練馬区立美術館、建替えに81億円!!! 避難拠点が2つ新築できる額…
※2022/7/27、練馬区議会「総合・災害対策等特別委員会」のレポートです。
これまで、様々な問題をはらみながら、それでも止まることなく突き進んでいる練馬区立美術館の建て替え。
これまで、工事にいくらかかるかさえ明示しなかったのですが……
設計事業者のプロポーザルを募集する段階になって、ようやく、概算費用を示してきました。
※前回までの経過はこちら
なんと…81億円!!!
物価高騰、猛暑の電気代高騰、コロナの景気悪化など…
区民が苦しむ中、81億円。
★81億円あれば…何ができる?
コロナ対策や、物価高騰の補助など、今まさに緊急を要する対策があります。
また、防災も喫緊の課題。
災害時の避難拠点となる学校を、2つ建替えても、おつりの出る額です。
避難拠点となる学校体育館のエアコンを7年かけて入れていますが、81億円出せるなら、一気に入れられます。
猛暑や寒い時期の避難生活を守れるようになります。
81億円という多額の税金を使っていいのかどうか……
もっと安く抑えられる案はないのか……
81億円という数字を7/27に出し、8/1には設計事業者の募集を始めるなんて、はやすぎます。
プロポーザルをし、設計に入る前に、81億円の是非を、区民に問うべきではないでしょうか?
以下、詳しくお伝えします!
81億円の中身
★内訳
約76億円(上限)
- 建築工事費(単価含めてこれから算出)
- 解体工事費:3億円程度(区内工事参考に算出)
- 外溝緑化含む
約5億(上限設定なし)
- 工事監理費
- 備品購入費
→全体で81億円程度
建築工事に関わる経費は、近年の事例から、コンサルタントが算出した見込み。
単価は、「審査内容に関わる」ということで、明示されませんでした。
★詳細は8/1に
- 8/1のプロポーザルの募集要項に、詳しい面積などを提示するとの事
★すべて練馬区民の税金!
国、都の補助金で対象になるものは、現時点では「ありません」と、練馬区の答弁。
つまり81億円すべて、練馬区民の税金だけでまかなう、ということに……。
★「財政難」は何処へ??
ちなみに練馬区は、常日頃「財政難」だと言うのですが、なぜかこういう時は、財政難だと言いません。
都合よく財政難になったりならなかったりするのでしょうか?
不思議ですね!
★財政の見通しは……
練馬区「財源の調達は、詳細な積算の判明とあわせて検討」
と、詳細はこれから、と答弁。
なんとも大ざっぱ…。
(ふと、練馬区役所の豪華な本庁舎を建てたとき、練馬区の財政がかなり悪化した……という昔の話を思い出しました)
★クラウドファンディングは成功するか?
「クラウドファンディングで収入確保に努める」
という答弁も出ました。
しかし、クラファンは、たくさんの人に価値が共有され、共感を呼び、盛り上がり、何より地元の協力体制があってこそうまくいくもの。
区民の反対が根強く、そもそもの「事業への共感」というところで、課題がありそうです。
クラファンでいくら集めるのか、といった目標も、示されていません。
プロポーザルの内容は?
★2次審査のプレゼンテーションは公開
(1)一次審査
- 審査員:専門家5名(練馬区立美術館長、まちづくり関係2名、図書館1名)
- 書類審査
- 非公開
- 5社に絞る
(2)二次審査
- 一次審査通過者よりプレゼンテーション、ヒアリング(質疑応答)
- プレゼンテーションおよびヒアリングは公開
- 審査は非公開
★2次審査の傍聴について
- 場所、時間は調整中
- 参加者へのアンケート→検討
- 「多くの方に(参加してほしい)と考えている」と答弁
→関心のある方全員が入れる規模の会場を望みます。
★スケジュール
- 8月1日(月):プロポーザル実施要項の公表
※区HPに、実施要項等を掲載 - 9月5日(月):参加表明書等→提出期限
- 9月16日(金)~10月14日(金):提案書等受付期間
- 11 月初旬:一次審査
- 12 月初旬:二次審査
- ~12 月末:基本設計候補者決定
→区民の反対意見を聞く余裕もなく、どんどん進めてしまうスケジュールです…
問題点が多すぎる!!!
【問題1】改修なら、はるかに安い!(20億円程度)
これほど高額となる理由は、隣接のサンライフ練馬を潰し、敷地を拡大し、大規模にするからです。
現状の美術館・図書館部分のみの改修なら、20億円位で済むのです。
- 美術館・図書館の既存部分を「改修」した場合
(建替えナシ。サンライフ練馬は残す)
→約18億円 - 今回の建替え案
(美術館・図書館+サンライフ練馬を解体→全体を新築) - →約81億円
なんと、約60億円!の差……。
81億円が妥当かの議論が全くできていないなか、プロポーザルに進むには、あまりに議論が不十分です。
ちなみに「改修」といっても、がっつり作り直すので、新築のようにピカピカになります!
【資料】令和元年度コンサル事業者概算より
※「Q:一番安く済む試算もすべきだったのでは?」と高口が質疑したところ、
「A:積算等している」とのことなので、「その資料をください!」と請求中です。
【問題2】建築資材も高騰中!
当然ですが、この物価高。
建築コストも超!高くなっています。
- 2022年3月の建設資材物価指数(建築部門)は、前年同月比19%増
- 高騰が顕著な資材は
- 製材:90%増
- 合板:96%増 など…
今進めれば、一番高いときに作ることになってしまいます…。
「2022年3月時点の試算」とのことなので、今後もっと値上がりする可能性も…?
1円でも大切にすべき血税、税金。
安い時に安く作る!ことが大切。
価格が落ち着く時期まで待っても、十分間に合います。
拙速に進めず、もっと丁寧に区民と話し合いながら、時期も見直すべきです。
安くなるまで、急がずに待つ、安い時につくる、
それまで区民の皆さんとしっかり話し合っていく…というのが賢明ではないでしょうか。
※「1円たりとも無駄にしない」
練馬区は、谷原保育園の質疑で、「一円たりとも無駄にしない」から廃園にするのだと答弁しました。区立保育園に通う子どもたちへの経費は「無駄」だけど、美術館には81億かける…?
どこを向いているかの姿勢、目線が問われます。
【問題3】規模をおさえれば、もっと安くできる!
詳細視察レポート
太田市美術館・図書館の場合、約20億円で整備。
現在、様々な建築の賞をとるなど、注目の美術館図書館です。
延床面積も、太田市美術館・図書館「3152㎡」、練馬区美術館・図書館「約3700㎡」と、大きくは変わりません。
やはり81億円は、高すぎです……。
今後の維持管理費の負担増もふまえると、練馬区としてふさわしい規模なのか? もっと考えるべきです。
【問題3】「老朽化」って本当?
練馬区は答弁のなかで、
「老朽化→大規模改修の時期、社会状況の変化。30数年で変わっている」
と発言。
しかし練馬区立美術館は、まだ築40年未満。
老朽化ではなく、十分使える建物です。
23区の他のどこも、40年で建替えた美術館はありません。
練馬区だけ社会状況が違うのでしょうか?
【問題4】貫井図書館の割合が減少!
- 専用スペースの割合は…
- 現在→美術館6.7:図書館3.2(2270㎡:1110㎡)
- 基本構想→美術館7.8:図書館2.2
→美術館が大きく伸び、図書館の割合が縮小することがわかります。
練馬区は、
- 「共有スペース、開架スペースではないところもとる」
- 「蔵書スペース減るとは考えていない」
- 「エントランスホールに美術関係の図書を置く等活用したい」
といっていますが、やはり美術館がメイン、という状況は否めません。
【問題5】区民の反対の声→具体的な方策ナシ
「Q:様々な声とどう折り合いをつけるのか?」という質問に対しては…
練馬区は相変わらず、丁寧に対応してきた、と答弁。
- 練馬区「区民の代表である区議会に報告」
(いやいや、その区議会で、私含め、反対している議員が3分の1はいるでしょう…) - 「公共施設等総合管理計画→パブコメ」
(いやいや、そこで、反対意見がたくさん出てきたでしょう…) - 「今後も丁寧に意見伺う」
(いやいや、反映せず、聞くだけでは意味がないんです…)
…と、思わず「いやいや」とツッコんでしまいます…
※太田市美術館・図書館では、プロポーザルの条件に「市民とのワークショップ5回」
設計者が公募市民約30人とのワークショップを通じ、意見をききながら設計していき、
→最終的に3案出たなかで、市民の意見が多かったものを最終案に決めたそうです。
→こういう市民とつくりあげていくかたちが必要ではないか?
と質疑したところ、
練馬区は「手法は検討」とのことでした。
しかしそもそも、区民との話し合いが足りていないことは、これまでのパブコメや説明会を見ても明らか。
練馬区の場合、公募区民も少ないなかで計画を決定し、まだ計画も合意がはかれていません。
練馬区の重大すぎる問題…。
今後も皆さんに発信していきます!
まどぐちは、こうぐち!
高口ようこでした。