【決算】国連勧告~ともに学ぶ教室をめざして【高口質疑】

※2022/10/3、練馬区議会・決算特別委員会、「全款」での高口質疑です!

国連勧告~就学相談の問題

9月9日、国連の障害者権利委員会が、日本政府に勧告を出しました。

日本も批准している障害者権利条約に基づく勧告ですが、

その24条によれば

  • 「障害の有無を問わず、あらゆる~生徒が同じ教室で一緒に学ぶこと」を「インクルーシブ教育」と定義。
  • 特別支援学校・支援学級で学ぶことを強いられたり、合理的配慮なしに通常学級へ入れられることは、インクルーシブ教育ではありません。

現在の日本の特別支援教育は、
障害者権利条約の基準では、インクルーシブ教育ではないということです。

勧告の内容は

  • 障害児を分離した特別支援教育の中止
  • 合理的配慮、個別支援の保障
  • そのための予算などの設定
  • 人権モデルの意識の育成

などです。

 

一方、練馬区では、就学相談という形で、子どもの就学先を分ける状況が続いています

昨年度、小学校での就学相談が382件。

  • うち、特別支援学校と判定された57件のうち、8割が判定どおり、2割が特別支援学級へ。
  • 特別支援学級・教室と判定された241件のうち、87%が判定通り、13%が通常級等へ。
  • 通常級に進んだのは、109人で約3割。
  • 中学校では、相談212件中、41人、約2割です。

就学相談を受けた保護者に伺った話では、

「特別支援学級に行きたいなら、特別支援学校の見学を」と強制されたり

校長面談で

「うちでは無理」「支援員はつけられない」「安全確保できない」

等を、子どもの前で冷たく説明され、
入学したら迷惑だと言われたように感じ、どっと疲れたそうです。

 

通常級に入ると伝えても
「親が付き添ってください」
などを繰り返され、
「親の気持ちが変わるのを待っている」と感じたそうです。

 

他にも、

  • 支援級・支援学校の方が子どもにあった指導ができる
  • いじめられる
  • 他のこどもの迷惑になる

等と言われた話も聞いています。

 

通常級を望んでも、このような対応によって、親の心が折れ、あきらめていく
保護者を追い詰める就学相談とは、何のためでしょうか。

同じ教室に入る前提で、必要な支援を検討し
入学時から提供するためではないのでしょうか。

 

「障害児は特別支援学校なら主役になれる、普通級ではなれない」
とはよく聞く話ですが、
普通学級で合理的配慮を受けながらイチ生徒として過ごすことが
子どもの人生を支える経験となると、保護者から伺いました。

「合理的配慮を普通学校で行えれば、特別支援学校に行く必要はなくなる」
と、国連の障害者権利委員も指摘しています。

Q1:対応の改善を!

保護者が通常級を希望しているのに、
学校がそれを拒否するに等しい説明をすることは、
条約や障害者差別解消法にてらしても問題と思います。

  • 区の認識と
  • 学校への指導など改善策

2点伺います。

A:学務課長
  • ただいま委員の方から就学相談においては、そうした児童生徒を振り分けてるというようなご発言がございました。
  • 私共といたしましてはそういうことではなく、就学相談につきましては、児童生徒ひとりひとりの障害、および発達の状態に応じた適切な就学先のご提案をまず行います。
  • その上で、ご本人・保護者の意向を尊重しながら就学先を決定していくものでございます。
  • 就学相談での提案を参考に、保護者の方は就学先を選択していただきますが、その過程において学校での授業体験ですとか校長との面談を行う場合もございます。
  • その際、学校におきましては現状対応が可能なこと、また対応が難しいこと、そうしたことをご説明いたしますが、その内容と保護者の方の想い・考えに乖離がありご理解をいただけないということもございます。
  • 教育委員会といたしましては、日ごろから各学校に対しまして、保護者との良好な関係が築けるよう、保護者の気持ちに寄り添った対応をするよう指導しているところでございます。
  • 今後も必要に応じまして必要な指導を続けてまいりたい、そのように考えてございます。

 

Q2:合理的配慮を拒否しないで!

また、入学後も、担任や校長に

「合理的配慮を求めて断られた」
「学校生活支援員をお願いしても、無理だと言われた」

というのは、多くの保護者から本当によく聞きます。

  • 合理的配慮は、区立学校でも義務です。
    担任や学校が拒否することがないよう、周知徹底を求めます。
  • また、支援員は、教育委員会が配置する制度で、担任や学校で判断し、断る制度ではありません。保護者の申し出があった場合は必ず、教育委員会に伝達すべきですが、

2点、伺います。

A:教育指導課長
  • まず一点目の合理的配慮についてです。
  • 障害者の権利に関する条約第二条において、「合理的配慮は障害者が他の者と平等にすべての人権および基本的自由を共有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」とされています。
  • つまり合理的配慮はひとりひとりの障害の状態や教育的ニーズ等に応じて行われるものであり、その検討を前提として、学校や教育委員会は当該児童生徒の興味や関心、学習上または生活上の困難、健康状態等の実態把握を行う必要があります。
  • 併せて、学校や教育委員会の体制面、財政面をも勘案し均衡を失したまたは過度の負担についても判断する必要があります。
  • これらを踏まえて、学校教育委員会と本人・保護者が当該児童生徒の教育支援計画を作成する中で、発達の段階を考慮しつつ、合理的配慮について可能な限り合意形成を図ったうえで、提供できるように努めているところでございます。
  • つまり、保護者や児童生徒の要望を学校が断ってはいけないということではなくて、学校は、要望の意図や背景を丁寧に聞き取り、その児童生徒の障害の実態を把握したうえで、可能な範囲で配慮していく必要があるということでございます。
  • 教育委員会としてはこの合理的配慮の考え方に基づき、学校が適切に対応できるよう引き続き学校に働きかけてまいります。
  • 二点目の、学校生活支援員の配置についてでございます。
  • 学校生活支援員は、通常の学級に在籍する配慮を要する児童生徒や、特別支援学級に在籍する児童生徒に対して学校生活や学校活動上の支援等を行う役割を担っています。
  • 配置にあたって、学校は、保護者や担任、特別支援教室の巡回指導教員等による意見を踏まえ、校内の検討委員会において学校生活支援員の配置の必要性について検討し、校長が必要であると判断すれば教育委員会に要請を行っているところでございます。
  • 教育委員会は学校からの要請を受けて、指導主事を学校に派遣するなど対象児童生徒の実態を把握したうえで配置の決定を行っています。
  • こうした適切なプロセスを経て配置の判断ができるよう、教育委員会から引き続き学校に働きかけて参ります。
  • なお、保護者が支援員の配置や合理的配慮の希望を申し出たところ、学校に断られたという委員からのお話がございました。
  • 保護者と学校との間でどのようなやりとりがあったのか詳細が分からないため、その対応が妥当であったかどうかということをこちらで判断することはできません。
  • そのようなご相談があった際には、教育委員会にお問合せいただき、個別に対応させていただきたく存じます。

 

★制度の問題

障害者権利条約の第2条の話をおっしゃいました。

財政面の課題もあるということで、まさにこれは制度、人員体制、予算の話でもある。

続きをどこかで議論させて頂きたいと思います。

制度の拡充が合理的配慮としても必要という事で、そちらも教育委員会にしっかり求めたいと思います。


※質疑後の感想※

質疑のなかで詳しく言うと個人が特定されるおそれがあるため言えないのですが、保護者が身バレしたくない、言えない、という事情があることを考えて答弁いただきたいものですね…。こういう答弁は、とても悔しいですね。

校内で検討することなので、「担任の独断で断った」場合は、適切なプロセスではない、ということがはっきり言えますね。

教育委員会にお問合せいただき、個別に対応

とのことなので、皆さん、就学相談で困ったり、学校から意に沿わぬことを言われたりしたら、教育委員会に、直接ガンガン相談しましょう!!!