【練馬区議会・補正予算】児童生徒への性暴力等防止特別対策委員会、第三者相談窓口【高口質疑】
2023年12月11日、練馬区議会・補正予算にて、高口ようこの質疑です。
学校での性暴力防止の対策、できることをすべて!
「性暴力等防止事業経費」として、今後設置される「特別対策委員会」と第三者相談窓口の経費が計上されました。
今後、委員会で議題にあげてほしい点も踏まえて、質疑しました。
↓委員会資料はこちら↓
1:未然防止策→日本版DBSの状況
こちらの対策は、「未然防止、早期発見、再発防止等」が目的とのことですが、まず「未然防止」について伺います。
そのような教員を「雇わない」ことが一番の未然防止策ですが、
そのための日本版DBSについて、
岸田総理は11月30日参院予算委員会にて
「次期通常国会以降のできるだけ早い時期に法案を提出できるよう努めていきたい」
と答弁しています。
この状況にもよりますが、現在の政府の有識者報告書では、裁判所による有罪判決が確定した「前科」に限定され、自治体の条例違反や、懲戒免職等の行政処分は対象になっていません。
現状で、区は処分歴を確認していると言っていますが、本人が嘘をついた場合どうなるのか?
あるいは前科までいかないケース、表に出ないケースも少なくないと思います。
Q:前校からの情報共有をしっかりと!
今後は引継ぎにおいて、懸念点等を確実に伝えるなど、前校からの情報共有をしっかりはかっていくべきと思いますが、伺います。
<A:教育指導課長>
- DBSの導入については、国の導入の過程、協議の過程などを注視しながら、区としての対応について考えて行く
- 教育委員会の中では、先ほど会計年度任用職員、子どもに関わる立場の人間については、申し込みの際の申請用紙ですとか、面接の際に処分歴について確認をしている。
<高口>
法律の今の現状では、出来ること、出来ないことがあると思いますが、情報共有を図るという事は、今の段階でもできることだと思いますので、是非行政処分や条例違反等についても情報共有や引継ぎがなされるようにお願いしたいと思います。
2:チェックシートの”後”が大切
続いて、「セルフチェックシート」について伺います。
現在、練馬区では年1回以上、専用のセルフチェックシートを用いて、教員に性犯罪や体罰に関する知識や対応を確認しています。管理職にも行っています。
こちらは東京都が作成しており、毎回内容は違うと聞いています。
長野県など一部の教育委員会は、性障害専門医療センター(SOMEC)が作成したチェックシートを用いて、性加害の危険性を確認する質問に、教職員が自己判断で答え、結果によって相談を促しているそうです。
Q:体制の充実を
- 今後は、区独自でチェックシートを作成し、確認の回数を増やしていくべきではないでしょうか。
- また、チェックシートの確認後、その”後”が重要で、相談を促す等のサポート体制も必要ですが、
2点伺います。
<A:教育指導課長>
- チェックシートでございますけれども、例えば、児童生徒への個別指導は複数で対応している、〇か×か、やむを得ず1対1で児童生徒を指導するときはドアを開けておくなど密室とならないように配慮している、など〇か×か、こう言ったようなチェックをそれぞれの教員に投げかけているもの
- このことによって、性暴力に繋がるような行為がないか、または周りで性暴力があった場合にどのような行動を取るべきか、または性暴力防止に向けて教員が必要な態度や知識を身に着かせることができる、
- こう言ったような目的がある
- 基本これは年に1回東京都が作成したものを使っているところではございますけれども、
- 現状区独自のものを作るかどうかという事は、今後の検討材料になるかとは思いますけれども、
- 回数を増やすというよりもやはり、やらせて終わりではなくて、
- 例えば間違えている内容を確認したり、日常の教員の行動や言動を振り返りながら指導を管理職が行ったりすることが大切かと考えてございます。
- また、校長のセルフチェックシートは誰がチェックするんだという話がございました。
- この10月には全校長のセルフチェックシートを私の方で確認をさせて頂き、
- その内容については校長と協議などをしたところでございます。
- そのような活用の仕方を発展的に進めてまいりたいと考えてございます。
<高口>
確認して知識を問うような内容なので、性加害の傾向を問うようなチェックシートにはなっていなくて、そういうものを導入するかなかなか難しい所だと思いますが、何らか懸念されるような方に相談を促したり、チェックシートのその後のサポート体制を手厚くしていく必要があるのではないかと思っています。
3:過去の性犯罪への対策を
「早期発見」の前に、すでに過去起きた性犯罪への相談、通報が今後も続くのではないかと、私は考えています。
被害者の苦しみは、何年、何十年たっても終わりません。
Q:卒業後のサポート
卒業後も、被害者に寄り添ったサポート、ケアを適切に行う必要がありますが、どの部署がどう対応するかなど、体制はどうなっているのでしょうか?
Q:他部署とも連携+周知を
被害者は、学校への不信感も大きいと思いますので、男女共同参画課などの教育委員会ではない部署と連携し、専門家につなぎ、卒業後も継続的なサポートを続けること、
またそれを、区としてしっかり周知し、被害者に届くようにすることが重要と考えますが、
見解を伺います。
<A:教育指導課長>
- 今回、中学校の校長が逮捕された件につきましても、
- 東京都が昨年度設置した第三者相談窓口への電話相談がきっかけとなって、逮捕にまで繋がったという実績がございます。
- 私共、区の相談窓口につきましても、卒業生、もしくはそれ以外の方々につきましても、私共のほうで受付をし、心情に寄り添いながら丁寧に対応を進めて行きたいと思っております。
- 第三者相談窓口でございますけれども、相談を受けた場合には、関係機関と連携してしっかりとサポートしていく、
- 先ほど男女共同参画課の話がありましたけれども、東京都や、関係部署など様々ございますので、そちらとしっかりと連携を図ってまいりたいと思っております。
<高口>
卒業していない生徒に関してはチラシを配ったりなどしていて、一方で卒業した後の方々にも啓発、そういう窓口があるんだよという事、届くような周知、区報やSNSなど通じて、周知をしていただきたいと思います。
そして被害の訴えがあった際は、継続的な丁寧なサポートをお願いしたいと思います。
4:二次被害の対策も、厳格に
性犯罪に特有の二次被害への対策も、厳しく行っていくべきです。
事件が起きた際に、関係者や生徒たちが、被害者に落ち度があったかのように発信したり、SNSやLINEで噂を広める等、被害者を貶め傷つける行為について
それは「二次加害」であり、絶対にやってはならないことだと、性加害が起きた早期の段階で、厳しく指導する必要があります。
実際に練馬区の学校で性被害にあった方から直接ご相談も頂きましたが、やはりSNS等での二次被害が深刻だった、しっかりと対応してほしい、との切実な訴えでした。
Q:区の対応は?
現状、区としては二次被害防止についてどのように対応しているのか、
今後どうしていくのか、伺います。
<A:教育指導課長>
- 被害者が二次被害を受けないようにするのはとても大切なことであります。
- まずはその被害者が特定されないように、発表の仕方等を工夫しているところがあります。
- また、その特定された場合も被害者の周囲が、無責任な噂を流したり、偏見や中傷を興味本位の話しかけを行ったり、間違った言葉かけや態度を示したりすること、また繰り返し事件の事を聞く、などそう言ったことが二次被害、心の傷を更に深くすると言われています。
- これまでも教員研修の中で触れてきたり、生徒への直接的な指導を進めたりしているところでございますけれども、
- 今後の特別対策委員会の提言を踏まえて、更に強化して行けるようにしてまいりたいと思っております。
<高口>
是非、提言を踏まえて強化をお願いしたいと思います。
5:「からだの権利」が重要!
そもそも性犯罪は、声をあげにくい、あげられない性格の子が狙われやすい傾向にあります。
子ども自身が声をあげ、相談できるようにするためには、単に相談窓口があればよいわけではなく、
子ども自身が自らの「からだの権利」について、しっかりと理解していることが不可欠です。
「からだの権利」とは、ユネスコ『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』によれば
「誰もが、自らのからだに誰が、どこに、どのように触れることができるかを決める権利をもっている」とあり、
「からだを大切にする」ためには、「からだの権利」について学び、権利を主張できる力が必要だ、とあります。
Q:人権ベースの性教育+教員の研修を
日本では「生命の安全教育」が始まったばかりですが、その実施の上でも、権利、人権ベースで教えること、
そのために、教員への研修も必須と考えますが、伺います。
<教育指導課長>
- 様々、教員研修を進めてきたところではございますが、
- 既に十分であるとは全く考えてございません。
- 必要な内容や方法、回数、などは今後しっかりと精査してまいりたいと思っております。
- 対策委員会の提言を踏まえて改善したいと考えてございます。
<高口>
十分ではないとおっしゃっていただいたので、是非、研修もしっかり行っていただきたいと思います。
6:性暴力防止に、性教育は不可欠
性犯罪を防ぐうえで、性教育、包括的性教育は欠かせません。
にも関わらず、「行き過ぎた性教育」等、的外れの性教育バッシングにより、2000年代、性教育バックラッシュが吹き荒れました。
これには旧統一教会もかかわっていたと報じられています。
行き過ぎるどころか、全く進んでこなかった、遅れに遅れているのが日本の性教育の現状です。
Q:性教育の充実を!
性教育を行わないことは、性暴力を許すに等しい行為であり、
今の教育ではあまりに不十分であり、生命の安全教育にしても今後時間を増やすなど充実させるべきと考えますが、区の認識を伺います。
<教育指導課長>
- 生命の安全教育については、今年も練馬区の方で取り組んでまいりましたけれども、
- これはもともと文部科学省の方が推進している内容でございます。
- その文部科学省が今年の11月に安全教育の全国フォーラムというのを開催しまして、先進的な取り組みを進めている、
- そう言った自治体の事例などを発表しているところでございます。
- こういった事例を参考にするなどして、また、今後の対策委員会の提言を踏まえながら、一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
<高口>
是非充実をお願いします。
7:正規教員の増員や、働き方改革も必要!
小児性愛の傾向があることと、加害するかは別問題であり、加害を起こさない環境づくりが不可欠です。
ストレスが加害の引き金となりうることや、
周囲の教員が異変に気付けるようにするためにも、
先生の負担を減らし、余裕を増やすことが大事であり、
そのための正規の教職員の増加も、性犯罪抑止には大変有効と考えます。
教員の働き方改革も必要です。
Q:できる対策はすべて!
一般質問で「徹底した対策に取り組む」と答弁したとおり、できることはすべてやるべきです。伺います。
<教育指導課長>
- 働き方対策は重要な課題であるという事は認識しておりますので、
- 既にそれぞれの立場で、推進していくところでございます。
(ここで時間切れ)
他議員の質疑よりポイント
Q:学童等での処分歴の確認は?
- 区「適宜または必要に応じて確認」
Q:会計年度任用職員への確認は?
- 今後、日本版DBSの方向性、区の対策委員会の提言を踏めあ、処分の有無の確認を検討
Q:「既決犯罪通知書」(刑事罰以上)は、地方検察庁から練馬区に送られているが
- 地方公務員法16条→「欠格条項」の有無の確認
→会計年度任用職員の採用でも確認 - 確認の範囲を広げるかは、日本版DBSの方向性を見定めて検討
Q:元中学校校長の事件後にとった対策は?
- 校舎内の死角の点検
- 鍵管理
- ポスター掲示
- 教員の私物カメラ→校内持ち込み禁止
- 教員のスマホ→教室持ち込み禁止
- チェックシートなど、強化月間で実施
- 相談体制(スクールカウンセラー)
- 生命の安全教育
Q:特別対策委員会の中身
- 有識者→性被害等の事件対応の経験者、加害者被害者心理に詳しい方
- 「様々なご提案を頂けるもの」と考えている
- 具体策→来年夏目途に「提言」
Q:第三者相談窓口の中身
- 心理士
- 東京都公認心理士協会からふさわしい知見をお持ちの方を推薦いただく
- 女性1名、男性1名
- 区「解決につながる体制を整えてまいりたい」
Q:PDCAサイクルを
- 「継続的+実効性あるものに」する
- PDCAサイクルで改善していく
Q:LINEの導入や、24時間体制に
- 相談しやすい体制を構築する
- できるところから速やかに開始
- 区「現状でよしとせず、必要な改善をはかる」
- 相談は子どもだけに限定せず、家族も丁寧に対応
Q:周知の方法
- 生徒に配布したチラシ→平易な言葉で作成
参考