【高口一般質問2021-1】これから=文化の重要性

※2022/2/8、練馬区議会・高口ようこの「一般質問」1つ目です。

 

新型コロナウイルスのパンデミックから3年目。

いのち、健康、暮らし、環境、人権、そして子どもたちを守るために、今の社会のあり方を見直さなくてはいけない。

そのために練馬区がこれからどうあるべきか。

その問題意識から、伺います。


①区民が主役のアート施策を

「これから」の時代、物質的な豊かさではなく、こころの豊かさが求められます。新しい価値観、新しい世界を切り拓くアート、文化芸術のちからがますます必要になります。

年に1度イベントを開けば文化、ということではなく、どれだけ区民の生活に身近に浸透するかが重要です。

 

『練馬区立美術館再整備構想』素案では、国宝や重要文化財も展示できる豪勢なインフラ整備を行う想定ですが、そこに予算をかけるより、後半の「区民のアート活動への支援」の部分をメインに据え、様々なアート活動が身近な場所で展開される施策にすべきと考えます。

※参考:美術館再整備構想の争点

練馬区立美術館再整備で、サンライフ練馬は廃止?「練馬区立美術館再整備構想」最大の争点

たとえば、岡山県笠岡市では、中学生と協働した映画作りの共同プロジェクトで、文科省による「優良公民館表彰」を受賞。

練馬区は「公共施設等総合管理計画」のなかで、「地域施設は~中学校区に1か所程度に」と縮小の方針ですが、むしろ身近な地域施設のコミュニティ機能を生かせば、地域のアートの拠点にすることも可能です。

 

Q1

地域施設を活用した地域密着のアート活動など、区民の活動支援を中心とした文化施策に転換すること。それを支えるための、学芸員の増員や昇給等が、これからの文化施策に必要と考えますが、見解を伺います。

Q2

「財政難」というのであれば財政的な見通しを示すことが先決であり、

  • 美術館再整備の費用の概算
  • そのうち、国宝等の展示設備にかかる概算と
  • 「財政難」における再整備費用の考え方

をお答えください。

要望

現在も、区民が主催する芸術祭、映画祭などは多数実施されています。

『映像文化のまち構想』で区は、「ねりまの森の映画祭」等、新規イベントを掲げていますが、文化活動こそ”民間の活力”にまかせ、区民が主役、区民主体の文化施策の推進と、そのための地域施設の維持こそが重要です。

区内アーティストの方からは、区の施設が予約しづらいために、他区で活動せざるを得ないとも伺っており、予約期間をはやめるなど、利用しやすい改善を行い、アート活動のしやすい環境づくりを求めます。

練馬区答弁

【地域文化部長】

 区民文化祭や区民美術展を初め、地区区民館等の身近な施設で区民の自主的な文化芸術活動が広く活発に行われており、区もその活動を支援しています。

 現美術館は開館から36年が経過し、施設や設備の老朽化が進んでいるため、大規模な改修が必要な時期を迎えています。

 近年の他自治体事例を参考に、大規模改修を基本とした場合でも、経費は70億円程度と試算しています。

 展示、収蔵環境の維持やバリアフリーなど、多くの課題を抱えており、改修では十分な対応が難しいため、これらを総合的に勘案し、改築としたものです。

 今後、改築の設計等を進める中で、財政負担も含めて検討してまいります。

 美術館再整備基本構想(素案)では、「まちと一体となった美術館」、「本物のアートに出会える美術館」、「併設の図書館と融合する美術館」の3つのコンセプトを掲げています。

 美術館を拠点に、「どこにいてもアートを楽しめる仕組みづくり」、「区民のアート活動への支援の充実」に取り組む考えです。

 スタッフ体制についても、ご指摘を受けるまでもなく、充実します。

 国宝等を展示するためには、学芸員の配置、建物や設備、防火・防犯体制などの環境を整える必要がありますが、これらは作品や文化財を守り活用する博物館の基準でもあり、当然に守るべきものです。

石神井公園ふるさと文化館もこの基準に則って整備しています。

  • 「改修」でも70億円なら……「改築」すれば、間違いなく70億円以上! 何百億円かかるかも!?
  • それだけの税金をかけることを、しっかり示して、区民に賛否を問うべきです!

②こどもたちのアート支援

近年、自治体のまちづくりや、予防医療教育としても注目を集めるのが、演劇です。

 

その効能について、医療経済学者の兪炳匡(ゆうへいきょう)医師

>「他者を演じる」ことは、他者の苦痛に共感することにつながる

>医療分野で応用されてきた様々な種類の芸術のうち、演劇が最も有望であることを示唆する研究もある

と述べています。

 

「ドラマエデュケーション」は、こどもたち自身が物語を作り上げる活動です。

2008年に始まった東村山子ども劇場の取り組みは、『じぶんのことば』というドキュメンタリー映画にもなりました。こどもたちが自分自身と向き合いながら、仲間とともに舞台をつくりあげる姿が、感動的です。

 

小金井市では、ワークショップに教育長自らが参加し、子どもたちの生の声と姿に、感銘を受けたそうです。

Q3

練馬区の教育長にもぜひこういった取り組みに自ら足を運び、ともに体験をし、子どもたちの生の姿に触れて頂きたいと思いますが、いかがですか。

要望

『美術館再整備構想』では、「ブック・アート・キッズスペース」を具体的な取組例に挙げています。貫井図書館側につくる想定のため「静かにしなさい!」と制限されることが心配です。

こども達がアートを思う存分、全身で楽しめる環境とすること、また、それを区内全域にも広げていくよう要望します。

練馬区答弁

【教育振興部長】

 教育長はスポーツ大会や文化活動の場に積極的に足を運び、子どもたちの応援や激励をしています。

 近年はコロナ禍により子どもたちの活動の機会が減少していますが、再び、子どもたちと一緒に多くの感動ができる日が来ることを心待ちにしています。

  • 「応援」ではなく!こどもたちと「一緒に」、体験をしていただきたいです!
  • そのなかで、子どもから学んでいただきたいと思います!

※参考資料

一般質問の際に練馬区に請求した資料です。

↓美術館再整備基本構想策定支援業務委託