としまえんと防災、覚書の問題…/練馬区議会・決算、高口質疑2!
*2020/9/29、練馬区議会・決算特別委員会「総務費他」での、高口質疑(2テーマ目)です。
としまえん×防災の問題
【Q1】防災井戸について
としまえんの中に、防災井戸が5つあり、うち一つは、ハリーポッターのスタジオツアー施設にかかりそうな位置にありますが、この防災井戸がどうなるのか、教えてください。
【区A】(防災計画課長)
- 災害時における飲料水を確保するため、協定に基づきとしまえんが所有する井戸を防災井戸と指定
- 練馬区の防災井戸は5つのうちの1つ
- 災害の発生により応急給水が必要になったとき、区からの要請により付近の住民に対し飲料水を提供していただく
- 現在もこの協定は有効
- 引き続き対応していただけるものと認識
★スタジオツアー施設、防災の観点から…
井戸は有効ということで、引き続き使えるようにしていただきたいと思います。
井戸についてですが、平成30年3月、東京都が作成した「練馬城址公園基本計画資料作成委託 報告書」によると…井戸は「災害時に活用が可能」とあります。
プールについても
「現状あるプールについて、災害用の生活用水や消火用水としての活用を検討」
とあります。
【Q2】プールを残そう!
「としまえんプールを残してほしい」という署名運動が1万人を突破して、新聞TV等メディアでも報道され、注目を浴びています。
災害時に活用できる観点からも、プールを残したほうがいいと思いますが、プールの活用について、区の見解を伺います。
【区A】(防災計画課長)
- 災害時には、防災井戸のほか、集中備蓄倉庫のペットボトルや近隣の応急給水層を活用し、飲料水を確保
- 近隣のミニ防災井戸から生活用水は供給
- 区としては、様々な手段で水を確保
- 防災の観点からプールを残すような考えはない
★防災性は維持・向上するのか?
プールに対する区民の声がたくさんあがっていることはご承知と思います。ぜひ、区民の声を受け止めてほしいと再度要望します。
他にも、防災の観点でいうと、先程の報告書では
- 「避難有効面積2㎡を下回っており、避難場所としての整備に配慮をしていく必要がある」
- 「オープンスペースを確保し、避難面積を確保する」
- 「敷地外周100mから200m程度の間隔で入り口を設けることで、より早く避難できるようにする」
- 「計画地内の建築物を帰宅困難者の一時滞在施設としての活用」
- 「練馬駅は営業距離の長い路線の途中駅であるから、帰宅困難者の受け入れを視野に入れる必要がある」
と指摘しています。
今年9/8の公園審議会資料でも、「避難場所となる広場」となる「まとまった平坦地」を示していますが、その大部分が、ハリーポッター施設にあたります。
【Q3】防災性は向上するのか?
先日提出された陳情にも同様の論点がありますが……。
避難場所、オープンスペース、避難路の確保など、本来、想定されていた練馬城址公園全体における広域防災拠点としての機能と、民間施設設置により失われる機能を比較したとき、30年間、近隣住民の犠牲を払っても見合うだけの防災性向上が得られたといえるのか、伺います。
【区A】(防災計画課長)
- 都市計画練馬城址公園の整備に関わる覚書にて、公園の広域防災拠点機能に関する目標として、災害発生時に避難場所や、災害時臨時離着陸場候補地となる広場と、必要となる防災施設の確保があげられている
- 周辺地域から、練馬城址公園東西方向・南北方向に避難できる園路の候補が記載
- ただし開発事業区域における南北方向の通路は、緊急時に適用
- 公園全体の防災機能につきましては、引き続き関係者と協議
★順番が逆!!
「関係者と協議」ということで、決まっていないところが多々あると…。
- 南北は緊急時のみで、平時は使えない。
- 建物ができて、必要なオープンスペースや避難面積が困難
- 北側の開放や一時滞在施設になるかも不明なまま
→全体が防災公園として整備されたほうが当然防災性は高いと言えます。
練馬区は、避難場所の確保とか、防災性の向上を確保してから計画を進めるべきと。それを都や事業者にも申し入れる立場にあったと思います。
防災公園がどうなるかも未定、協議中という状況で、民間施設だけが先行してというのは順番が逆ではないかと指摘します。
5者による「覚書」の問題
続いて区が交わした5者による覚書について伺います。
この覚書の問題も、いろいろありますが…
一つは、第5条「甲=東京都は整備計画の策定において、乙=練馬区の意見を十分に聞く」という点です。
法律の専門家に聞いたところ、「聞く」というのは「同意を得る」とは書いていないため、「区の意見を聞くだけでよく、計画に反映させる保証がない」とのことです。
【Q1】覚書の課題と対応
さらに今後、現在の5者に入っていない「芙蓉総合リース」が、伊藤忠にかわって、土地の借主と建物の所有者になることが判明しました。
覚書には、譲渡・賃貸などの際、「関係者は追加的関係者に覚書の内容について承継し、遵守させなければならない」とありますが、遵守する義務は、この場合、伊藤忠にあり、芙蓉総合リースに遵守の義務はありません。
- 区は、芙蓉総合リースが事業主体となることをいつ知りましたか?
- ただでさえ紳士協定の覚書が、5者に入らない事業者が主体となることで、意義を失うかと思いますが、区はどう考えますか?
【区A】(企画課長)
- 覚書は、東京都・練馬区・西武鉄道・ワーナーブラザーズジャパン・伊藤忠の5者で取り交わした
- その際に、民間事業者間のスタジオツアー施設にかかる正式契約前だったということもあり、芙蓉総合リースについては関係者に入っていなかった
*質疑後に確認→正式に知ったのは、8/18のプレスリリース時点
- 覚書の条文には「関係者が自らの権利やその行使などについて他者に譲渡・賃貸及び委任など行う場合にはあらかじめ他の関係者と協議しその承認を得ること、またこのものを追加的関係者として他の関係者は覚書の内容について承継し遵守させなければならない」ことが明記
- 今後この計画が進んでいく中で、芙蓉総合リースが追加的関係者として覚書の内容について承継し遵守する義務が発生するものと認識
【Q2】30年後の確約を
区がそう思っていても、残念ながら、覚書について芙蓉総合リースに遵守義務はないものになってしまっている点は指摘しておきます。
それから、覚書の曖昧さというのは、30年後にも関わっています。
「30年間の変更については申し出があったら協議に応じる」とあるため、延長の協議をお願いされたら、拒否できません。
- 練馬区としては、30年後に事業者が撤退しなかった場合の対応をどうするのか
- 30年後を見据えた事業者との確約を今どう取っていくのか
2点、伺います。
【区A】(企画課長)
- 30年後のお話し、なかなか今決められることではないのかなというのが率直な感想。
- 覚書には、東京都、練馬区が協議に応じると定めている
- あらかじめ30年以上の設置を認めているものではない
- 状況の変化により、30年に満たない設置期間変更について協議の申し出の場合もあると考える
- 現時点ではスタジオツアー施設の30年間の設置を想定
- 期間変更の申し出があった場合、その時点で都や区その他関係者で協議をさせていただくと認識
- 区としては、30年間ハリーポッターの施設がここにできてその後は防災公園・練馬城址公園として整備されるという認識で今いる
- 将来についてはその都度協議をするという考え
【Q3】区民の声を聴け!
区民はずっと防災公園になると思っていたのに今こうなっている。
今きちんと確約をとることをしないと、また30年後……。30年後にしっかり責任をもっていただきたいし、それを確約できないなら計画を進めるべきでないと思います。
それから、練馬区の意見を今後都にあげ、しっかりと計画に反映させるにあたって、練馬区としてもパブコメ等実施すべきと思います。
今後練馬区として区民の声をどういう手段で聞くつもりなのか伺います。
【区A】(企画課長)
- 都は現在、城址公園の整備計画を公園審議会に諮問している
- 公園審議会に示されたスケジュールでは整備計画案が示されたのちに、来年1月頃に都民の意見募集パブリックコメントを行う予定
- その際は、区も区報などで区民に周知をさせていただく予定
- また、都から整備計画案が示された際やパブリックコメントの結果などについて、区議会にご報告し、ご意見を伺う予定
- 区が独自に意見募集を行うという事は考えてございません
- これまでも区民から区に寄せられたご意見については都と共有
- 区議会からいただいたご意見についても都と共有して今後進めて行くという考え
以上です。
「区民から区に寄せられたご意見については都と共有」
→とのことなので、じゃんじゃん!声をあげて、都と共有していただきましょう!