入管法改正を求める陳情、不採択へ…(練馬区議会・区民生活委員会)

※2023年12月8日・12日、練馬区議会・区民生活委員会のレポートです。

入管法改正を求める陳情の質疑と審査

「陳情第25号 出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正」の
質疑が12月8日、審査が12月12日に行われました。

陳情の内容

※陳情書から、そのまま転記

要旨

出入国管理及び難民認定法(入法)を改正し、難民認定審査を担う第三者機関を設置するよう国に働きかけてください。

理由

今回可決された出入国管理及び難民認定法(入法)は2021年に提出し、廃案になった改正案を踏襲しているものです。難民申請回数を原則2回までに事実上絞る規定を導入するため、本来、難民と認められるべき人々の命まで危険にさらすことになります。救うべき難民を守るためにも第三者機関の設置は重要だと思います。

また、今国会での審議では、難民審査参与員による難民申請の大量処理の問題も明らかになりました。ウィシュマ・サンダマリさんの名古屋入管での死の真相すらも明らかにしておらず、入管収容施設における長期収容や医療の課題は今も続いています。

2023年12月に開催が予定されている「第2回グローバル難民フォーラム」の共同議長国となる日本でこのような法案を通すことは矛盾していると思います。

国際人権基準に則った出入国管理制度の整備の観点から、入管法の抜本的見直しを強く求めます。

練馬区の資料

国における難民認定者数等

  • 難民認定申請者数(令和4年) 3,772人
  • 在留を認めた外国人数(令和4年)1,962人
    • 【内訳】
    • 難民認定された外国人: 202人
    • 難民認定されなかったが人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人:1,760人

(出入国在留管理庁ホームページをもとに作成)

高口の主張

難民認定されず、在留も認められない1810人の状況は…

たとえばオーバーステイなら「職権消除(しょっけんしょうじょ)」によって住民票を消されます。

つまり、練馬区に何人いるかもわからない状況。

その中で、練馬区は「適切に」対応しているというのですが……

たとえば仮放免の方でも定期接種は受けられますが、コロナワクチン以外は自分で申し出る必要があります。しかし、日本語ができない方は、申し出ることも困難です。

サポートはしているのか?と聞いたところ、

  • 区「リストに基づき、(他部署と)連携する」
  • 「関係部署で検討を進める」

とのことでしたが、安心できる状況からは程遠いのが現状です。

帰れない理由がある

入管は非常につらいところなので、帰れる人はほとんど帰っています。

それでも帰らないのは、帰ったら命が危ういとか、家族が日本にいるなどの、やむを得ない理由があるのです。

入管の問題

命の危険から必死に逃げて、国外に証拠を持ち出すことなんてできないのに、証拠がないから認められない、など……

認定審査もごく短時間で、参与員一人に集中し、適正に審査されていないことが、国会の議論でも明らかになりました。

帰らせたい入管が、審査までやるのは、たとえば警察が裁判までやるようなもの。
第三者機関の審査が求められます。

もともと日本の難民認定率は非常に低い

もともと日本の難民認定率が非常に低いなど、多数の問題を抱えています。

認定NPO法人日本難民支援協会によれば…

  • 日本
    • 2022年:2%、202人
    • 2021年:0.7%、74件
  • ドイツ→一番認定数が多い国
    • 2022年:46787人→日本の200倍以上
  • イギリス、カナダ→認定率が高い国
    • イギリス:68.6%(2022年)
    • カナダ:59.2%(2022年)

日本の難民認定の課題は明らか!

高口は、「入管法の抜本的見直しを強く求めるという陳情の趣旨に賛同」し、採択を求めました。

陳情の結果

  • 採択
    • 立憲、共産党、インクル(高口)
  • 不採択
    • 自民党、公明党、練馬会議、維新

反対多数で、「不採択」となりました。

残念です……

なお、審査の際に、私と共産党は意見を述べましたが、他の議員は、意見を添えませんでした。

質疑の際、質疑をしたのは、自民党、公明党、共産党と、インクル(高口)のみでした。

さらに残念な委員長報告

定例会の終わりに、各委員会のまとめをします。「委員長報告」と言います。

今回の陳情について、下記のような文言となりました。

審査の結果、改正法については本年6月に成立しており、保護すべき者を確実に保護するための方策や収容を巡る諸問題への対応策など、入国管理における課題の解決に必要な施策が盛り込まれていることから、願意にい難く、不採択とすべきものと決定いたしました。
なお、一部委員から反対であるとの意見がありました。

「確実に保護」できているでしょうか……?
課題の解決に必要な施策が盛り込まれているでしょうか……?

入管法改悪の状況を見ていると、とてもそうは思えません……。

非常に残念な報告となってしまいました


今回の陳情では非常に残念な結果でしたが、今後も、国際水準の難民認定が行われ、日本に助けを求めてきた難民の方々の人権がしっかりと守られるよう、頑張っていきたいと思います。


参考