消えゆく敬老館…高齢者の自主的な活動の場は、どこへ?/敬老館条例

練馬区議会・保健福祉委員会のレポートです(12/4)

「第110号 練馬区立敬老館条例の一部を改正する条例」

議案の内容自体は、至極単純。

  • 「春日町敬老館」が廃止
  • 新設される「北保健相談所」に移転
  • 移転の際、「街かどケアカフェ」と「地域包括支援センター」に機能転換
  • 新たな名称は「北町はるのひ」

…要は、春日町敬老館がなくなるので、それを条文から削る…というのが、今回の条例改正の内容です。

★地域包括支援センターの担当区域が変更に

細かい区域変更

①練馬キングスガーデン→北町はるのひ、②高松→光が丘南

移転先

 

敬老館がなくなる…課題は?

★敬老館が、「街かどケアカフェ」と「地域包括支援センター」に機能転換する第1号

  • 敬老館の代替施設としては、これまで「はつらつセンター」があった
  • それが、今回は、地域包括支援センターと街かどケアカフェに機能転換をする
  • その第1号という点で、大きな意味がある条例改正
  • 今後も、同様に、機能転換=敬老館がなくなっていく見込み

★敬老館=区民が主体、自主的な活動の場

  • 敬老館は、区民が主体
  • 高齢者の自主的な活動の場の提供、娯楽室を通じた交流、健康推進等を行う場
  • 街かどケアカフェは、介護予防を目的とした事業主体施設
  • 施設の目的自体が変わる…という点も、大きな意味を持つ

【課題1】敬老館のよさを、どう残す?

Q 高口

これまで敬老館が持っていた機能を、今後どう確保していくのか?

A 区

・高齢者の人口の構造、前期高齢者より後期高齢者のほうがボリュームが多くなっている
・高齢者の方々が気軽に立ち寄る場と、専門職の相談支援を併せて併設することで支援効果を高めたい
これまで敬老館でやっていた趣味活動を参考にしながら事業を運営
・これまでのノウハウも生かしながら、支援効果の高い場に努める

Q 高口

・「気軽に」集ったあとの交流や仲間づくりをしっかり支援してほしいが…

これまで敬老館で長年育まれてきたコミュニティやサークルの活動があり、それが、今後後期高齢者になるにつれ、お互いを支え合う下地にもなると思う
・いまある敬老館でのコミュニティやサークルの活動は、全部なくなるのか?
・それとも、別の場にちゃんと用意するのか?

A 区

・街角ケアカフェでも、地域との交流の場、地域団体との協働の場として、地域団体と協力しながら事業を充実してきた経緯がある
・今回の機能移転でも、これまで春日町敬老館で活動頂いていたものを参考に、ご意見を参考にしながら事業を進める
・そのグループのノウハウを生かして事業をすすめていければ

Q 高口

・「参考」ではなく、そのコミュニティが引き続き活動ができるよう、しっかり支援していただきたいし、そういう事業をケアカフェで行っていただきたい


【課題2】「気軽」に立ち寄り、相談できる場とは?

 

Q 高口

・もちろん、相談機能は重要
・その意味で、今ある敬老館を生かしながら相談機能を持たせていく、娯楽を目的に集まって交流しながらそこで気軽に相談できるようにする、というのも十分考えられる

A 区

機能移転にあたりまして地域包括支援センターと併設をする

地域包括支援センターには看護師・市民ケアマネージャー・社会福祉士という専門職が配置
・支援効果が非常に有効

Q 高口

敬老館の中に地域包括支援センターを作ってはいけないということではない
・敬老館のこれまでの機能を生かして地域包括支援センターを併設していく方向もあり得る


【課題3】敬老館をなくして、本当にいいのか?

 

Q 高口

・今後、この形ですべての敬老館をなくして機能転換していくのかどうか、方向性は?

A 区

敬老館は、公共施設総合管理計画において、大規模改修等の機会をとらえて機能転換を図っていく形になっている

・今後、各それぞれの施設の老朽化等の状況を見ながら、基本的には街かどケアカフェや地域包括支援センターの併設という方向で進める


 

…練馬区は今後、大規模改修にあわせ、敬老館を「街かどケアカフェ」「地域包括支援センター」に機能転換していく考え。本当にそれでいいのかどうか…

高齢者の自主的な活動、区民の主体性とは何か……

練馬区の高齢者施策にとって、今回の条例改正は、重要な転換点かもしれません。