『練馬区学校施設管理実施計画』の欺瞞 ~『適正配置方針』とセットでパブコメを送ろう!

『練馬区学校施設管理実施計画』とは

小中学校・区立幼稚園の『適正配置基本方針』素案

こちらとセットになるのが、この

『練馬区学校施設管理実施計画』
中間見直し(令和6年度~10年度)
素案です。

こちらの解説もあわせて読むと、より理解できます:練馬区の学校統廃合 学校つぶしが本格化!?『第2次区立小・中学校 および区立幼稚園の適正配置基本方針』素案

どんな計画?

簡単にいうと…

公共施設等総合管理計画』という
大元の大きな計画があって

(※こちらもパブコメ募集中!近日中に解説予定)

その中の、学校に関する計画が
この『学校施設管理実施計画』です。

内容は、学校を改築するか
長寿命化工事をするか、
統廃合するか……
その基準などが書かれています。

10年間の計画で、今回は5年目の〔中間見直し〕。

後半の5年間に対する「素案」です。

練馬区HP:学校施設管理実施計画〔中間見直し〕(素案)へのご意見を募集します

■学校統廃合が根底にある計画

『適正配置基本方針』は、学校の統廃合に踏み込んでいます。

ですので、この『実施計画』も、
その観点から見ていくことが重要です。


概要&問題点

■3つの基本方針

基本方針は、以下の3つ。

①改築
②長寿命化
③統廃合

①改築

②長寿命化工事ができる学校は、②が優先。

②長寿命化工事ができず、
③統廃合もしない学校のみを、
60年をめどに改築=建て替える、

という流れです。

選定する基準は↓以下のとおり。
ア~オまで例外が並び、練馬区が選定しやすい基準だと言えます。

②長寿命化

  • 約60年に長寿命化=長く伸ばす工事をして
  • 約80年まで持たせる

というのが、「長寿命化工事」です。

その前段として、50年目を目処に、長寿命化するかを判断します。

  • コンクリート圧縮強度
  • コンクリートの中性化の進行状況
  • 鉄骨の腐食状況
  • 筋交いのたわみ…

で検査をします。

↓各学校の検査結果がコチラ↓

基準となる中性化深度が30mm以上になっている学校も複数ありますが、
鉄筋の状態が「良好」と判断され、
どこも問題ない、という結果になっています。

■一番古い小竹小学校の問題

しかし!!!

すでに、練馬区で一番古い小学校・小竹小学校は
築65年です。

小竹小学校以下の古い学校は、順次、
改築や長寿命化のリストに載っていますが、

 

小竹小だけ、宙ぶらりんのまま……。

長寿命化の工事も何も行われていない状況です。

練馬区が自ら、計画を破っている!

練馬区自身が、

  • 50年を目途に判断をして
  • 60年で長寿命化する

と言った、まさにその基準をすでに破っている状態なのです。

この計画の中で書いたことを、自ら、守っていない。

練馬区の答弁も、ひどい

練馬区はこれを指摘すると、「必要な改修工事はしていますよ」と答えるのですが、

それは長寿命化の工事とは、全く違うものです。

壊れたところを直す、当たり前の工事であり、
きちんと計画を立て、1-2年かけてしっかりとやる長寿命化の工事とは、全く異なります。

子ども、地域の命が、平等になっていない!!!

本当にひどいです。

子どもの命を何だと思っているんでしょうか?

小竹小に通う子どもたち、

そして、いざという時
小竹小に避難する地域の人たちの
安全、命を、
一体何だと思っているんでしょうか?

全く、子どもの命を
平等に見ていない、

地域の人の安全を
平等に見ていない……

そう言える状況です。

なぜそうなったか?=練馬区長の方針を覆せない

当初、練馬区長が
「リーディングプロジェクト」
としてバーンと打ち出したがために

この方針を、未だに捨てられないのでしょう。

その結果、

地域が振り回されている
子どもが振り回されている。

小竹小の子どもたちだけが取り残されて
ずるずると宙ぶらりんの状態に置かれたまま、

学童も作ってもらえない
工事もしてもらえない

本当に、ひどい状況です。

無責任すぎる!!!!!

統廃合の状況がどうであろうと、

練馬区自身が出した
「60年で長寿命化の工事」
という、その基準を守るべきではないでしょうか。

このままいくと
何の対策もなされないまま
約70年になる見込みです。

60年で長寿命化の工事を?して
80年まで伸ばす
と言う計画を出しておきながら、

小竹小だけ、何もしないまま、70年……。

あまりにひどくないですか???

本当に、無責任
だと思います。

【新項目1】2階にある体育館のシミュレーション

今回この計画の中で新たに出してきたのが、体育館の検討です。

2階に体育館のある学校は、
避難拠点になる時に、バリアフリーの観点で課題がある

……ということで
シミュレーションをしています。

【シミュレーション1】

体育館の下の校舎部分を、校舎の方に持ってこれるか?

【シミュレーション2】

体育館と、体育館の校舎部分
→どちらも並べて、1階部分に持ってこれるか?

■結果は

  • シミュレーション1:全ての学校でできる
  • シミュレーション2:どの学校もできない

 

ただ、実際には……
  • 校舎を増築できるのか?
  • 運動場がその分狭くならないかか?
  • 5階、6階が建てられる建築用途になっているか?
  • できたとしても5、6Fまで子どもが登るのは大変では?

……など、様々な懸念、制約はあるかとと思います。

今後は

ともかく今後、この結果をもとに

「築年数が古い順から個別に検討して対応方針を策定する」

としています。

【新項目2】プールの設置、見直しへ

そしてもう一つ、踏み込んだのが、学校プールについてです。

今、プールのあり方が、全国的に議論になっています。

その中で、ついに練馬区も

「今後の学校は1対1のプールの設置を見直す」
「近隣校同士での共同利用」
「区立・民間プールの活用に向けてモデル事業を実施」
「実現に向けた検証を行う」

と書きました。

教育環境を向上させてきた歴史

ご年配の方に聞くと

「自分の学校にプールがなかったから
隣の学校まで歩いて行って大変だった」

というお話も聞きます。

そこで練馬区は過去、
1校に1つ、プールをつけようと、
つくり、守ってきた、

つまり環境を良くしてきたわけです。

一方の子どもに負担がかかる「共同利用」

経費がかかることもあって
減らしていくということは
時代の流れかもしれませんが……

「共同利用」

という言い方が、とても気になります。

共同で利用して、良かったね~
というようなニュアンスを感じますが、

要は、プールのない生徒が、隣の学校まで
移動しなくてはいけない、ということです。

  • 炎天下、灼熱の猛暑の中歩かせるんですか?
  • バスを出すんですか?
  • 運転手不足の中、そのバスはどうするんですか?

その調整も含めて、簡単ではないと思います。

何より、プールのなくなった学校の
子どもたちが、より負担を負うことになる。

「共同利用」と言いながら、
負担は、プールのない学校の子どもに偏る。

そこは、考える必要があります。

■なんでもかんでも学校に……「複合化」

そして、「複合化」について。

学校に、周辺区立施設を集めるよ、という方針です。

一方で、練馬区は
「コンストラクションマネジメント」
と言って、
標準的な学校のモデルを作り、
それで建築コストを抑えようとしています。
(これに何千万円もかけています)

しかし、複合化というのは、
それぞれの地域の状況で、
どのくらい、どんな施設を入れるかは違ってきます。

標準化と複合化とは、
相入れるのか?

という疑問もあります。

教室は、余っていません!

学校は、他の施設に比べたら、そりゃ広いです。

また、少子化だからと、「教室は余ってるんじゃないか?」と思う方もいます。

しかし……意外と、教室は余っていません!

昔よりも、算数教室や、特別支援教室、学童やひろば室など、必要な教室が増えています。

どこも余裕たっぷりで教室が余っているわけではない
と、思ってください。

それを踏まえて、ギュッと学校に集める複合化の方針は
注視する必要があります。

学校施設の余裕、学校の縮小と、セットだからです。

少子化だから
子どもが減っているから
学校を減らそう

ではなく!

子どもが減っているからこそ、
子ども一人一人の環境を
大事にしていくこと

が、不可欠です。

 


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1月15日まで。

『適正配置基本方針』
『学校施設管理実施計画』

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