(元が約3500㎡→今約1400㎡残っている)
  4. 議案61号:2527㎡

合計7860㎡の生産緑地が、なくなった……ということとなります。

建築関係

★省エネ関係の緩和

第46号 練馬区建築基準法等の事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
  1. 住宅&老人ホーム等で、省エネルギー性能の給湯設備を設置する際
    • これまで、建築審査会の同意が必要で、時間がかかって煩雑
      →二の足を踏む事例があり
    • 建築審査会の同意を不要に
    • 対象:電気ヒートポンプ、ハイブリッド給湯器、コージェネレーション…等
  2. 太陽光パネルや外断熱等の設置→高さ制限の緩和
    • これまでは、高さ制限を超えると、太陽光パネル等がつけられなかった
    • 太陽光パネルや外断熱改修等は、高さ制限を超えて設置可能に
  3. 一団地での省エネ工事をしやすく
    • これまでは、建築(新築、増築、改築、移転)でのみ、特例が認められたが
    • 大規模修繕、大規模な模様替えも可能に
    • 省エネ工事がやりやすくなった

★ホテル、旅館→バリアフリーの緩和

第47号 練馬区福祉のまちづくり推進条例の一部を改正する条例

※対象:1000㎡~のホテル、旅館
=練馬区では、カデンツァ光が丘とフレックスステイイン江古田の2か所

  1. トイレ、浴室の出入り口の幅を、70cmから75cmに
  2. 客室内の通路幅を100cm以上に
  3. トイレに着替え台がある場合、ピクトグラム
    →トイレ入口に設置を義務付け

★旭丘小学校、旭丘中学校の校舎解体工事

いよいよ解体工事が始まります。

高口からは、説明会で様々な要望、意見が住民から出ていたこと、それを受けてどう反映したのかを尋ねました。

  • 練馬区「議決を受け、事業者と正式に契約」
  • 「近隣説明会を設ける」
  • 「前回のご意見を踏まえて検討する」
  • 「事業者が責任を持って回答する席を設ける」

とのことでした。説明会もしっかりと参加し、注視したいと思います!


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