練馬区立美術館との違いは…!?~太田市美術館・図書館を視察しました
7月12日、太田市美術館・図書館を視察させて頂きました。
受け入れてくださった太田市職員の皆様、本当にありがとうございました。
視察させていただこうと思ったきっかけは、『これからの図書館構想策定検討委員会』の議事録に目を通していた時。こちらの図書館の名が挙がっていました。
練馬区立美術館と同様、美術館と図書館が一体になった数少ない館ということで、
これは、ぜひ、この目で観たい!!!
そこで、会派(インクルーシブな練馬をめざす会)に声をかけ、視察をお願いしました。
↓岩瀬たけしさん、かとうぎ桜子さんと一緒に。
視察レポート
★ふらりと入りたくなる!
↓太田駅前北口を降りると、目の前に。
「何このオシャレな外観…!」とまず驚きます。
※当日はあいにくの天気で写真が暗めですが、天気がいいともっと明るい雰囲気だと思います。
↓全面ガラス張り。展示のあるときは、外からも中のアートが見える仕掛け!
ふらりと入ってみたくなりますね。
★市民とのワークショップで実現!
もともとは、北口駅前のにぎわいを取り戻そう…ということで、企画がスタート。
職員の発案から始まり、美術館と図書館にすることに。
プロポーザルで、設計事業者を選んだ際、
「市民とのワークショップを実施すること」
を、契約に盛り込みました。
新進気鋭の若手建築家、平田晃久氏を起用。
公募で選んだ30人の市民とのワークショップを計5回実施しました。
最終的に、図書館・美術館を階で分けた別の2案より、全体を融合させた案を、市民が選択。
そこで、5つの”箱”をスロープでつなぐ「からまりあい」のある設計となりました(斬新なデザインが注目を浴び、数々の賞を受賞)。
現在も、市民のサポートスタッフがおり、今後は研修などを経て、市民による企画が実現できるように……と目指している、とのこと。
- 市民とのワークショップ
- そこで出た声を反映
- 市民との連携
この点は、練馬区でも採用すべき点ではないでしょうか!
★とにかく…映える!
↓とにかくどこをどう撮っても、とっても”映える”!!
↓吹き抜けの開放感
↓スロープをのぼっていくと自然に上へあがっていく、不思議な感覚。
歩いているといつの間にか展示スペースにたどり着いていたり、“美術館と図書館の融合”とはこういうことか……と目からウロコでした。
↓多彩なデザインの椅子があちこちに。こちらはオリジナル。
★蔵書はアートと絵本を重視
↓図書館としては、「サテライト図書館」の位置づけ。
アートと絵本の蔵書が充実しています。
国際アンデルセン賞の絵本もずらり。
↓スタッフが描いているオリジナルイラストがプロ級!
★展示スペース
↓プロジェクターを使って壁に映し出したり、ワークショップを開いたり、自由度の高いスペース。
ご覧の通り、外からも見えるので、まち×アートの融合も感じさせます。
↓専用の展示スペースもあり、こちらは入場料を払って入ります。
年4回程、展示を実施。「最先端」がコンセプト。
※パノラマで撮影しました
★屋上も気持ちいい!
↓本を持って屋上に出ることができます。屋上は広々!まちを一望できます。
ベンチに芝生…ここで読書できたら、気持ちよさそう…
★フォントにもこだわりが…
↓ロゴマークを担当したグラフィックデザイナー・平野篤史氏さんが、館内の様々なサインも担当。
↓エレベーターは埴輪!
↓消火栓、消火器までこだわりが
★整備費用は約20億円
- 工事関係:約17億円
- 設計・工事監理:約9千万円
- 備品購入:約1.4億円
- 計画策定:約2千万円
※もとは民間の土地で、その用地取得費に、別途約1.6億円。
大きさ等の違いはある前提ですが、練馬区立美術館が「改修だけで約70億円」というのは、やはりかなり高額な印象です…
※面積:敷地面積2331㎡、建築面積1496㎡、延床面積3152㎡。
★行政の体制
「太田市美術館・図書館」という同じ課のなかに「図書館係」と「学芸係」の2つがあります。
また、スタッフスペースも、図書館、美術館、どちらも一緒。常日頃、連携がとれています。
練馬区のように、図書館と美術館の運営事業者は別、担当課も別、というかたちとは全く違います。
★まちじゅう図書館
市内のお店等が、店内に図書コーナーをつくり、店長が「図書館の館長」となる――
「まちじゅう図書館」という取り組み。
お客さんと交流したり、お店を知ってもらうきっかけになったり、お店同士が交流したり……
「市民との協働・連携」という点でも、魅力ですね!
↓こちらは太田薬局さん。漢方などの本が多め。
高口の感想 ~練馬区立美術館との違い
★美術館と図書館の融合とは
私のなかで、現在の練馬区立美術館の印象が強いので、
「美術館と図書館を一体に」というコンセプトで、こういうふうに融合ができるんだ!
と、とても新鮮な感覚でしたし、勉強になりました。
図書館を歩いていると、美術館スペースに迷い込み、アートが体感できる……
それは、現代アートならではの楽しみでもあります。
「本物のアート」といい、国宝や重要文化財の展示にこだわる練馬区立美術館の基本構想からは、生まれない発想ではないかな、と思います。
★図書館があってこそ
伺った際、アートの展示がない期間だったこともあり、図書館が主という印象を強く受けました。
図書館という、誰でもいつでも来られる居場所が、まずある。
そのなかで、アートの様々な展示が行われる。
図書館が基本にあるからこそ、美術館が際立つ。
そういうあり方なのかな、と私は感じました。
現状の練馬区立美術館基本構想では、貫井図書館側は”サブ”の印象を受けますので、こちらも違いを感じました。
★市民との連携が重要!
市民との連携……という意味では、市民とのワークショップで作り上げる等、市民との連携を計画当初から重視。市民が中心になった展示の実現……という目標にも、本気の姿勢を感じます。
そこも、練馬区立美術館の現状とは異なります。
市民がアートを楽しみ、市民に愛され親しまれる。市民とともにつくりあげていく。
そこがまさに重要ではないでしょうか。
練馬区立美術館も、改築せずとも、改修でも十分取り組めることだと思います。
太田市の職員の皆様、改めて、お忙しいなか本当にありがとうございました!
今後も他の美術館や図書館も見に行き、質疑を深めていきたいと思います!