コロナ禍で拡がる格差、予算で対応を!~練馬区予算委員会・高口質疑
2021/2/17、練馬区議会・予算特別委員会での、高口の質疑です。
【1】コロナ禍で拡がる格差、予算で対応を!
【Q1】格差対策をどう考えた予算なのか?
高口:区報1月21日号では、「経験したことのない財政危機が到来するおそれ」とショッキングな見出しがつき、財政の厳しさが3ページも特集されました。
一方で、2月15日、日経平均株価は1990年8月以来の3万円台の大台を回復。「コロナ特需」とも評され、勝ち組は史上最高株価をつけ、国も来年度の実質4.0%のV字回復を見込んでいます。
練馬区としては、コロナ禍でますます広がる格差に、予算でどう対応するのかという点が最も重要だと考えております。
<財政課長>
- しわ寄せが最もいきやすいひとり親家庭の支援、職を失った方への支援などは、積極的に取り組んでいる
- 来年度も、ひとり親家庭の支援を充実
- 就労支援のためのサポーターを増員
- 生活保護費は当然増額
- 今後も一人ひとりの状態に寄り添った支援を取り組んでいきたい
【Q2】非正規、委託、派遣が増加…
高口:生活保護費の予算が増えたことはいいこと、今後も申請増加に対応いただきたいと思います。
今、就労支援が出てきました。一方で、例えば、就労の最前線にいるハローワークの職員というと、窓口のほとんどが非正規。
昨年、コロナ禍に発行された書籍「官製ワーキングプアの女性たち」の中では、実際にハローワークのカウンターで働く非正規職員が、
- 「雇い止めの恐怖から不安でメンタル疾患になる人もいます」
- 「自分はいつ生活に困窮してもおかしくない」
- 「私たちも来年度末には同じように求職窓口に並んでいるかもしれません」
…と、切実な訴えを挙げています。
今回、区が増員する就労サポーターは、人材派遣会社からの派遣職員。こちらも不安定な就労形態かと予測しています。
相談はもちろん重要ですが、相談の前に、そもそも安定した雇用自体が少ない。格差という点で、非正規女性など、もともと弱い立場の方の構造を是正することが重要だと思います。
練馬区での非正規雇用である会計年度任用職員について、今後、(都区財調協議のなかで)区側の単価設定にできていく見通しがあるのか伺います。
<財政課長>
- 実態に基づいた主張を引き続きやっていく
- ただ、都がどう応じるかは、私の口から今、見通しはなかなか言えない
【Q3】安定した雇用の創出を!
高口:財政の問題も含め、会計年度任用職員という制度自体の課題も残されていると思います。練馬区自身が、格差の構造そのものに踏み込んで正規職員を増やすなど、自ら安定した雇用を生み出す対策を要望します。
その観点で内閣府も、「新型コロナウイルス感染対応地方創生臨時交付金の取扱い」において、「解雇、雇い止め、内定取消し等により職を失った方の雇用の創出に資する事業に対し、地方公共団体独自の措置に積極的に取り組むことが期待される」とし、「地方公共団体が一時的な雇用を自ら実施」という事例も挙げています。
<財政課長>
- 生活サポートセンターに3名増員、生活保護世帯の就労サポーターを増員
- そういったことで、雇用対策を含めて対応を取っている考え
【2】コロナ後の脱出戦略~人員体制の強化を
【Q4】練馬区の脱出戦略は?
その増えていく方が会計年度任用職員や委託の事業者。雇用の安定が地域経済の活性化をもたらす観点からも、ぜひ、格差の解消にまで踏み込んで、雇用の創出という点も検討をお願いしたいと思います。
それから、今回の予算では、ポストコロナ、コロナ後の脱出戦略をどう描くかという点も重要だと考えます。
練馬区は、今回の予算案でコロナの脱出戦略について、例えばワクチン接種が終わる時期なのか、オリンピックまでに終息する見通しなのかなど、どのように見通して予算をつけたのか伺います。
<財政課長>
- 現在、ワクチンも始まっている
- 今後の展開が見えてきた段階で改めて、別途、必要な施策は、補正等を含めて対応を考える
- 現時点では、この危機的状況をまずは乗り越える視点
【Q5】「ひと」に予算を!
高口:コロナ禍で今回明らかになったのは、平時の人材を手厚くしておくことが、緊急時の対応にも生きるという点だと思います。
ポストコロナを見据えた予算としては、
- エッセンシャルワーカーの待遇改善
- 公共分野の労働条件を引き上げ、地域の雇用水準を上げる
といった施策による人員体制の強化が重要です。
<財政課長>
- 人件費は、来年度、昨年度比7億円の減
- 現在、職員定数管理計画に基づき、定数の削減を進めていること
- 今年度の人事委員会勧告などを踏まえ、職員の一時金が減額
<職員課長>
- 必要な部署に必要な職員を充てていく定数増の取組
- 一方で、委託等による定数減を行い、トータルで定数減を図る
【Q6】エッセンシャルワーカーへの予算を
高口:公共サービスの役割がこれまでになく増大している中で、担当する人員が、非正規や委託では、公共サービスの安定化に不安が残ります。
例えば、福祉を支えるエッセンシャルワーカーに対し、「介護等従事者特別給付金」のような経済的支援や、グループホーム職員へのPCR検査など、国や都がやらない部分への対策を積極的に行うべきだと考えます。
経験したことない危機に区民が直面する今こそ、基金の積極的な活用が必要です。
<財政課長>
- 委託によってサービスが充実している
- 当時(昨年の緊急事態宣言)と状況が大分違っている
- 今後、状況、必要に応じて検討していく
【Q7】保健所の強化を!
高口:サービスを実際に担当する方の給与や待遇改善がないと、サービスの安定化につながらないと思います。
総務省は「保健所の恒常的な人員体制強化を図るため、感染症対応の保健師を2年間かけて1.5倍に増員」と示しています。「保健所を設置する地方公共団体においては、早急に保健所の体制強化に取り組んでいただきたい」とありますが、練馬区としては、今後、保健師を1.5倍増員する方向で人件費を見込むのか伺います。
<職員課長>
- 保健師は現在、管理職員を除いて99人在職
- 平成27年度からこれまで、15定数増
- 定数管理計画に基づき適切に対応
保健師の増員、早めに対応を!
高口:今、保健師さんがどれだけ重要かを皆さんがご存じの中で、人材を確保するためにも、早めの増員の対応が必要だと思います。