【練馬区議会・補正予算】妊娠・子育て応援事業の中身はクーポン、カタログギフト!異次元の少子化対策はやっぱり異次元…

※2023/2/13練馬区議会・補正予算のレポートです。

「妊娠・子育て応援事業」

妊娠・出産で、新規に11万円(国10万+都1万)=既存事業とあわせ、計22万円相当の経済支援!

言葉だけで聞くとすごい!のですが、ふたを開けてみると、中身はクーポン、カタログギフト……orz

カタログギフトだから、22万円と言いながら、22万円にならないことも多々
→なので「相当」と付いている…というワケです……orzorz

なぜ現金じゃないの!!?

練馬区も出生数過去最少を更新している今、これが少子化対策で本当にいいの?

その裏側や問題点を、補正予算質疑で、高口が追及しました!

制度概要

※委員会資料

 

★対象

2022年4月1日妊娠〜

★2022年度出産の場合

  1. 妊娠届時:面談後→計6万円
    • 国(5万円相当)+都(1万円相当)
      ※現状別々→今後一元化の動き
  2. 妊娠8か月:アンケート
    • 希望者が面談(※ギフトはなし)
  3. 出産後:赤ちゃん訪問(面談)→計15万円
    • 国(5万円相当)+都(10万円相当)
  4. 1歳:アンケート→1万円
    • 都のお祝い品

★2023年度出産の場合

  1. 妊娠届時:面談後→計6万円
    • 国(5万円相当)+都(1万円相当)
      ※現状別々→今後一元化の動き
  2. 妊娠8か月:アンケート
    • 希望者が面談(※ギフトはなし)
  3. 出産後:赤ちゃん訪問(面談)→計10万円
    • 国(5万円相当)+都(5万円相当)
  4. 1歳:アンケート→6万円
    • 都のお祝い品

※合計額は変わらず、出産後と1歳児の金額のタイミングが変わります

詳細厚労省HP:妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)

★手続き=要申請!

  • 2月末までに区から申請書送付
    →申請(QRコード→スマホから申請可能)
    →ギフトカードにID等が記載
    →専用サイトにログイン
    →オンラインカタログから選ぶ

★カタログの内容

  • 家事代行サービス、ベビーシッター、おむつ、お掃除ロボット…など
  • 今東京都がやっている事業の拡充
  • 1歳児のお祝い品はこれから→品物が決まり次第周知

★多胎児の場合

  • 妊婦→一人5万円
  • 出産後→こども一人につき5万円
  • 双子なら15万円

★アンケート

  • 3-5問に絞り込み、手軽にする予定
  • アンケートから面談につなぐ方式
    • オンライン面談実施
    • チャットボット開始

★その他

  • 現在の面談率
    • 妊婦全員面談 97%
    • 乳児全戸訪問 82%
  • 回答しない方へのアプローチ
    • 区「事情があって回答しない方がいる」「再干渉→難しい」「アプローチ方法、今後検討」
  • 引っ越した場合の二重払い防止は?
    • 他自治体から受けていない等のチェック欄を設ける
  • 生活保護の収入認定はされない

………と、ここまでは、基本情報(長いですが)。

以下が、高口の質疑です。
この事業の問題が、よくわかると思いますので、ぜひご覧ください。

Q1:事業主旨にそっていない!

★事業主旨は、経済的インセンティブ→支援につなぐこと

本事業の目的は、厚労省の資料『実施・運用の方法』によると、
「伴奏型支援と経済的支援を一体として実施する」こと、とあります。

つまり、インセンティブ付与により、伴奏型支援につなぐことが事業の主旨です。

具体的には
「参加医療機関への交通費
産後ケア、一時預かり等」の「子育て支援サービス利用料等」
に経済的支援をあてることで支援につながることが、国から例示されています。

練馬区は、東京都のスキームにのるかたちですが
都の事業はクーポン、中身はカタログギフトです。

東京都の担当課長にヒアリングしたところでは、

都の「バースデーサポート」という既存事業の拡充で、
今のカタログに、妊娠期のものを追加していく方向とのことでした。

★区のサービスなら、はるかに安い!

つまり今のカタログと大きくは変わらないと思われるので、それを参考にすると、
まず、練馬区の産後ケアや一時預かりは掲載されておらず、使えません。

産後ケアも、現在は特定の事業者1社のみ載っていますが、
2時間で1万ポイント、つまり1万円相当と高額。

練馬区の産後ケア(デイケア)なら6時間3千円で済み、7千円安いか
もしくは3倍の時間サービスが受けられる計算です。

家事代行サービスは、カタログは1時間5千円相当(5千ポイント)。
練馬区の育児支援ヘルパーなら1時間千円で、4千円の差

ベビーシッターは、カタログは3時間1万円相当。
区のファミリーサポートなら3時間で2400円で済み、7600円分安く
区の一時預かりなら3時間2000円(0歳児)、8000円安く済むか
5倍の時間サービスが受けられます

★区の支援につながらないことが問題!

何よりカタログギフトでは、
練馬区、地域の子育て支援にはつながらないことが問題です。

趣旨としては、「伴奏型支援の実施機関」
……つまり、区の支援に「アクセスしやすくな」るための経済的支援であり
区の支援につなげることこそ重要なのに、そうなっていない。

そもそもの交付金の主旨と、カタログギフトの事業スキームに乖離がある点について、
区の見解を伺います。

練馬区A
  • 国がクーポンを例示
  • 問題ない

※詳細は後日掲載

 

Q2:現金が足りていない!

★国がクーポンを推奨

国が例示している、産科に通う交通費にしたくても、現金でなければバスや電車で使えません。
伴奏型支援につなげるには、交通費や、練馬区のサービスでも使えるように、現金にすべきです。

そもそも異次元の少子化対策のはずが、なぜクーポン、カタログギフトなのか、大いに疑問です。

もとは国がクーポンを推奨しているからですが、国の考えは

「クーポン等による給付は、子育て目的に限定することが可能であり、有効期限を設定することで消費につながりやすい

一方現金給付は、使途が限定されず、必ずしも子育て目的の消費にあてられないおそれがあり、消費ではなく、貯蓄につながる可能性がある、といった指摘もある」

……妊娠、出産、子育て支援のはずが、消費にすり替わってしまっている

★妊娠出産には現金が必要!

そもそも、妊娠出産だけで何十万円の現金が消える、足りていないのが実情です。

親が自分のために消費するとか、貯金する、という考え自体が、実態と合っていない

しかも、今回の事業は、産婦人科の受診を受給要件にするようですが、
妊娠は保険適用されないので、初診だけでも1万5千~2万円かかります。

令和3年度東京都の出産平均費用は565,092円で、出産一時金を抜いても14万円足が出る

10万円のクーポンをまるごと現金でもらっても足りない

来年度から50万円に増額するようですが、それでも6万5千円不足です。

港区のように、出産一時金の上乗せを練馬区としても行うよう要望しますが、

  1. 育児グッズの前に、まず現金が足りていない。
    その現実を、練馬区はどう考えているのか?
  2. また、現金とクーポン、練馬区で妊娠出産する区民の需要はどちらが高いと考えているのか

2点、伺います。

練馬区A
  1. 国が総合的に取り組むもの。必要があれば国に要請する
  2. 一律でどちらがいいとは言えない

※詳細は後日掲載

Q3:中抜きの構造。誰得?

★全国では現金給付がほとんど!

一昨年の10万円給付金のときも、クーポンが批判され、現金となりました。

当然現金の需要が高いに決まっています。

全国の自治体では、今回も圧倒的に現金給付の自治体が多い。

国の調査によれば、

  • 育児用品のクーポンは85
  • キャッシュレス含む現金給付は942自治体

→10倍以上です。

地方は、負担分を地方交付金でまかなえるという事情もあり、やはり国がしっかり財源を保障することも重要です。

★もっと安く買えるのに……

報道等では、クーポンでは中抜きが起きるのではないか、とも指摘されています。

たとえばルンバは

  • カタログギフトでは4万円相当(4万ポイント)に対し、
  • ネットの最安値は33790円。

6210円の差額で、オムツが6袋程も買えます

定価が明確な絵本で比べると、全く同じ商品で、

  • カタログギフトでは2冊セットで5千円相当(5千ポイント)に対し
  • 定価は3,278円

→1722円の差額です。

現金にすれば、これをすべて、有効に使えるのです。

10万円”相当”といいながら、実際には10万円にならない。
その差額は、どこにいくのでしょうか?

練馬区A
  • カタログには700点以上掲載→安いもの高いもの混在
  • 都と区が広域連携協定を結び、事業者は都と協定を結ぶ
  • 売上の詳細は、区ではわからない
  • 一般的には、差額は事業者、メーカーの利益になる

※詳細は後日掲載

Q4:ケアについて

★区内経済にも貢献しない

カタログギフトというものが、もともとそういうスキームです。
メーカー、事業者の利益になる。

すべてが定価より高かったら成り立たないので、全体では事業者の得になるようにできているはずです。

国は、この事業が地域経済活性化にもつなげられると触れていますが、
現金なら区内に落ちる可能性も高いけれど、カタログギフトだとそれもない。

現金、キャッシュレス等にすれば、区内経済にも寄与したのになあ…と思います。

★現金にならなかった原因

今回なぜ現金にならなかったかといえば、

そもそも国がクーポンを推奨していること、
また、都事業にのれば、1/6の区の負担分を都がもつためです。

でも本当に、国民、都民、区民の妊娠出産を支援して
本気で少子化対策したいなら、
クーポン、カタログギフトという発想自体をやめるべきです。

練馬区だけで現金にすると、単年度で1億3千万円かかるため仕方ないとも思っていますが、本来は現金にすべき。

国にも意見をあげること、
利用者の意見をきいて真に必要な支援を考えるよう、求めます。

★選択の自由もないがしろ

そもそも、我が子に読み聞かせしたい絵本は人それぞれ違いますし、
洋服だって、自分でこれぞと思うものを選びたいのが親心です。

そういう選択の自由も大切にされない。

練馬区は「子育てのかたちを選択できるように」と言っているのに、残念です。

★わずか半年の期限

また、出産後は常時睡眠不足で、ふらふらボロボロのなかで、
カタログの期限はわずか半年。

ゆっくりカタログを眺めて、あれこれ選ぶ余裕がある、
と思っていること自体、育児をわかっているのか?
と、疑問に思います。

★妊婦さんの声=明石市のように!

練馬区で今まさに妊娠中の方に、ご意見を伺いました。

あのカタログの中から選ばないといけないのは厳しいです。

まだ安定期になってないところでいただくタイミングなので、
万が一のことがあった時に、そこに残るものが育児用品だったら辛い
と思う方もいるかもしれません。

それをケアのために使えるかもしれない可能性も残して欲しいです。

明石市のように積極的な子育て支援があるのが理想です。

オムツ、ミルクなどの支出の負担はもちろん、
産後ケアについても、今納めている税金でまかなえたら助かります」

★配慮が必要な方への対応

流産や死産だった方のケアや、離婚や、DVで避難される方への対応も
国では想定して事例を出していますが、

たとえば国のアンケートの事例には

「夫には何でも打ち明けられますか?」
「お母さんには何でも打ち明けられますか?」

という項目があります。

面談では確認して様子を見れますが、家族関係が悪い妊婦もいるだろうことを考えると、書面で聞くべき内容かは疑問です。

こういった、配慮が必要な方への配慮を、区としてどのように行うのか、伺います。

練馬区A
  • カタログの中で商品を選んで頂く
  • その他は「別の財源で」
  • アンケートの項目は3-5つに集約
  • デリケートなことは聞かない
  • 面談希望の項目をもうけ、保健師が面談

※詳細は後日掲載

Q5:顔の見える支援を(ネウボラ)

「別の財源で」とは、家庭のお財布ということですよね…?
(それを「財源」というのでしょうか…?)

★フィンランドのネウボラ

また、国は「伴奏型相談支援による面談等の実施を通じた信頼関係(顔の見える関係)の構築」を求めています。

私は2019年度の一般質問で、フィンランドのネウボラについて質疑しました。

詳細高口一般質問1~子育て支援制度「ネウボラ」で、相談しやすい行政に!

ネウボラとは、「相談する場」を意味しますが、単なる相談所ではなく、「どの家族にも問題は起こりうる」との予防的観点から、すべての親子を支える制度です。

「ネウボラおばさん」と呼ばれる一人の保健師が、健診から小学校入学まで一貫して担当。
健診に1時間以上もかけ、対話と傾聴のなかでゆっくり信頼関係を築き、相談しやすくします。

フィンランドでは数十年、虐待死がゼロ、というのが目に見える効果です。

★アンケートだけでは信頼関係は築けない

まさに今回、国が想定している「顔のみえる関係」とも重なりますが、
アンケートだけでは信頼関係は築けないと思います。

  • 信頼関係、顔の見える関係の構築をどう工夫するのか
  • 継続的な支援の観点から、同じ保健師が担当することが重要ですが、
    その点の考え

2点伺います。

練馬区A
  • 練馬区は基本は対面での面談をすすめたいと考えている
  • 地区担当の保健師はずっと同じ地区にいる→人事異動はあるが、担当は基本同じ

※詳細は後日掲載

★すべての家庭に支援の充実を!

今心配のない家庭でも、いつどういう状況になるかわかりませんし
どの家庭にも、それぞれの悩みや心配があります。

心配な人だけ面談につなげればよいのではなく、
すべての出産・子育てに継続的なサポートの充実を求めます。

 


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