【国際女性デー2022】ジェンダー平等の練馬区をめざして
3月8日は、国際女性デー!
しかし、練馬区のジェンダー平等はまだまだ程遠い……
そう感じる質疑が、2月18日の練馬区議会・予算特別委員会の質疑のなかで、ありました。
高口の一般質問の一部を取り上げての、直接の批判であること
(ヤジを浴びるのは日常茶飯事すぎるので、いちいち書きませんが(;^^)
何より、私個人に対する批判を超えて、重大な論点をもつ質疑でしたので
しっかりと分析・反論したいと思います。
※正式な議事録は、区議会HPをご覧ください。
高口の一般質問での主張
私の一般質問での論点は、以下の通りです。
現区長が就任してからの7年間(※)で
- 部長級は1人減った(4→3名に)
- 課長級は1%しか増えていない
- 部課長級あわせてもわずか3%の増加
- 区長自ら選任できる副区長も、女性は一人も起用されていない
- 一般職員は、7年前は女性が51%
→今は男性が51%と逆転 - その理由は、保育士が上の主任にあがったためだが、保育士は園長でも係長級で、管理職にはなれない
- 女性が約9割を占める非正規公務員(会計年度任用職員)は、正規職員の約4倍増えた
- 非正規職員の増加など、むしろジェンダー不平等を招いた区政であり、会計年度任用職員の待遇改善と、練馬区の「ガラスの天井」を壊すことを求める
※初年度は前区長の人事が影響していることを踏まえ、任期8年から1年除いています
この主張を裏付けるデータはこちら
※一般質問の全文(動画アリ)は、↓こちらをご覧ください
高口質疑への批判の要点
それに対して、予算特別委員会で批判された内容の要旨は、
- 管理職の数のみに着目した議論
- なぜこの管理職の数のみを取り上げて平等だ不平等だというような結論に結びつけるのか
というものでした。
まず、先述の通り、私は女性管理職「のみ」を扱っているわけではなく
一般職や、非正規公務員等の問題も扱っており、
「のみ」というのはシンプルに誤りです。
なぜ女性管理職が重要なのか
確かに今回、女性管理職の問題を多く取り上げました。
女性管理職=意思決定機関に女性が少ないこと
が大きな問題だからです。
そして、意思決定機関に女性が少ないことと、
- 非正規労働者に女性が多いこと(非正規公務員=会計年度任用職員含む)
- 保育、介護など、女性が多い職種ほど、給与が安いこと
- 介護、育児、家事など、無償のケア労働の負担が、女性に集中していること
- 女性が職を続けることが難しかったり、管理職にもなりづらいこと
これらは、すべてつながっています。
すべて同じ、女性差別の構造です。
だから、女性管理職の問題に、取り組む必要があるのです。
(ジェンダーを理解される方にとっては、ごくごく基本的なことで恐縮ですが……)
ちなみに、「女性議員を増やす」ことも「意思決定機関に女性がいるべき」という同じ論点で重要です。国が「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」を定めたことともつながりますね。
練馬区の一般職の女性比率が下がった問題
一般質問では文字数が足りずに説明できなかった部分の補足ですが……
- 保育士が抜けたら、男性の一般職員の割合が増えた
ということは、
- 保育士以外の女性の正規職員が少ない
ということの裏返しとも考えられます。
今後練馬区が、公立保育園の民間委託・民営化を進めるなかで、女性の一般職も減っていくのではないか、ということも懸念しています。
ジェンダー不平等のままでは、「自分らしく」いられない
また、以下のような批判も続きました。
- 管理職だろうと一般職だろうと女性だろうと男性だろうとベテランだろうと若手だろうと、それぞれのライフワークバランス
- それを大切にしながらやりがいをもって自分らしく働ける職場
- 意図的なレッテル張り
- 今後も公平公正でそれぞれが自分らしく働ける、そんな職場作りを進めていただきたい
ここでは、管理職や一般職、女性と男性を同じ土台にのせています。
一見、もっともらしいですし、どんな方も希望どおりに生きていけることは、もちろん高口自身も願っています。
しかし、その「自分らしく」の手前で、
女性というだけで、管理職の道を閉ざされている現状があるのです。
家事、育児、介護などを、女性が多く負担させられている等、
ジェンダー不平等の構造があるために、
昇進したくてもできない、
昇進したいと思うことさえできない現状。
「自分らしく」管理職を望む女性にとって、圧倒的に不利な現実がある。
「自分らしく」を実現するためには、今の社会状況を変えることが、不可欠なのです。
「自分らしさ」が悪用される危険性
その構造的問題を踏まえずに、「自分らしく」を主張することは、危険なことでさえあります。
たとえば、非正規公務員(会計年度任用職員)の問題。
低い待遇、不安定な雇用。
それが彼女たちの「自分らしさ」だというのでしょうか?
非正規の女性たちが、それが「自分らしい」と、自ら望んでいるというのでしょうか?
逆に、正規雇用であることが「自分らしさ」だと望めば、練馬区で望みさえすれば、すぐに正規雇用にしてもらえるというのでしょうか? ……そんなわけありませんよね。
それができない状況で、「自分らしさ」を持ち出すことは、「自己責任」とすり替えているに過ぎません。
差別の構造を踏まえずに「自分らしさ」を持ち出すと
「今の給与が低いのは、あなたが望んだことだからだ」
と、”自己責任”に帰結してしまうのです。
実際に練馬区は、会計年度任用職員は「多様な働き方の保証」とも答弁しています(2022/3/8予算質疑)。
練馬区の答弁が、また問題
高口の一般質問に対する練馬区の答弁は
- 当然ながら、女性だからという理由で不利益な扱いをすることはなく、優遇することもない
- あくまで能力、実績に基づく任用を徹底しており、それは現在の職員配置を見ていただければ一目瞭然
- 今後とも、男女を区別することなく、公平、公正な任用を行う
というものでした。
今回の予算委員会での質疑でも、
- 純粋に成績主義の原則にのっとり公平公正に行っている
- 「実力」「実績」で選考する
と答弁しています。
また、「男女差別をしていない」と区長が発言した、という点も紹介されました。
ここにも、大きな問題が見落とされています。
女性管理職が少ない現状と、「能力、実績」に基づく任用、という理屈をあわせると「女性は能力が低いから、女性管理職が少ない」という非常に差別的な結論となってしまいます。
女性がケア労働を担う等、平等でない現状があるにも関わらず、「選考だけは平等に行っているから問題ない」というのでは、問題は一向に改善されません。
現状を踏まえた支援をしなければ、女性管理職は増えようがないのです。
練馬区が、まず、この認識を改めること。それが改善の第一歩なのです。
差別の構造そのもの
差別的構造のなかで、自己責任に矮小化し、批判を批判し、そのことによって差別的構造を維持し続けようとする。
それもまた、差別の構造そのものです。
その根底には、ジェンダー問題への理解不足か、もしくは、人権感覚の鈍さ。
そのどちらか、もしくは両方があると思われます。
私としては「的外れな批判だった」というほうが、まだマシなのですが……(;^^)。
- 練馬区議会議員の男性比率:74%
- 練馬区の課長級の 〃 :78%
- 練馬区の部長級の 〃 :86%
という圧倒的な男性優位社会のなかで、
有利な立場を独占し、享受し、それを維持し続けながら、
女性差別を批判することを批判し、抑圧しようとする。
そのことこそが、差別の構造そのものであること。
男性であり、かつ、政治家や管理職といった
意志政策決定の立場にいる時点で、
この社会の女性差別の構造に、大きな恩恵を受けていること。
それにあまりに無自覚なまま、
「自分は男女差別をしていない」
と平然と言ってのけることが、
差別を変えようとしない表明そのものであること……。
まさに私は、そういうものと戦ってきて、今戦っていて、戦い続けていかなくてはいけないのだなと。
道は険しく、敵は大きいのだということを、
改めて実感した質疑でした。
だからこそ、頑張らねば。
頑張ります!
みなさんも、ともに戦っていただけたら、ありがたいです!!!