練馬区の「用途地域」が変わります/練馬区・用途地域等の一括変更素案
*2021/6/11の都市整備委員会のレポートです。
「用途地域」とは…
「練馬区における用途地域等の指定に関する基本方針の改定および用途地域等の一括変更素案について」
…と、このタイトルだけで読むのを断念されてしまいそうですが(;^_^A
住宅を探した方なら「建ぺい率」や「容積率」「高さ制限」など、聞いたことがあると思います。その地域ではどのような建物をたてていいかなどの制限がかかっています。それを決めているのが、「用途地域」です。
実際に、権利の制限がかかるので、大変重要な「用途地域」に、変更がありました。
★用途地域等一括変更 練馬区素案
変更は22カ所です。
★どう変更された?
- 地形地物の変更…13 地区
- 都市計画道路等沿道…3 地区
- 土地利用の実態に即した変更…2 地区
- 都市施設の土地利用の誘導等…1 地区
- 低容積率の変更…3 地区
★「地形地物の変更」は5パターン
①道路拡幅等による基点の変化(現状にあわせて変更)
②事業中または整備が完了した都市計画道路等の沿道地区
③工場跡地が住宅用地等に整備された地区
→工業系から住居系へ変更(土地利用の実態に即した変更)
④公園等の用地が拡大する地区→現況の公園用地の用途地域に合わせる
⑤低層住居専用地域の建蔽率・容積率の変更
・建蔽率等が低く抑えられている地区について、周辺市街地に合わせた建蔽率・容積率になるよう緩和
背景にあるのは、東京都の方針
東京都が定めた「用途地域等に関する指定方針 及び指定基準」(令和元年10月)が、今回の練馬区の変更の背景にあります。
ちなみにこのなかで練馬区は「新都市生活創造域」に位置付けられています。
こちらを読むと、「集約型」という記述が何度も登場することから、東京都の考え方は、規制緩和、開発優先志向…という印象です。
今回の用途地域一括変更について、専門家の方にご意見を伺ったところ、
- 近年まで農地であった第一種住居専用地域のように低密度なところに都市計画道路等が新たに整備された場合、開発を促進させたい立場からは「道路幅員に見合った(早い話が大きなビルが建てられる)用途、容積にしたい」という意識が働きます。
- こうした動機によって、用途や容積率の指定変更は、逐次、用途の自由度が高い用途地域指定へ向けて、また容積率の高い方向へと変更される歴史を繰り返してきました。
- このこと自体は、都市の発展という社会状況の変化によるものですが…
- 都市の性格が変わったり縮小したりしても、その反対の容積率の低下や、住居専用等の縮小型「いわゆる逆線引き」の変更はなされないのが現実です。
- 新しい建物や道路ができて実態にあわない…という実態のほうにあわせて用途地域を変更していくと、開発が優先されることとなる。
- 練馬区は、多くの道路が新規に整備されていますので、こうした地区の開発を促進させたい、緩和をしたいという意図があるかもしれません。
…とのこと。
人口減少が確実視されるなかでのまちづくり、という点では、開発優先ではなく、きちんと規制をかけ、良好な住環境を保っていくことが、ひいては練馬区の魅力UPにもつながると、高口は考えます。
注目の新制度「田園住居地域」「緑化地域」
①「田園住居地域」
東京都「低層住宅地と農地等の調和を図り、良好な居住環境と営農環境の形成を促進する区域には田園住居地域を指定する」
→都市農業の残る練馬区では、今後検討すべき用途地域ではないでしょうか?
②「緑化地域」
東京都「良好な環境の形成を誘導する区域においては~地域の特性に応じて緑化率を定める地区計画などにより、緑化の促進を図る」
→こちらも今の時代、重要なキーワードです。
どちらも今回の素案で、新たな指定はありませんが、今後検討すべきではないでしょうか。
今回の計画は「素案」。
「案」でどのような変更があるかも、またお知らせしたいと思います!