上石神井児童館&学童の指定管理を、事業者が辞退!~指定管理者制度の問題点
※2022年6月14日、練馬区議会・文教児童青少年委員会のレポートです。
指定管理者制度モニタリングとは
練馬区の施設の運営を事業者にまかせる、「指定管理者」制度。
制度としての様々な問題も指摘されていますが……
そのひとつが、このモニタリングシステム。
施設がしっかり運用できているかを確認するために、とても重要なのですが……
★結果はほとんど「良」
↓モニタリング結果をみると…
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/shiteikanri/monita_keka/index.html
「優」「良」「要改善」の3段階なのですが、
ほとんどが「良」。
「優」も少ないですが、「要改善」はほぼありません。
文教児童青少年委員会での今回の報告では、「良」のみでした。
もちろん、「要改善」がないことはよいことなのですが……
そこに、大きな論点が……
★モニタリングを行うのは、区の管理職
通常、モニタリングは課長が行います。
正当に評価していないとか、事業者に問題がある、というのではなくても、
客観的、公平に評価するためには、外部評価、第三者評価が重要
ということは、誰しもが考えるところではないでしょうか。
区の内部で調査する……それが「良」ばかりになる理由ではないか……と、どうしても考えてしまいます。
★最終年度の選定委員会
指定管理は通常、5年間行われます。
5年で問題なければ、「特定」といって、公募を行わず、そのまま次の5年も継続するのが通例です。
※今年度は、「光が丘児童館」の社会福祉法人雲柱社が、公募なしに継続する予定。
つまり、5年目の評価は、次の指定管理に関わるので、とても重要。
ということで、「選定委員会」が開かれます。
選定委員会のメンバーは
副区長が委員長で、その他に教育長、企画部長、総務部長、有識者3名の計8名。
「小委員会」の場合、部長、課長、外部有識者1名。
区の管理職がずらり……やはり、外部メンバーのほうが少ないですね。
公開は?
傍聴などはありませんが、
情報公開請求で、見ることができます。
異例の事態!次期指定管理を、事業者が辞退
★「継続」するのが通常のところ……
公募を行わない「特定」は、2回まで行えます。
つまり、15年は継続できる制度です。
(1回の場合もあり、その場合は10年の継続です)。
事業者は継続することが多いのですが……
★上石神井児童館・上石神井児童館学童クラブで…
今回、異例の事態が起きました。
上石神井児童館・上石神井児童館学童クラブを運営していた「株式会社小学館集英社プロダクション」が、次の指定管理を「辞退」すると申し出たのです。
平成25年から指定管理を受け、1回更新→10年目でした。次も「特定」で更新できましたが、辞退…。
★辞退の理由は?
練馬区も、今回の辞退を「びっくり」と答弁。
練馬区も聞かされていなかった、ということですね。
理由についても詳しくは聞いておらず、
- 練馬区「理由は会社の方針」
- 実績、23区では墨田区に1館のみ
- 「スケールメリットを考えたものと推察」
との答弁でした。
★振り回されるのは、子どもたち
会社の方針を、練馬区ではどうにもできません。
急遽次の事業者を決め、準備、引継ぎなどを行わなくてはなりません。
結果、振り回されるのは……児童館や学童に通う、子どもたちです。
★企業の利益に、逆らえない
「スケールメリット」というのは、まさに企業の利益そのものです。
指定管理では、長期的・安定的な運営が難しい。
指定管理の問題の本質が明らかになったのが、今回の辞退だと言えます。
数値化できない、子どもへの対応
高口は子どもの頃、栄町児童館に通っていました。
そこにいる職員さんが、当時有名だったそうです。
……ということは後から知っただけで、当時はそんなことは思わず、
ただただ、楽しい。
そこに行くと、本当に夢中になれるあそびがあった。
ただ楽しかった。だから、通っていました。
子どもの遊びを引き出す能力……それは、数値化できるものではありません。
指定管理の評価には、そういった職員の質や待遇改善といった項目はありません。
代わりにあるのは、「効率的な人員配置」。
効率的かどうか、が重視されるのです。
これも、指定管理の本質です。
本当に大切なことが、指定管理の評価や、モニタリングで、チェックできているのか……
モニタリングのモニタリングが必要ではないか!!?
と思ってしまいます。