「全国学力テスト」が”下”を生み出し続ける~競争教育の縮図

※2022/8/23、練馬区議会・文教児童青少年委員会のレポートです。

「全国学力テスト」の調査結果

正式名称「令和4年度 全国学力・学習状況調査結果」

…いわゆる、全国学力テスト。

今年度(4/29実施)の結果概要が、出てきました(対象は小6と中3)。

過度な競争主義的政策だとして、様々な批判がされている「学テ」。

そもそも&練馬区での問題点を、お伝えします!

★結果(概要)

と、その前に、結果をお伝えすると…

  • 全国平均より東京都が高く、
  • 東京都のなかで練馬区は上
  • いつもどおりの傾向

「平均より上でよかった!めでたしめでたし」

と思ってしまいますよね。

そこに注意が必要なんです。

★なぜ「平均」を出す?

「平均」とは、絶対に「上」と「下」を作り出す仕組みです。

たとえ全体的に点数がよかったとしても、平均にしてしまえば、必ず「下」が生み出される

つまり、この学力テストそのものが「下をつくりだす制度」と言えるのです。

練馬区は、「練馬区の中で順位付けや比較をしていない、他の地域とも比べていない」「下だから悪い、いい、と単純に考えていない」と答弁していますが、それならなぜ、このように平均の数値を発表するのでしょうか?

そもそもテストは、その生徒の理解度をはかるために行うもの。
一人ひとりの学びこそが、大切です。

全国と比べた「平均」を出すことそのものに、意味がないのです。

★実際の授業に役立つのか?

学力テストの趣旨として、「学習状況の改善等に役立てる」といったものも含まれています。

しかし、実際役に立っているのでしょうか?

ちょうど私の息子が昨年小6で、昨年度受けましたが、テスト後の指導は、特にナシ。

しかも、試験問題はすぐに回収……

どうやって、振り返れというのでしょうか?

※後日HPにはUPされたそうですが、家庭まかせなら、授業改善の意味がありませんよね。

★国のメッセージ!?

練馬区はこう答弁しました。

  • 「国が作成した問題を解く価値」
  • 国のメッセージを知ることが、第一段階」

えっと、そのために、学習指導要領や、教科書があるのでは…?

国のメッセージを受け取るためにテストを受ける?
教科書で十分なのでは……。

★先生にも大きな負担!

テスト後、授業改善プランを作成し、その後の授業に反映しているとのこと。

実際に練馬区も

  • 「丁寧に分析し、指導に役立てる」
  • 「かなりの時間をかけてやる必要がある」

と、先生方が時間をかけていることを認めました。

ただでさえ多忙な先生方。
こういう業務をなくすところから見直すべきではないでしょうか?

子ども一人ひとりの状況を確認することは、全国学力テストをやらずとも、普段のテストで可能です。

むしろ学テが、その時間を奪っていないでしょうか?

★問題意識のなさが問題!

さらに練馬区は、

  • 学力テストを「競争主義的と思ったことが一度もない」

と答弁。

様々な批判もあるなかで、制度の意味を問い直し続ける姿勢こそが、教育委員会には求められます。

それなのに、無批判に受け入れる姿勢が、大変残念というか、疑問というか……。

それこそが、問題ではないでしょうか。


毎年、多額の税金がつぎこまれているという意味でも、大きな問題をはらむ全国学力テスト。

今後も見直しを求めていきたいと思います!