陳情質疑①マイナ保険証②火葬場設置と火葬料金の問題
2024年1月18日、区民生活委員会のレポートです。
この日は他に案件はなく、陳情の質疑が2つ。
質疑のみで、審査(賛否をとる)は、
次の委員会(2月15日)の予定です。
ちなみに……
練馬区立美術館の基本設計が12月中の予定だったので、
この1月の委員会で何か出てくるかと思ったのですが、出ずでした。
気になるところですが……
陳情第29号 健康保険証の存続を求める意見書の提出について
ひとつめの陳情審査は、いわゆるマイナ保険証問題。
陳情主旨
要旨「健康保険証の廃止を中止して存続するように、国に意見書を提出されたい。」
簡単に言うと、マイナ保険証を見直し、今の健康保険証を廃止しないように求めています。
高口も、陳情の主旨に賛同します。
論点、問題点
練馬区議会は直接マイナ保険証をどうするかの権限はないため、質疑の仕方が難しいのですが……
練馬区が出してきた資料を基点に、マイナ保険証の問題を追及しました。
①医療機関での未導入が2割
練馬区内の医療機関(薬局含む)1407施設のうち、オンライン資格確認の導入済み数は1179施設。
つまり、
224施設が未導入
です。
全国でも8000施設程度が未導入。
今後導入する以外の理由として
- 高齢
- 数年で閉鎖予定
- 山間部等でシステムが導入できない…等
→この場合、未導入でもOKと、国が認めています。
それ以外は、「国が指導を進める」対象とのこと。
高口は、「この機会に閉院するか」など、
高齢医師の閉鎖予定を早め、閉鎖を加速させるのではないかと、危惧します。
②「顔認証マイナンバーカード」の意味
問題1:高齢化への対応にならない
2023年12月15日より、暗証番号設定不要の「顏認証マイナンバーカード」の発行が始まりました。
- 交付方法は、通常のマイナカードと一緒
- 電子証明書の電子チップを書き換える
- 暗証番号は使えない
- 区民がマイナカードを受け取る際に申し出があれば、設定する
- 今お持ちの方も、希望があれば書き換える
- 利用できないサービスあり
- 区内6か所の区民事務所でのみ受付
という内容です。
しかしそもそもこの制度は、認知症が進んで暗証番号を覚えられないのでは……という心配、不安の声から始まったはず。
認知症が進めば、区民事務所の来所は難しくなります。
一方、発行は、区民事務所に来所し、窓口での交付が必要。
つまり、そもそもの問題の解決になっていないのです。
練馬区は、出張申請代行の話を出しましたが、練馬区では未実施です。
問題2:エラーが出たら?
顔認証の精度はあがっているものの、100%ではありません。
約1億人が使えば、
0.1%でも10万人
0.01%でも1万人
トラブルが起こります。
すごい数です。
その時どうするかというと、
目視で、顔写真を見て確認
……結局はアナログ、ということですね。
③モデル機器による体験会を実施?
練馬区は、「利活用・利便性を進める」ため、今後、モデル機械の体験会を行うとのこと。
……うーん……
そもそも便利で使いやすければ、体験会等しなくても使われていき、広まっていくはず。
使われないのは、制度に不安や不信があるからでは……
そこに向き合わずに、モデル機械の体験会をやる予算、税金をかけるのはどうなのでしょうか?
④マイナ保険証の利用率:4.5%
ご存じの通り、数々のトラブルにより、マイナ保険証の利用率は激低!!!です。
※4.5%は全国の数字で、練馬区でどの位かの数字は、練馬区は持っていないとのこと。
⑤メリットは本当にメリット?
マイナ保険証のメリットとして、他病院・他薬局での診療情報を、医師が見られることが挙げられました(他に、転居転職時のタイムラグがないこと、高額医療の限度額証など他医療症が不要となること、など)。
一方で、医療情報は、とてもデリケートな個人情報。
自分がどんな病気に過去かかったか、どんな薬を飲んでいるか、
どんどん情報連携したい、という人ばかりではありません。
「情報連携されたくない」というニーズも少なくないと思います。
診療所では「知らせる・知らせたくない」の「同意・不同意」をとるのですが、受診ごとに、毎回する必要があるようです。それはそれで手間ですよね……。
ちなみに、カルテが見られるわけではないので、何の症状でどんな薬が出たか、という情報です。
⑥結局、今のままでいい…
練馬区の国保の場合、今発行しているものが、令和7(2025)年9月まで使えます。
その後、「資格確認証」が申請不要で発行される予定です。
今は2年ごとの発行ですが、いつまでを期限とするか(国は5年を想定)、形態をどうするか、決まっていません。
マイナ保険証のメリットとして、限度額証など他の医療症と一体化できることを挙げていますが、資格確認証を他医療症と一体化するかは、自治体が選択します。
練馬区はまだ選択していない、決めていない状況です。
もう、それだったら、今のままでいいじゃん……と、思わずにいられません。
⑦資格確認証→法的な位置づけがあいまいに!
なんといっても問題なのは、資格確認証になると、法的な位置づけが非常に不安定になることです。
マイナンバーカード自体は、「任意」です。
その制度は何ら変わっていません。
一方で、国民皆保険制度は「義務」です。
その法的な整理は、ついていません。
ついていないのに、マイナ保険証を進めるのは、どう考えても無理があります。
しかし、国保法が改正され、資格確認証については「当面の間、書面交付できる」という、非常に法的に不安定な位置づけです。
マイナ保険証を国民に使わせることよりも、安心して医療にかかれることこそが、国民皆保険制度にとって、最優先なはずです。
災害時に使えない
能登半島地震でもわかるとおり、災害時は電気も通信も止まり、
マイナンバーカードの使用自体ができません。
災害時は保険証がなくても医療にかかれるとはいえ、メリットだと謳っている医療情報を確認する術がなくなるのです。
⑧導入費用も高額!
医療機関にとっては、費用も負担に。
導入1台あたり、当初は47万円の補助。
今後の増設では、27.5万円、1/2補助となります。
(※施設規模・台数により違いあり)
別途通信代もかかります。
大きな問題のあるマイナ保険証。
私は、安心して医療にかかれる国民皆保険制度を維持・向上するためにも、
今の健康保険証を存続させることは、大事なことだと考えます。
保険制度、日本の医療、命・健康がかかった問題。
陳情に審査に、どうぞご注目ください。
2月15日に審査→結果は「不採択」に…
2月15日の区民生活委員会にて、審査が行われました。
- 採決(陳情に賛成+挙手での多数決を求める)→インクル(高口)、共産党
- 採択(陳情に賛成)→立憲
- 不採択(陳情に反対)→自民党、公明党、維新、みどりの風(一人会派)
残念ながら、反対多数で、不採択となってしまいました…
今後も、いろいろな場面で、マイナ保険証の見直しを求めていきたいと思います!
陳情第42・43号
行政が運営主体となる新規火葬場建設を求めることについて
火葬料金を届出制とする法整備を求める意見書の提出について
火葬場についての2つの陳情
ひとは誰しも、いつかは人生の終わりを迎えます。
葬儀をあげる・あげないは人それぞれですが、火葬については、そうはいきません。
多死社会、葬儀場不足と言われているなかで、出てきたのが、この2つの陳情です。
陳情要旨は
- 行政が運営主体となる新規火葬場を設置するよう、区に働きかけられたい(42号)
- 火葬場の運営や料金の適正化を図るため、火葬料金を届出制とする法整備
をするよう、都や国に意見書を提出されたい(43号)
という2点です。
以下、陳情文面
42号
43号
陳情者は、同一の方ですが、葬儀の事情にお詳しいのだろうと推察します。
23区でも、おそらくお仲間の方が、同一の陳情を出しています。
他区の陳情状況は、以下のとおり↓
火葬場を、区が合同で設置する実例
23区には、公営の火葬場は、2か所のみ。
一つは、港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区が、平成16年(2004年)共同で火葬場を設置。「臨海斎場」という名の通り、臨海エリアに設置されています。
二つ目は都営で、江戸川区にあります。
どちらも練馬区からは、遠いですね。
残り6つの民営は、すべて「東京博善」という民間の会社が経営しています。
練馬区だと、落合の斎場を使われる方が多いのではないでしょうか?
火葬場設置のハードル
臨海斎場のように、練馬区も近隣区と合同で設置できればよいのですが……
最も高いハードルは、立地です。
火葬場設置には都市計画法やまちづくり条例等、複数の法令に定められた、様々な条件をクリアする必要があります。
なかでも、
「学校・住宅等から250m離れている」
↑住宅地・練馬で、これをクリアするのはとても困難だと思います。
葬儀場不足に向けて
一方で、多死社会、葬儀場不足をどうすべきなのか、しっかり対応を考えていくことは必要です。
委員会で、区がどう検討しているのか、問うたところ
- 練馬区「国・都の動向」を見て対応を考える
とのことでした。
また、陳情にある「火葬の受け入れを拒否」という状況で、区に相談が来たらどのように対応するのか、質疑。
- 練馬区「公衆衛生の観点で対応を図る」
- 「適切に対応」「支援」
- 「区民に寄り添った対応が基本」だが
- 「法の指導→限度がある」「適切にはかる」
との答弁でした。
火葬料金の”格差”
民間の火葬料の平均は、約8-15万円。
物価高もあわせて、火葬料金は増加しているようです。
公営の場合、
- 臨海斎場を練馬区民が利用する場合:88000円
- 都営の瑞江葬儀所を利用する場合:59600円
一方、臨海斎場は、設置者の区民なら44000円で利用できるので、差額は44000円。
同じ23区でありながら、火葬料金に差があることとなります。
なお陳情には、「府中市民は無料で利用できる火葬場がある」とも書いてあります。
火葬料金の格差が、同じ東京でも存在します。
※いずれも12歳以上の場合
火葬料金の補助の検討を!
臨海斎場も瑞江葬儀所も遠いことを考えると、利用は現実的ではないかもしれません。
- 上記の差額:44000円
- 民間価格の下限8万円と、臨海斎場44000円の差額:36000円
このどちらかを練馬区民に補助を出す、ということが、必要ではないか。
火葬場はすぐに作れるものではないので、今できることとして、
火葬料金の補助を検討するよう、練馬区に求めました。
参考:現状の補助制度
生活保護については、火葬料金も含めた葬祭扶助があります。
それ以外で、火葬料金ではありませんが、葬儀、お葬式の補助制度はあります。
練馬区HP:区指定葬儀場使用料助成金
練馬区が指定する葬儀場を使用した際に、15,000円(上限)を助成する制度です。
2月15日→審査結果
2月15日の区民生活委員会にて、審査が行われました。
陳情42号(新規火葬場建設)→継続
- 継続(審査を続ける、賛否を出さない)=自民党、公明党、立憲、維新、みどりの風(一人会派)
- 採択→共産党、インクル(高口)
陳情43号(火葬料金の届け出制)→全会一致で採択!
珍しく?全会一致で採択に!
意見書が委員会に出たのち、本会議で提出され、可決されます。
一歩前進ですね!
3月15日 意見書提出
2024年第1回定例会最終日、陳情43号の意見書の文面が配布され、意見書提出の運びとなりました。
人生の本当に最後の最後で、区民の負担が軽くなるよう、求めていきたいと思います!