練馬区の個人情報保護の行方…
※2022/12/1、練馬区議会・文教児童青少年委員会他のレポートです。
練馬区個人情報保護条例廃止→「施行条例」に
★大まかな動き
これまで、各自治体がつくり、強化してきた「個人情報保護条例」。
国のデジタル関連法案の動きのなかで、個人情報保護法が改訂。
それにより、全国の自治体が統一的な規定を求められ、
条例改正や条例廃止も迫られることに……。
今、各地で問題になっています。
★練馬区の動き
練馬区も、独自の「練馬区個人情報保護条例」があったのですが……
すでに、第三定例会(2022年9-10月の練馬区議会)で、廃止が決定済み。
さらに「練馬区個人情報保護法”施行条例”」を新たにつくることに。
(正式名称「練馬区個人情報の保護に関する法律施行条例」)
今回の第四定例会(2022年12月の練馬区議会)で、条例提案されました。
問題点、多数!
【1】「個人情報保護条例」を残すべき!
まず一つ目は、そもそも「施行条例」にした、という点。
世田谷では「改正世田谷区個人情報保護条例」というかたちで、保護条例自体を残しています。
法改正でできなくなることが増えるとはいえ、練馬区も、できる形で最大限、個人情報保護の姿勢を示すべきです!
【2】要配慮個人情報→国まかせ
DVなど、本当に重要な「要配慮個人情報」。
「要配慮個人情報は、外部提供してはダメ」という規定は、区独自の条例にも「入れていい」と、国も認めています。
しかし練馬区は、「国にも似た規定があるから入れない」とし、独自の規定をしていません。
国まかせにせず、条例に入れられるものは、練馬区も入れるべきです!
【3】理念はいずこへ…
練馬区個人情報保護条例には、
第1条に「個人情報に係る区民等の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現を図ることを目的とする」
という理念が語られていました。
しかし新たな「施行条例」は
第1条「この条例は、個人情報の保護に関する法律の施行に関し必要な事項を定めるものとする」
とだけ……。
区民の基本的人権を守る、などの大切な理念は、完全に消えてしまいました。
【4】個人情報保護審議会が縮小!
これまで、様々なかたちでの「外部提供」については、個人情報保護審議会で諮問=審議事項として、かけられていました。
たとえば、刑事訴訟法に基づく警察への提供など…
↓「運用状況」については、こちらでわかります。
しかし、今後、この運用状況の「お知らせ」はあるものの、諮問事項ではなくなります。
諮問事項はなんと、2つだけ!
- 「情報公開制度の運営に関する重要な事項」
- 「個人情報保護制度の運営に関する重要な事項」
審議会の役割が減り、人数も縮小
- 区議会議員:現7人以内→廃止
- 区職員:現2人以内→廃止
- 区民委員:現11人以内→8人以内
- 全体:25人→13人(区民8人、学識経験者5人)
つまり「重要」とされるものを除き、区民の個人情報が、どのように使われ、それが適切なのかどうか、練馬区の審議会として、判断できなくなってしまうのです。
……大問題!!!
指定管理者と個人情報の関連
毎年、第四定例会は、指定管理者の選定の報告が多くあります。
高口が関わる文教児童青少年委員会でも、図書館や児童館・学童の指定管理者の議案が出てきました。
指定管理者には、公募時に練馬区個人情報保護条例を示し、また、事業者が決まれば、それを守る契約をします。
今回の個人情報保護関連条例の変更で、指定管理者についてはどうなるのか、問いました。
★募集時点では、前回のまま
- 募集要項を出したのは7月→個人情報保護の書類は、前回と変更なし
- 事業者には、(全体的な話として)現時点での規定であり、変更があれば示す、と伝えている
- 個人情報保護条例が変更になる予定であること自体、単独としては、伝えていない
★どう変わるのか?→これから
- 第四定例会で、条例の議案が通った後に、事業者に情報提供し、調整する
- 図書館の場合
→図書館の業務に照らしてどうなるか「研究の最中」
→ということで、これからどうなるのか、わからない……という状況です。
練馬区は
- 「個人情報保護は変わらず+より強化して守る」
- 「きちんと対応→今後もしっかり」やっていく
と述べましたが……
今後
今後どうなるかという点ですが……
- 自己情報開示請求→新しい法律でも請求権はある、開示できる
※ただし、そもそもどういう自分の情報がどういうふうに使われているか自体が見えにくくなるため、自己情報開示まで行きつかないのでは、という危惧が残る - 「個人情報ファイル簿」をHPでも公開予定
→区民の個人情報をどういう目的・内容・管理をしているかがわかるもの
→今もあるが、今もあるが、HPに出す予定(新年度?)
規定をどう変えるかなども注視しつつ、区民の皆さんの個人情報が守られていくよう、しっかり求めていきたいと思います!