【練馬区議会レポート】『練馬区環境基本計画2023』とフードドライブ事業
2023年6月23日、練馬区議会「みどり・環境等特別委員会」のレポートです。
『練馬区環境基本計画2023』素案にパブコメを送ろう!
今後10年(2023~2032年度)という長期プラン!
脱炭素社会、ゼロカーボンシティ、気候危機・気候変動対策としても、超超超重要な計画!
7月24日まで区民意見反映制度…つまりパブリックコメントを受付しています。
詳細https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/keikaku/shisaku/kankyo/kankihon-plan/kankyou2023.html
ぜひぜひ多くの方に意見を送っていただくために、計画のポイント、もっとこうすべきと思うポイントをお伝えします!!
★計画の概要
↓こちらの資料を読めば、ざっくりわかります。
ざっくり解説すると…
- 大目標「2030年までに区内CO2排出量を、2013年度比で46%削減」
- 練馬区が削減すべき排出量:58.8万トン
- 今後の変化+国・都の対策で削減する分を引くと…
- 練馬区が独自に削減すべき量:12.3万トン
- 12.3万トンを減らすために…
- 住宅等の消費エネルギー削減
- 環境に配慮したライフスタイルの推進
- 区の率先行動
- という3点に取り組む!
という内容です。
【ポイント1】目標は「46%削減」でいいの?もっと高くすべき!
★高い目標を掲げているところも!
実は東京都は、もっと高い目標を掲げています。
- 「2030年までに、基準年2000年より50%削減」
さらに、最先端をいく長野県は、
- 「2030年で6割削減!」
を掲げています(すごい!)。
★練馬区はなぜ46%?
練馬区も、もっと高い設定をすべき。なぜ46%なのか?と聞いたところ……
- 前回の計画で、国の目標をめやすにしたから(今回の国の目標が46%)
- バックキャスト的にできることを積み上げていく
- 東京都は、森林での吸収源も含めて50%→住宅地の練馬区では難しい
…といった理由をあげていましたが……
2030年までの取組で未来が変わる、とも言われています。
より高い目標を掲げて、最大限の取組をすべきではないでしょうか。
【ポイント2】人の”意識”に頼る危うさ
練馬区が独自に削減すべき「12.3万トン」のうち、9.4万トン、76%という大多数を占めるのが、「環境に配慮したライフスタイルの推進」。
どういう計算になっているかというと……
①家庭の省エネ:37項目
都が発行する『家庭の省エネハンドブック2022』に掲載されている、家庭の省エネの工夫、37項目。
「冷蔵庫は無駄な開閉をしない」
「使わない時は、電気便座のふたをしめる」
など、家庭でできる、ごくごく日常のことが列挙されています。
(余談ですが、高口家には電気カーペットもこたつも電気ポットも炊飯器もないし、トイレの温水機能は使っていないので、こういう場合はどうするのかなーと思ったりしますが…)
②エコライフチェック
練馬区が毎年行っている「エコライフチェック」。
「いつもの日(平常日)」と、エコに気を遣う「エコライフデー(特定日)」で、どれだけエコな行動ができたか、〇×をつけます。
この結果で、「省エネ項目の取組率」
- いつもの日(平常日):72.9%
- エコライフデー(特定日):86.9%
- 差:14%
→この差分を、指標のひとつにしています。
毎年小学校に配られるので、我が家も毎年やっているのですが、こんな重要な指標につかわれるとは思いませんでした……
子どもが記入しているので、そんなに正確性を求めていいのか、疑問もあります……
③区民意識意向調査
毎年行っている「区民意識意向調査」で、節電等についての意識をあげることを、めざします。
- 積極的に取り組んでいる
- 今:10.6%
- 目標:50%
- 負担にならない程度に取り組んでいる
- 今:73.1%
- 目標:45%
④現況の削減量
「積極的に取り組んでいる」は、
→③の「いつもの日」の72.9%とする
「負担にならない程度に取り組んでいる」は、
→72.9%から14%(平常日と特定日の差分)を引いた、58.9%とする
→現況の削減量は18.7万トンと計算
……ですが、あくまで「こういうふうにしよう」という想定上の、計算上の数値。
あくまで推計で、実際の削減量ではない、ということですね……。
⑤目標量
- 「積極的に取り組む」割合を
- 目標の「50%」
- エコライフデーの「86.9%」で計算
- 「負担にならない程度に取り組んでいる」割合を
- 目標の「45%」
- エコライフデーの「72.9%」で計算
…すると、
2030年度までの削減量=9.4万トン
①~⑤を踏まえると、9.4万トンとなります。
★ひとの「意識」は、そう簡単に変わらない
日常的にエコライフデーと同様の行動をとる人(積極的に取り組む人)を、今の10%から50%に引き上げること自体も、相当難しいと、高口は考えています。
ひとの意識は、そう簡単に変わらないし、そもそもアンケート項目で「積極的に取り組む」となかなか答えづらく、「負担にならない程度に取り組んでいる」と答えるひとのほうが、多くて当然だろうと思うからです。
そのうえで、意識向上のために何をするのか質問したところ
- 子どもたちへの働きかけ
- 普及啓発、講座
- 企業の環境学習プログラム
- フードドライブ事業の常設化
などをあげました。
ただし「具体的に講座をやって何%削減できるかは言えない」と、区も認めています。
★もっと実効的な取り組みに力を入れよう!
ひとの意識は、そう簡単には変わりません。
参考までに、直近のみどりの調査で、「みどりの満足度」を尋ねる項目では、5年かけて、ほぼ横ばいでした。意識というのは、数年くらいでは、なかなか変わらないのです……。
しみついた行動、ルーティーンも、そう簡単には変わりません。
講座や学習はとても重要ですが、そもそもそこに来る時点で意識が高い層であり、そうではない層に働きかけることは、容易ではありません。
省エネルギー設備の設置補助金を引き上げる等
具体的で確実な施策を、もっともっと充実させるべきです。
ひとの「意識」に頼らずとも、CO2の削減できるシステム、制度を構築すべきですし、
もっと確実な指標やデータを考えて頂きたいなと思います!
【ポイント3】自然エネルギーを重視した電力の入札を!
★現行の入札方法の問題点
練馬区は、電力の入札を、一定基準を定めたうえで、最後は入札(価格優先)としています。
具体的には、CO2の排出係数に応じて評価点に差をつけ、一定の基準を満たした事業者を、入札対象としています。
入札では、排出係数は無関係で、価格だけで、一番安い事業者が決定します。
その結果、排出係数が少ない事業者ではなく、よりCO2を排出している事業者に決定する……ということも、往々にして起こっています。
参考高口質疑で、明らかにしました↓
https://koguchiyoko.net/nerima/20201001koguchi_kessan3/
★エネルギー高騰の現状
一時期、燃料費の高騰で、電力会社が法人の新規受付が停止となりました(国が定めた「標準メニュー」より、市場価格が上回り、契約するほど赤字となるため)。
そのため、今年度は入札ではなく、いちはやく申し込みを再開した東京電力エナジーパートナーズと契約。
今後、入札ができる環境……つまり、複数の電力会社が申し込みを再開したら、また入札を再開するとのことです。
★環境重視の入札にシフトを!
CO2削減を本気でめざすなら、自然エネルギーをより多く使う電力会社を選ぶべきです。
そのために、環境評価を重視できる「総合評価型入札」に切り替えるべき!と求めました。
練馬区は、「基本的な考えの変更は難しい」「(入札前の設定について)今後計画中に検討」と答弁しましたが、入札前に排出係数の評価点をつけているのでそれを導入するだけです。
あるいは、入札前の排出係数の基準を引き上げる、という方法もあります。
区民の意識向上というなら、まず練馬区が、隗より始めよ!です!
ほかにも…
- オーガニック給食の導入を!
- 道路整備は、CO2対策に逆行!入れるべきではない
…といったところも気になり、委員会で指摘をしました。
みなさまもぜひぜひ、パブコメをお送りください!
フードドライブ事業、通年実施へ
練馬区では、2017年からフードドライブ事業を実施してきました。……が、年数回、というイベント形式でした。
それを、通年を通してやる方法に変更します。
★どう変わる?
これまでの実績は、令和4年度で9回→1842kg。
他自治体では通年実施に変えたところ、「3倍増えた」との実績。
練馬区でも、そのくらいになるでしょうか?
★やり方
- 7月10日より
- 区内すべてのリサイクルセンターで受付
- 開館日の9-17時
- 対象
- 未開封
- 包装や外装が破損していないもの
- 賞味期限が明記
- 賞味期限が2ヶ月以上
- 常温保存可能
- 子ども食堂にへの渡し方
- リサイクルセンターで一時保管
- リサイクルセンターが、月1で区役所にもっていく
- こども食堂に連絡→区役所の会議室に「取りに来てください」
- 子ども食堂以外(フードバンク等)
- 練馬区社会福祉協議会の日程にあわせて配布
- 残ったら→セカンドハーベストジャパンに
リサイクルセンターのほうが、区内4か所なので、取りに行きやすいのですが、会議室を長く使う負担等があるため、区役所に取りに来て頂く方式とするそうです。
★支援につなげてほしい
高口からは、
- 食品の受け渡しを通じて、子ども食堂の方と直接つながるチャンス
- 課題や支援等について聞く場や機会に
- 他部署と連携を
…と、求めました。