【高口一般質問2021-2】これから=こどもたち

※2022/2/8、練馬区議会・高口ようこの「一般質問」2つ目です。

 


一人ひとりのゆたかな個性が、様々なかたちで活きるためにも、教育現場の多様性と、多様性を受け入れる姿勢が求められます。

しかし現実には、今の学校の枠におさまらない子ども達が、排除されています。

①発達障害児への薬の強要

その一つが、発達障害の子どもに対し、教員が「薬を飲まなければ学校に来てはいけない」と強要したり、それに近いことをほのめかすケースです。

>薬を飲み忘れた日は~担任から電話があり、すぐに届けに行く

>医師でもない担任が服薬管理

>薬を飲ませると元気がなくなるが、薬を飲ませないと~学校の先生に責められる

>学校の不適切な対応や友達からのいじめ、配慮のなさや~無理解自体が問題であり、子どもの問題ではない

など、練馬区での実例が多数、厚労省にも報告されました。

そもそも発達障害は病気ではなく、原因も解明されておらず、治す薬は存在しません。劇薬に指定されるほど強い副作用があり、こどもの脳への影響も明らかになっていません。

薬で大人しくなり、「治った」ように見えても、一時的に抑えこんでいるだけ。依存性があって長期間服用すれば薬は増え、副作用が強まります。悪化すれば、ろれつがまわらない、震えがとまらない、自殺願望などが生じる場合も

食欲減退から、給食が食べられず痩せてしまい、発育の遅れが生じる報告も多くあります。

薬のために眠れなくなれば睡眠剤が追加されるなど、多剤服用も日常的。たとえるなら、下剤と下痢止めを同時に飲むようなもので、当然体に無理がきます。


私は、長年薬を強要されてきた19歳の女性から、直接お話を伺いました。

彼女は、薬を飲むと体調が悪いことを自覚。学校、スクールカウンセラー、児童相談所、子どもの人権110番、警察など、様々な機関へ相談しました。

「助けてくれるところならどこでも」「すがりたかった」

という彼女の思いとは裏腹に、どこに行っても、

「医師や親の言うとおりに薬を飲め」を繰り返されました。

 

現在彼女は、激しい離脱症状に苦しみながら、減薬に取り組んでいます。

「涙も沁みるくらい痛い」、指先に至るまでの激痛やかゆみは立っていられないほどで、

毎晩「死にたい」という自殺願望に襲われます。

そのたびに支援者が彼女を抱きしめ、落ち着かせます。

必要なのは、人のあたたかみです。

 

彼女は今、薬とたたかいながら、

「この問題を知ってほしい」

と、必死に声をあげています。

 

発達障害の子どもに必要なことは、周囲の理解と適切な関わり、発達段階に合わせた環境設定、あたたかい支援、合理的配慮です。

個人の問題=医療モデルではなく、社会モデル、人権モデルこそ必要です。

そのために、支援が必要な子どもに関わる、地域を含めたすべての人が連携し、一人ひとりにあわせた個別支援計画をたて、地域のあたたかなサポートで包み込む連携体制が重要です。

 

代替手段や副作用を含めた丁寧な説明があり、こども本人が納得したうえで、減薬前提の必要最小限の服薬は理解しますし、本人の判断は尊重すべきです。また、悩みながら服用している本人や家族にも丁寧に寄り添うべきです。

しかし現在、日本では精神薬の処方が急増しており、

国連子どもの権利条約委員会からも

>社会的要因や非医学的治療をなおざりにしたまま~精神刺激薬による治療が増加

>薬物処方は最終手段として、個人に合わせた判断がある場合のみに行われるようにし
~副作用や非医学的代替手段について適切に知らされるようにすること

との勧告を受けています。

Q1

  • 教育委員会と教育現場で、薬の副作用は理解・周知されているか
  • 教員による服薬管理、薬をすすめたり、強要する問題について

見解を伺います。

Q2

この問題の背景には、学校の知識不足、現場の余裕のなさ、「子どもにとってよいこと」と善意に捉える…などが考えられます。

薬に対する理解・啓発や、教員の負担軽減等の支援が必要ですが、見解を伺います。

練馬区答弁

【教育振興部長】

 発達障害のある子どもの服薬については、本人と保護者、学校の共通理解のもと、医師の判断により、適切に服用されています。教員のみの判断で服薬を促す指導を行うことはありません

 発達障害などの特別な支援が必要な児童生徒に対しては、障害特性や服薬時を含めた子どもの状態を理解し、具体的な支援方法を習得するため、教員を対象とした研修を実施しています。

 また、必要に応じて学校生活支援員を配置し、教員の負担軽減を図っています。

  • 実際に、教員から薬をすすめられたり、強要されたりする練馬区の実例は、聴いたうえでの質疑です。
  • 苦しんでいる子どもや保護者の声を「ない」ものとして扱うことは、許されません。

 

②人権問題のルール→不登校等につながっている

こどもの“問題行動”には原因があり、その原因=教育環境のほうを改善しなくては意味がありません。

しかし実際には、練馬区の学校で

  • じっとしていられないからと、椅子を取り上げられ、床に座らされた
  • 机を廊下に出され、廊下で勉強させられた

という人権侵害が起きています。

教育委員会に対策と、そのための「練馬区こどもの権利条例」の制定を求めるとともに、

背景の一つに、明文化されない学校の「謎ルール」があることを指摘します。

 

実際、練馬区の児童から直接、

「理不尽なルールで先生から怒鳴られ、不登校になった」

という話も聴きました。

 

小学校の謎ルールとして、

  • シャカシャカ素材の上着はダメ
  • しもやけ防止のハンドクリームを塗っていいのは、保健室でだけ
  • ラッシュガードは暑くても途中で脱がない
  • 筆箱の形状を指定

など、あげればキリがありません。

生徒がその理由を聞かされず、わからないまま従い、ルールからはずれて怒られる、ということが、不登校等の原因の一つになっていないでしょうか。

Q3

  • 明文化されないルールは何のためにあり、どのように生徒に周知されているのか
  • 学校のルールについて、生徒自身が考え、意見を言い、変える仕組みを、小学生でも担保・周知すべき

2点、見解を伺います。

練馬区答弁

【教育振興部長】

 ご指摘の「明文化されていないルール」については、社会規範に関わるものが多く、発達段階に応じた日常の指導として行っています。

  • 小学生保護者の皆さん、「日常の指導」として、ルールについてしっかり説明し、子どもが納得しているという実感、ありますか?(;^ω^)

③中学校の校則・制服問題

校則・制服は社会問題となり、文科省も「絶えず積極的に見直さなければならない」と発信していますが、

今年度、練馬区の中学校において、生徒自身による校則の見直しで教育委員会が把握するのはわずか2件でした。

教育委員会の通知により、HPでの校則の公開が進んだことは評価しますが、人権に関わる部分も複数目につきます。

 

たとえば、

>誘拐、性被害にあわないよう気を付けよう

>途中で不審者らしき人に出会ったら「避ける・逃げる・助けを呼ぶ」この3つを実践する

これらは「校則」で縛れることでしょうか?

犯罪被害は、気を付ければ防げるものではなく、本人の注意不足、自己責任かのようにとられかねない校則は、見直すべきです。

 

Q4

制服については、女子生徒のスラックスが26校で導入済み、来年度6校、残る1校は協議中と、進みました。

しかしそもそも、髪型や服装の規定自体が人権に踏み込むものであり、LGBTQ当事者の生きづらさにもつながります。

>男子の長髪~は「ふさわしくない髪型」として指導

という学校もありますが、人権の観点からも、男女ともに長さや髪型を指定すべきではありません

見解を伺います。

 

Q5

全体的に「中学生らしい」服装や髪型という記述が目立ちますが、「男らしさ」「女らしさ」が批判されてきたように、「中学生らしさ」を中学生抜きで決めてはならず、そもそも特定の属性の「らしさ」とは、決めつけることができないものです。

「中学生らしさ」とは何か、誰がどのような権限で決定できるのか、合理的な根拠をお答えください。

Q6

標準服とは、遡れば戦前、洋服が一般的でなかった頃、洋服の標準を示すためのものでした。

現在では、

  • 値段が高すぎる
  • 貧富の格差がわかりづらい

などメリット、デメリット両方が指摘され、かつ多様性が重視される時代にあって、一律に「これがよい」と決め、合意をとることは困難です。

これは、制服、私服を、本人が選択できれば解決する問題です。

私服の選択制について、見解を伺います。

 

Q7

授業中のひざ掛けは、使用禁止と許可、両方の学校がありますが、

暑さ、寒さの感じ方は人それぞれであり、本人が体調にあわせ調整できることが、健康管理の基本です。

本人の体のことは、本人にしかわかりません。

 

タイツなども含め、気候や体調による対策は、原則本人の自由とすべきです。

見直しについて見解を求めます。

要望

他にも、「保健室の利用」を「原則休み時間のみ」「教員の許可が必要」など制限する規定があり、生徒の健康を優先したルールとは言えません。

学校外での服装まで指定した校則も、学校の権限を越えています。

 

規則が細かくなればなるほど、本来身に着けるべき子どもの主体性、多様性、寛容性との乖離、矛盾が生じます。

人権の観点からも、必要最小限のルールとすることを求めます。

練馬区答弁

【教育振興部長】

 校則は、学校が教育目的を実現していく過程で、児童生徒が遵守すべき学習上、生活上の規律として定めているものです。

 また、児童生徒の発達段階に応じて、社旗規範の遵守について適切な指導を行う重要な教育的意義があります。

 校則の内容は、学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じて見直す必要があるため、毎年度全ての区立小中学校において校則の見直しを行い、必要に応じて改正を行っています。

 見直しにあたっては、生徒総会で議題に掲げたり校内に意見箱を設置することなどにより児童生徒の考えを採り入れています。

 学校評価アンケートや学校評議会等により保護者や地域の意見も聞いています。

 こうした取り組みにより、標準服におけるスラックスの選択、持ち物や服装、頭髪など見直しが進められているところです。

 

「頭髪」や「中学生らしい」という表現については、学校が児童生徒の実態を踏まえ社会通念上の考え方を示しているものであり、地域や校内等で一定の共通理解を図りながら指導に当たっています。

「標準服」は、学校での着用が望ましいとされる服装を示したものであり、保護者や地域との協議を経て各学校が設定しています。

 教育委員会として、私服の選択制を導入する考えはありません。

「ひざ掛けやタイツ」に関するきまりは原則的なものであり、各学校が児童生徒の健康を優先し、柔軟な対応が図られているものと考えています。

 教育委員会といたしましては、今後も児童生徒や保護者等の意見を踏まえ、人権の視点にも配慮しながら、各学校が継続的に見直しを進めるよう促してまいります

  • 「毎年度全小中学校で校則の見直しを行っている」とのこと!
  • 「必要に応じて改正」する←これが時代に追いついていないのかなと思います。
  • 一方で、「人権の視点にも配慮」「継続的に見直しを進めるよう促す」と答弁させることができたので、答弁どおり、しっかり実施するよう、求めていきます!
  • 今後も声をあげていきたいと思います!

 

④    個性のある子どもたちを受け入れる学校に→イエナプラン

こどもを枠にはめず、あふれる個性を大切に育てていける学校。

世界には、実現している学校もあります。

 

たとえば、オランダから世界に広まったオルタナティブ教育「イエナプラン」では、教室や校舎内に、ソファや寝ころべるスペースがあったり、自分で時間割を決められ、一人でパソコンに向かったり、グループワークをしたりと、自分のペースで学習が可能です。

異年齢が前提のため、発達の遅さも当然と受け入れられ、重度障害者も含めた完全なインクルーシブ教育を実現しました。

 

日本の自治体でも、福山市、名古屋市と、導入が広がりつつあります。

他にも、プレーパークのように、子どものそのままを受け入れる場では、子どもの行動は「問題」として認識されません。

Q8

練馬区として、

  • イエナプラン教育への評価
  • 今の学校の枠におさまらない子どもたちへの、オルタナティブ教育の必要性

2点、見解を伺います。

要望

この項の最後に、学校等の子どもの施設において、感染対策の強化と、登校を控える子どもにオンライン授業等による丁寧なケアがなされるよう、要望します。

練馬区答弁

【教育振興部長】

 個性を尊重するイエナプランは、オランダ国内を中心に実践されている教育であり、導入を進めている自治体がある一方で、取り組みが広がっていない実態もあると認識しています。

 日本の学校教育は、集団学習と個別学習を融合させながら個性を尊重し、学習の機会や学力を含めた全人的な発達・成長の保証、居場所としての福祉的な役割等も担っています。

 伝統的な教育に比べて柔軟性を持つオルタナティブ教育の要素も網羅されているものと捉えています。

  • 「全人的」!!!!!
  • 「オルタナティブ教育の要素も網羅」!!!!!
  • すごい答弁だなと思います…(驚愕)
  • 答弁だけ見れば、練馬区の学校は完ぺきで何の問題もないようですが、実際現実で起こっている様々な課題を、まずは正面から見据えていただきたいなと思います……