【練馬区議会・決算】高口質疑⑥谷原保育園の1歳児クラス、入園書類に異議あり!
※2023年10月2日、練馬区議会・決算特別委員会・全款での、高口ようこの質疑です。
谷原保育園、1歳児クラスの問題
練馬区が突然閉園を言い出し、大問題になっている谷原保育園。
参考これまでの経過:谷原保育園隣の新保育園、事業者と協定・契約を締結(高口ブログ)
★1歳児保護者に課せられた、ひどい条件
今年度、1歳児クラスが入園したのですが……
「来年度、隣接の新園へ転園すること」が、条件とされていました。
しかし……その条件とは、「重要事項確認書」の26項目もあるうちの1つ。
これにサインをしなければ、他の保育園も含めた、保育園の入園申込自体ができない!のです。
保育園に入らないと働き続けることができないのに、
サインしないという選択肢が、保護者にあったでしょうか?
しかもその時点で、新園がどんな保育園かも、全くわからない状況でした。
あまりに、ひどくないですか!?
↓昨年までは各項目にチェック欄がありましたが、それもなく、全体のサインのみ。
★説明も全くないまま……
1歳児クラスには、今も、何も説明がないままです。
しかも、個別説明会で、1歳児クラスの保護者がいくと、
「こちらへ」と、新園のコーナーへ、自動的にまわされたそうです。
(他の学年の保護者は、練馬区の担当のほうへまわす)
まったく説明をされず、モヤモヤがつのるのは、当然のことですよね。
「谷原保育園はとてもいい保育園」
「毎日子どもが楽しく通っている」
実際通ってみて、子どもの様子を見て、保護者が、
「なぜ、このまま通えないのだろうか?」
と疑問に思うのは、ごくごく自然のことです。
★論点は、重要事項確認書
もしも、たとえ、閉園してしまうとしても、それはまだ先のこと。
来年は、閉園予定ではありません。
もう1年いることは、十分に可能です。
練馬区はこの疑問を受け止め、1歳児も来年以降も、残れるようにすべきです。
もちろん、子どもと保護者のこと、地域の保育環境を本当に真剣に考えるなら、谷原保育園の廃園も、撤回すべきです。
……という、以上の前提のうえで、
練馬区が、1歳児根拠としている「重要事項確認書」の問題を、決算で質疑しました。
↓以下、質疑です。
Q1:重要事項確認書に法的拘束力はない!
★1歳児保護者の納得・理解は得られていない
これまで谷原保育園の廃園と、私立園の移転を強引に進めてきた練馬区ですが、
先日、谷原保育園1歳児クラスの保護者から、練馬区にも要望書が届けられました。
1歳児保護者は、これまで何の説明も受けておらず、
私のところには、直接、以下の声が届いています。
「個別説明会でも、自動的にこぐま保育園のほうにまわされた」
「個別説明会に行ってさらにモヤモヤした」
「何も説明してもらっていない」
「理解していないのに、回答は『決まってます』のみ」
納得・理解が得られていないことは、要望書からも伝わってきます。
一方練馬区は、重要事項確認書の条項の一つに
「谷原保育園に入園を希望される方へ」
「令和6年4月1日に近隣の新設園に転園していただくことが条件になります」と書き、
それにサインしているから、理解は得られているとしています。
参考練馬区HP【令和6年度】保育利用のご案内(PDF:3,904KB)
しかし本当に、それで済むのかどうかが問題です。
以下、弁護士に確認した点を申し上げます。
①保育園の申込は、通常の契約とは異なる
まず、保育園は、通常の民間対民間の契約とは異なります。
利用者からは、重要事項確認書等の申込、練馬区からは承諾書が送られ、
契約書の取り交わしはありません。
そもそも契約書の中で約束した内容に拘束力があるのは、
「契約自由の原則」が保障されているからです。
具体的には、
- 契約をするかどうかを自由に決定でき、
- 契約の内容を自由に決定できる自由があるからこそ、
- みずから約束した内容に、拘束される。
これは「民法521条」です。
しかし、重要事項確認書に書かれた内容や方式について、利用者に決定権はありません。
保護者にはどの自由も存在せず、実質的には行政による措置と変わりません。
Q 高口
保護者に契約の自由のない状態で、重要事項確認書にサインしたという理由で、
区が重要事項確認書を根拠として契約の拘束力を及ぼすことはできないと考えます。
まずこの点について見解を伺います。
A 保育計画調整課長
- 保育園の利用申し込みについてでございます。
- 保育園の利用は保護者の皆様の自由意思に基づく申し込みに対し、区が承諾をすることで成立するものでございます。
- こうした一連の手続きにつきましては、公平かつ公明なものでなければならないことから、区は区議会の議決をいただいた練馬区保育実施条例、同条例から委任された、同条例施行規則などを定めるとともに、保育園の申し込みに関して保育利用のご案内等を通じて区民の皆様に広くお示ししているところでございます。
- いまおっしゃった法的な拘束力のいわんとするところがよくわかりませんけれども(※)
- 保育の利用が「申込と承諾」という性質であることを踏まえれば、民法第522条による当事者双方の意思の合意により成立するものであると考えてございます。
- 区は申込にあたり、令和5年度谷原保育園入園の方につきましては、令和6年度の新設園への転園を条件としてお示ししてございます。
- 保護者の方はその条件を記載している重要事項確認票の記載内容の確認をしまして、署名をしたうえでお申し込みをされ、区はそれに承諾をしたものでございます。
- 契約が成立をしていることは明らかなものであると考えてございます。
※練馬区はこういう嫌味を、ちょいちょい答弁ではさんくる…
★保護者に、契約の自由はない=契約成立とは言えない!
「契約の自由意思」……としながら、これに(サインを)書かないと、そもそも保育園自体申込できないのですけども。
内容を自由に決定する自由は、保護者にはないということです。
契約成立とは言えないという考え方は、成り立ちます。
Q2:転園の強制は、条例の規定にない
★根拠となる条文に、転園を強制できる規定がない
その上で、先ほど実施条例の話がでました。
保護者を拘束する根拠というのは、
重要事項確認書にサインしたかどうかではなく、
根拠となる条例の規定にあります。
この重要事項確認書の位置づけは、
練馬区保育実施条例施行規則第二条にあると聞いていますが、
規則を見ても、規則第10条に
「保護者が保育所等の変更を希望する」場合の条文はありますが、
練馬区のほうが変更を希望する場合に、
保護者に転園を強制できる規定はないようです。
規則本文に、転園を強制する規定がありません。
また、規則7条には、
「区長が保育の利用を解除することができる」旨の規定はありますが、
保護者が転園を拒否した場合に、保育の利用を解除できるとは全く書かれておりません。
したがって、区は、保護者が転園を拒否したとしても、
保育の利用の解除はできないのではないでしょうか。
Q 高口
条文上の転園強制の根拠を、具体的にお示しください。
A 保育計画調整課長
- 重要事項確認票につきましては、申込書の一部でございまして、法規範性を有する規則で定めているものでございます。
- また、区は申込者の方に対しまして利用の承諾書を交付し、区としての意思表示をきちんと行っているものでございます。
- 保護者の皆様の自由意思に基づく申し込みに対し、区が承諾をすることで契約を成立しているものでございます。
- 先ほども申し上げましたように入園の条件として令和6年4月の新設園への転園を提示しているものでございます。
- この契約が成立しているものを前提といたしますと、双方の当事者の意思の合意による転園でございますので、その強制であるとは考えていないものでございます。
A 文書法務課長
- 先ほど保育調整担当課長も答弁しましたが、
- 重要事項確認書につきましては申込時に保育利用にあたり条件等示しているものでございます。
- こちら練馬区保育実施条例施行規則に定められている様式でございまして、そこに記載されているものでございます。
- 手続きについて事前にご案内をしているものであり、問題ないものでございます。
★条文上の根拠は示さず
「転園の強制の根拠を示してほしい」「具体的に」と言いましたが、
同じ、実施要項の様式のほうだという答えでした。
(実施要項の様式の根拠を聞いているのに、その様式が根拠だという答えは)
根拠になっていないと思います。
そこには転園の強制ができると書かれておりませんし、根拠は示せないのかなと思います。
Q3:児童福祉法の主旨に反する
★児童福祉法の主旨に反していれば、無効
そもそも児童福祉法において、練馬区には保育の保障が義務づけられています。
その大前提のうえで、利用者が提出するのが重要事項確認書に過ぎません。
当然、児童福祉法のほうが、法的根拠は上位です。
重要事項確認書の内容が児童福祉法に反して、
子どもの保育を受ける権利を侵害していれば、
重要事項確認書は無効です。
そこで、重要事項確認書の内容が、
合理的かどうかが争点となります。
★重要事項確認書の項目に、効力はない
保育所の廃園が、訴訟の対象になるという最高裁判例も出ているとおり
利用者は、卒園まで保育園を利用する権利を持っています。
そのうえで、谷原保育園から転園を強制することは、児童福祉法に基づく
保育の実施責任を放棄するもので、児童福祉法の主旨に反すると言えます。
したがって、重要事項確認書の谷原保育園の項目も、効力はないと考えます。
Q 高口
区が保育園を廃止して民間園に移すことは区の都合であり、
不合理な内容の確認書を保護者にサインさせないと
保育園の申込ができない、ということ自体が
保育を保障する児童福祉法の主旨に反すると言えます。
見解を伺います。
A 保育計画調整課長
- まず先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、契約ということを前提といたしますと、契約につきましては双方の当事者の意思の合意によるものでございます。
- 合意による転園につきましては強制とは全く考えてございません。
- また児童福祉法第24条のお話でございますけれども、市町村は法律および子ども子育て支援法の定めるところにより、保護者の労働または疾病その他事由によりその看護すべき乳児・幼児・その他の児童について保育を必要とする場合において、事項に定めるところによるほか、当該児童を保育所において保育しなければならない、としてございます。
- 保育所における保育の、サービスが継続をされているので、保育の保証の趣旨に反するものではないと考えてございます。
★保護者は谷原保育園の継続を求めている!
そもそも、先ほどから申している通り、「契約を前提」という前提自体が違うという見解を私は示しております。
そもそもそれでいいと保護者は合意していない、保護者のほうは転園したくない、合意していないと言っているわけです。
保護者は、谷原保育園の継続を求めています。
異なる法的見解が成立する以上、少なくとも、最低でも、保護者が重要事項確認書にサインしたからというだけの理由で、合意している、同意している、納得しているとは言えません。
練馬区には説明会、全体説明会を含めた丁寧な説明が、最低でも求められると思います。
★谷原保育園は残すべき!
1歳児保護者は今年入園して
「子どもはのびのび楽しく通っている」
「なくなるのはもったいない」
「急ぐ必要ありますか?」
と声をあげています。
1歳児含めて、谷原保育園を残すべき!
地域のためにもいい保育園を残していくべき!
と強く求めて、次の項目に移ります。
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