練馬区議会2020、高口ようこ一般質問!【3】ジェンダー平等と性教育
【テーマ3】ジェンダー平等と性教育
性教育が、コロナでより重要に
新型コロナによる外出自粛で、おうちデートが増え、性行為の機会が増加。
妊娠に関する相談窓口「にんしんSOS東京」では、今年3〜5月、10代の相談者は前年同時期の1.8倍になりました。
相談窓口を運営しているNPO法人ピッコラーレによれば、
「まだ性行為はしたくないと話していたのに、雰囲気で流された」
「断れなかった自分が悪い」
「相手に話すと負担をかける」
「めんどくさい女だと思われる」
など、二人の問題なのに、自分を責める女の子の相談が多いと言います。
「自分のこと本当に好きならさせて」と言われて応じたのに、妊娠を伝えたら、「自分だという証拠は?他の人ともしてるんじゃないの?」と言われたり、連絡が取れなくなった…このような相談はとても多いそうです。
これを裏付けるかのように、女性向け健康情報サービス「ルナルナ」が、女性7640人に行った避妊の意識調査では、「パートナーが避妊しなかった経験あり」が52%。「避妊を言い出せず、そのまま受け入れる」が33%にものぼり、理由の1位は「関係が悪くなるのが怖い」でした。
性行為は、相手を大切に思いあう行為です。自分と相手の心とからだ、関係性を大切にする方法、欲求のコントロール方法を教わることは、将来にわたって役立ちます。
富山県、秋田県では、性教育に力を入れた結果、10代人工妊娠中絶を激減させる成果をあげています。今ネット上では、性の過激で誤った情報が氾濫しており、正しい知識の教育が、早急に必要です。
Q6:全区立中学校で、性教育を!
2019年、東京都教育委員会が学習指導要領より踏み込んだ「性教育の手引き」を改訂。練馬区でもモデル授業を行っていますが、コロナの今こそ、全区立中学校に広げ、子どもたちを守るべきです。
A:区答弁
- 性に関する教育は、学習指導要領等に基づき行っています。
- 東京都の指定を受けた「性教育の授業」実施モデル校では、都の作成した手引に基づき、学習指導要領に示されていない内容を含む指導のあり方を研究するため、昨年度、産婦人科医を招いて行う授業を公開しました。
- このモデル校の成果を踏まえ、今後も適切に性に関する教育を行っていきます。
Q6-2:親世代の理解不足も問題です。
相手に裏切られて深く傷つき、悩んでいても、大抵の子は「親に話したら家にいられなくなる」と言うそうです。「しないさせない」だけでなく、した場合どうするかを、大人が考えておくべきです。
練馬区が来年度から実施の性教育出前講座などを活用し、親への教育・啓発もすべきです。
A:区答弁
- 性に関する知識の普及・啓発を図ることを目的としたNPO等による区立学校への出前授業については、現在、実施内容や時期、対象者や学習指導要領との整合などについて、検討を進めているところであります。
コロナが顕在化させた不平等・差別の構造
新型コロナウイルスは、平時からの社会構造や差別の問題を、顕在化させました。
総務省が今年7月に発表した労働力調査では、正規雇用は維持の一方、非正規雇用は131万人減少で、過去最大の下げ幅に。男女別では、男性の就業者が前月比29万人の増加に対し、女性は18万人減少と、雇用格差、男女格差が鮮明です。
保護者は会社を休むために頭を下げねばならず、肩身の狭い思いをし、在宅ワークの家事・育児の負担の多くは、母親へのしかかりました。
一方で、園児が減っても休ませてもらえないという、保育士の休業補償、労働問題も起こりました。
それらの根底には、「家事、育児、介護などは女性がすべき」「家族がやれば無償だから、低賃金でよい」という根強い意識があります。
2019年厚労省「賃金構造基本統計調査」によれば、男性の一般労働者の月額賃金33万8000円と比べると、
- 女性比率95%の保育士でマイナス9万4500円
- 女性比率78%のホームヘルパーでマイナス10万6300円
という、大きな差があります。
公務員の世界でも、男女格差が深刻です。非正規雇用にあたる会計年度任用職員は、練馬区では女性2338人、男性350人と、7倍近い差があり、女性の非正規雇用・低賃金に甘んじる公的サービスの実態が見えてきます。
Q7:新型コロナ対策は、男女・非正規格差を前提に制度設計を
内閣府男女共同参画局は、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の中で、「女性に与える影響を十分に配慮することが重要」と発表しています。
一方、練馬区は、新型コロナ対策の福祉従事者への区独自の特別給付金を、非常勤は常勤換算とし、切り下げました。福祉の分野は特に、非正規の女性に支えられていますが、男女・非正規格差という点をこの事業でどう配慮したのか、お答えください。
また、今後の新型コロナ対策においては、男女格差や正規・非正規の格差解消を前提として制度設計することが重要ですが、区の見解をお答えください。
A:区答弁
- 特別給付金は、本年4月から5月までの国の緊急事態宣言発令中にサービスを提供した介護、障害者、保育等の従事者を対象といたしました。
- 給付金額は、感染リスクが反映される業務量に応じた金額とするため、常勤職員の勤務時間に換算し支給したものであり、性別や正規、非正規の雇用形態で区別したものではありません。
- 区では、今後とも、性別や雇用形態で区別することなく、事業を進めていく考えです。
(*勤務時間に換算したことにより、正規・非正規の「区別」が起きてしまったわけですよね。その「区別」によって起こること=男女格差、正規・非正規格差をしっかり認識し、制度設計することが重要です)
区役所からできるジェンダーギャップ解消を
全国をみると、「ジェンダーギャップの解消」に取り組む兵庫県豊岡市で、市長自身が「ジェンダーギャップを放置すれば、社会・経済的な損失はとてつもなく大きい」と明言し、話題となりました。
OECDをはじめ、「男女平等になるほど経済成長する」というデータも数多く示されています。男女平等に取り組むまちにこそ、これからの希望がある。練馬の発展は、ジェンダーギャップ解消にカギがあります。
Q7-2:具体的な対策を
男女の給与格差の解消として、
- 会計年度任用職員の正規公務員化を進める
- エッセンシャルワーカーへの支援
- 女性管理職30%の達成(202030)
など、現実的な取り組みを、区役所内部から実践すべきです。区の実効性ある対策を伺います。
A:区答弁
- 会計年度任用職員は、従来の特別職非常勤職員と同様、常時勤務を要しない職として、また、常勤職員が有しない特定の知識や経験、資格が必要な職として設置しています。
- このため、正規職員の職としていく考えはありません。
- 区は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、区民生活を支えるため、業務を継続していかなければなりません。
- 特に、感染の危険性が高い業務である、保健所の感染症患者への対応業務、清掃事務所のごみ収集業務および福祉事務所の訪問・面接業務に係る職員の特殊勤務手当について、第二回定例会で全会一致の議決をいただき、増額を行いました。
- 今後も、国や他の地方公共団体の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
- 組織運営においては、男女を問わず能力・実績のある職員を登用していくことが重要です。区では男女を区別することなく公平・公正な昇任選考制度に基づき、職員を任用してきました。
- 本年4月現在、女性管理職の比率は19.5パーセント、女性の課長補佐・係長級職員の比率は48.6パーセントであり、いずれも23区で上位を占めています。これからも、能力・実績に基づく登用を進めてまいります。
(*課長補佐、係長は「管理職」ではありません。「区別」することなく任用してきた結果、非正規雇用は圧倒的に女性が多く、女性管理職は20%に満たない現状です。しっかり現実を見て、男女格差の解消を実行頂きたいと思います)