練馬区福祉のまちづくり推進条例~バリアフリーの基準等が、一部変更に
2021/6/11「練馬区議会・都市整備委員会」のレポートです。
2021年6月の議会で、「練馬区福祉のまちづくり推進条例」の一部改正が行われました。
どんな内容かを簡単にいえば、バリアフリーの基準等を定めた条例です。
国の改正の背景
今回の条例改正は、国の法改正が背景にあります。
その国の改正背景として、条例が全国に広がらないため、基準を緩和し、条例制定を広げよう…というもの。条例により引き下げを行っているのは20自治体。
練馬区はこれに該当しており、平成22年に条例を制定しました。
練馬区の基準の一部が、後退に…
練馬区のもともとの基準は厳しい、つまり、車いすユーザー等にとってはやさしい。つまりよいもの!でした。
一方で今回の条例改正により、規制が後退する部分があります。
200㎡以上500㎡未満の中規模建築物(*)で、屋外スロープの幅が「140cm以上」だったところを、
→「90cm以上」と、50cmも狭くしました。
*対象店舗:診療所、百貨店、物品販売業、飲食店、理髪店、クリーニング、質屋、貸衣装屋、銀行、その他サービス業
★140cmと90cmの違い
- 140cm…車いすと人がすれ違える幅。
- 120cm…人が横になれば、車いすとすれ違える幅。
- 90cm…人とすれ違うことはできず、少し待ってもらう必要がある幅。
練馬区の説明としては、「大きい建物ではなく、スロープも長くないので、待ってもらえばいい」というものですが……たとえば
- 引き下げるにしても120cmに留める
- 140cmのままにしておき、条例のなかに緩和規定(抜け道)を作っておく
など、他にも方法はあったはずです。
問題は、当事者の声を聴いていないこと。
制定時、区民懇談会(H19-20)を開き、「基本的な考え方」をまとめた経緯があります。
その「基本的な考え方」のなかに、
- 当事者の参加も含め多様な人が参加することで、福祉のまちづくりに関する参加と実践をつう じて気づきが促され相互理解が深まる。
- 具体的な施策や措置の内容について、施策に関係する当事者の参加のもと、検証し、その結果 に基づいて新たな施策や措置を講じることによって段階的、継続的な発展を図っていくこと。
という文言があります。
つまり「当事者の参加を大切にし、段階的に発展させていく」という2点が、条例のもととなっているのです。
しかし今回、基準が後退するにもかかわらず、練馬区の車いすユーザー等、当事者の声は聴いていません。
このような改正の際には、必ず当事者の声を聴くべきですし、今からでも聴いて、検討するよう、議会で求めました。
練馬区の福祉のまちづくりはどうあるべきか
これまで10年、規定を守って整備してきた事業者にとっては、不公平な改正とも言えます。
この問題以外の部分では、これまで「規定なし」だったところに規定を設けるなど、プラスの改正も多数あり、審議としては賛成をしましたが……。
国や都の規制緩和に流されず、練馬区としての基準をしっかり考え、守っていくことが重要です。