練馬区議会・決算特別委員会終了。賛否の結果&意見表明は……

長い長い決算質疑が、ついに終了…!

2023年10月11日は、決算特別委員会の最終日。

会派ごとの「意見表明」ののち、採決(賛否)をとります。

採決(賛否)の結果は…

★4会計で、賛否が分かれる

一般会計と、特別会計3つ(国保会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計)の4会計で、いつも賛否が分かれます。

この決算と、当初予算に賛成するかどうかが、区長与党か、野党かが判断できる、と言えます。

ちなみに、特別会計は全部で4つあり、もう一つの特別会計「公共駐車場会計」は、いつも全会一致で賛成となります。

★決算に反対した会派は…

  • 共産党
  • インクル(高口が所属)
  • 生活者ネットワーク
  • ほか、一人会派2つ(れいわ等)

★決算に賛成した会派は…

  • 自民党
  • 公明党
  • 練馬会議(都民ファースト3人+国民民主党1人+無所属議員2人)
  • 立憲民主党
  • 維新の会
  • 参政党(一人会派)

★賛成多数で、可決orz

…というわけで、賛成多数で、可決されました。

※議案の正式名称は
第69号 令和4年度練馬区一般会計歳入歳出決算
第70号 令和4年度練馬区国民健康保険事業会計歳入歳出決算
第71号 令和4年度練馬区介護保険会計歳入歳出決算
第72号 令和4年度練馬区後期高齢者医療会計歳入歳出決算
第73号 令和4年度練馬区公共駐車場会計歳入歳出決算
https://www.city.nerima.tokyo.jp/gikai/kaigi/r5/dai3teirei/0901gian.html

意見表明

★意見表明から、練馬区議会が見えてくる

意見表明とは、これまでの質疑のまとめプラスα。

質疑はなく、原稿を読むだけ

……ですが、決算でどんな質疑をしたかや、各会派の考えが凝縮されているので、
ここを押さえるだけでも、なんとなく練馬区議会の状況が見えてきます。

★時間の制限あり

ただし、意見表明の時間は、会派の人数によって変わります。
また、決算質疑よりも時間が短くなります。

たとえば一番多い自民党だと30分以上。
インクルは8分(質疑時間は14分)。

人数が少ないと、言えることも少なくなるわけですね。

本当はもっともっと×∞……
訴えたいことはたくさん!ありますが、時間との勝負。

今回は会派を代表して、高口が意見表明をしました。
会派で持ち寄って作成しています。

以下、ご覧ください!

インクル(インクルーシブな練馬をめざす会)の意見表明

インクルーシブな練馬をめざす会を代表して、議案第69号から72号までの、2022年度の各決算に反対の立場から意見表明を行います。

★反対理由、概要

練馬区の一般会計歳入総額は前年度より1.4%増加の3219億円にのぼり、特別区税、特別区交付金も前年度を上回る増収となりました。

しかし練馬区はその多くを、施設整備基金や用地取得基金にまわしています

用地取得基金は、「生産緑地や区民農園を買取りみどりを守るため」と説明しながら、一方で買い取った生産緑地は緑地として保全されないこともあり、谷原保育園を廃園する計画等にも転用されました。

施設整備基金についても、区内で最も古い小竹小学校の改築も進めず、練馬区立美術館という緊急でもない改築にばかり注力しています。

かつてない物価高騰に区民が苦しむ今こそ、給食費無償化等、区民の生活を支える施策や福祉に増収分をまわすべきです。

また、石神井公園駅前再開発や稲荷山公園計画など、区民に反論の根強い事業を強固に進める姿勢にも、大きな疑問です。

区民の暮らしに寄り添うべきと強く求め、以下款ごとに意見を述べます。

総務費

職員の年齢構成のバランスが改善するよう、特に就職氷河期世代の採用を積極的に行うこと。

就職に困難を抱える氷河期世代の人材育成の観点から、現状では経験者採用の対象外の人の採用も積極的に行うこと。

困難な問題を抱える女性の支援法の施行に向け、民間団体や都との連携を進め、婦人相談員の処遇改善に取り組むこと。

改正された刑法の積極的な周知など性暴力に関する啓発のとりくみを充実させること。

より多くの区民が活用できるよう、男女共同参画センターの相談の周知を図ること。

会計年度任用職員について、常勤化も含めて待遇を改善すること。

区独自にパートナーシップ条例やヘイトスピーチ禁止条例を制定すること。

ヘイトを除く思想信条の自由を保証し、公共施設における活動・団体への利用制限をしないこと。

区民費、地域文化費

練馬区立美術館・貫井図書館の計画は、図書館利用者と職員の負担が大きい。計画を改修へと見直し、サンライフ練馬を残すこと。

世界に誇る国民皆保険制度を揺るがすマイナ保険証は、区としても反対し、従来の健康保険証を残すよう国に働きかけること。

アニメのまち練馬区にふさわしいアニメアーカイブ事業に取り組み、積極的に区内アニメ関連資料の寄贈を受け入れ、資料の活用・閲覧の整備をすること。

地域おこしプロジェクトが移行するねりま協働ラボは、区の課題解決ではなく、区民の発想、アイディアを優先すること。

産業経済費

勤労福祉施策の検討にあたっては、多様な働き方をする区民の様々な労働相談を受けられるよう、相談の実施方法や周知の仕方など工夫を進めること。

化学肥料の価格高騰は落ち着いてきた一方で、有機への転換は大きくは進まなかった。要因を分析しながら有機肥料の活用への支援をさらに充実させること。

環境費

清掃業務における熱中症対策として、委託・雇上会社の経費に対策費を上乗せさせるなど充実を図ること。また、夏期の車両台数を増やすなど、負担軽減と労働環境の改善を図ること。

自律分散型エネルギーの設置補助は、太陽光発電の設置が10年前よりも減少している状況。活用の周知と補助金申請手続きの簡素化など、使いやすいしくみを充実させること。

氷川神社の森や保護樹木をなるべく残すよう、神社に働きかけること。

環境基本計画におけるCO2削減、脱炭素の目標は、50%以上に設定すること。

保健福祉費

精神保健福祉法の改正で医療保護入院における区長同意の範囲が広がり、入院中の訪問支援が始まる。早急に体制を整備すること。

精神障害にも地域包括ケアをというからには退院後の受け皿となる社会資源の充足が不可欠。住まいや活動の場などの充実を図ること。

区立福祉園は障害支援区分5,6の人が9割であり、特に重度の障害のある人の受け入れをしてきた。しかし、就労継続支援B型事業が工賃向上に傾く制度になっている現状の中では、より幅広い対象者を受け入れることのできる生活介護事業の充実など、新たな取り組みも検討すること。

行旅死亡人等取扱の件数がこの2年特に増加している。身元は判明しているが葬祭を行う身寄りのない人の葬儀やお墓について、友人に共有できるよう、関係機関と連携し親族の確認をとるなど、誰もが最期を悔いなく迎えられるための支援体制を整えること。

生活保護での扶養照会をなるべく減らすとともに、国に対し廃止を働きかけること。

DV、養育費不払いの対応が遅れる中で、共同親権の導入に危機感を持つ。区はDV、養育費の対応にこそ注力すること。

都市整備費

氷川児童遊園の交換では住民の意見を十分に反映させるよう事業者に指導すること

石神井公園駅南口西地区再開発について、全ての地権者の合意が得られないまま工事を行わないよう再開発組合に指導すること。近隣商店会への工事の影響を調査し、必要であれば補償を行うよう責任をもって対応すること。

400軒以上の立ち退きを求める稲荷山公園整備計画を見直すこと。有識者委員会には「カタクリを守る会」のメンバーを加えること。住民の意見を聞くパネルディスカッションの場を設ける事。稲荷山憩いの森における軍事施設の調査を継続して行うこと

外環の2、大泉第二中学校を分断する道路、放射35号線延伸部分、桜台東部地区防災まちづくりの道路拡幅等は、反対の声を受け止め計画を見直すこと。

小竹向原駅練馬側エレベーターの設置の働きかけをさらに強めること。

教育費

学校給食費無償化は、第1子を含めた全児童・生徒を対象とし、有機給食導入も進めること。

三原台中学校校長の性暴力事件を受け、管理職のチェック体制を強化し、東京都教育委員会にも採用時のチェック強化を求めること。

学校での性暴力・性被害・性加害防止を徹底すること。

包括的性教育、セクシュアリティ教育を充実させること。

教員の負担軽減のためにも、通知表をなくす取り組みを検討すること。

教員の働き方改革推進のため、給特法の改正を行うよう、国に訴えること。

学校での事故は、全国の事例を各校に情報共有し、かかりつけエンジニアの導入等、予防策を強化すること。

図書館の改築・改修時は建設懇談会を開催し、区民とともにつくる図書館とすること。

区内で最も古い小竹小学校を早急に改築し、子どもと地域住民の命を守る責任を果たすこと。

こども家庭費

保育士の待遇改善について、委託費の弾力運用の課題等にも責任を持って取り組むこと。 保育士の配置基準を改正するよう国に働きかけるとともに独自に加算すること。

ファミリーサポート制度について、1時間800円の報酬に区として補填すること。そのための財源を国に求めること。コード決済の導入を検討すること。

家庭的保育事業について代替保育制度を確立すること。

学童クラブの待機児童対策について、学校外の学童クラブも維持、増加させること。

ねりっこクラブについて、専用スペースのみで1.65㎡の最低基準を遵守しつつ、面積基準等を向上させ、保育の質を高めること。

谷原保育園は、1歳児の強制転園を中止し、廃園も撤回すること。

区として、社会全体で子育てをする姿勢を前面に打ち出すこと。

子どもの権利条例を制定すること。

……以上の意見と共に、インクルーシブな練馬の実現を求め、意見表明を終わります。


最後に決算委員長、副委員長、そして区長の挨拶があるのですが。

区長が、先日の練馬区の税金延滞、追加支払いの件を述べたことが、いつもとは異なるイレギュラーな場面でした。

(内容自体は、プレスリリースに出たようなことでした)


参考高口ブログ:【練馬区議会・決算】重要情報まとめ!