練馬区議会2020、高口ようこ一般質問!【2】コロナが変える教育

【テーマ2】コロナが変える教育

オンライン教育は、価値観の転換を

その基礎となる「練馬区こどもの権利条例」の制定を要望し、続いて教育について伺います。

新型コロナは、教育の課題も明らかにしました。

休校中、子どもたちは「課題がないと何もできない」事態に陥りました。

練馬区は休校中、「みんな一緒でなければ」という観点で、東京都が準備したオンライン機器の貸し出し等にも対応せず、結果、課題は家庭にまかせきりとなり、家庭間格差が広がりました。タブレット貸与を行った自治体では、緊急事態宣言下でも朝の会やオンライン学習などに取り組み、自治体格差となっています。

今まさに、「みんな一緒」という価値観からの転換が必要です。

練馬区は、今年度中にタブレットパソコンが導入されますが、今の授業をただオンラインに変えるだけではうまくいきません。教師は、一斉授業から、子どもを個別にサポートし、協働を促す役割となり、子どもたちが自ら、自分のやり方で学べるよう、教育の仕方そのものを変える必要があります。

オンライン教育では、「みんな一緒」ではなく、一人ひとりのやり方にあわせて支援すること、管理ではなく「自由」と「信頼」がカギとなります。

「自由にさせたら、ワガママになる」と思われがちですが、「自分で自分のやる方法を考える」「どちらかを自分で選べる」といった自由がないところに、責任は問えません。自由があるから、責任が生まれます。

自由とは、信頼を置くことでもあります。先生は子どもを、保護者は学校を、校長は先生を、行政は学校を信頼することが重要です。

Q3:オンライン教育の体制づくり

オンライン教育において、「みんな一緒ではなく、デコボコがいい」、管理よりも自由が重要という点への区の見解と、子ども一人ひとりをサポートするオンラインの体制をどう作るのか、伺います。

A:区答弁
  • オンラインによる家庭学習においては、特に低学年の児童の場合、自由な発想を生かした学習だけでなく、学校や保護者の適切な管理が必要です。
  • また、子供たち一人一人をサポートする指導は、これまでも教員が子供たちに寄り添い、個々の発達段階に合わせて行っていますが、
  • オンラインの活用にあたっても、子供たちとの個別面談を行うなど、きめ細やかなサポート体制を確保してまいります。

(*現場の大変さを思うと、とても答弁のように完璧なサポートができていると、堂々と言えないと思うのですが…)

Q3-2:休校となった際の対応

今後、第2・3波で再度休校となっても、オンライン教育により学びが継続されるべきですが、前回休校時の反省をどう改善し、次に活かす予定なのか、伺います。

A:区答弁
  • 教育委員会では、学校休業を契機に、公式動画チャンネルを立上げ、動画の作成・配信を行うとともに、
  • 現在、オンライン会議サービスを活用した取組を各学校で進めています。
  • 学校ホームページを用いた課題の発信等とあわせ、
  • 臨時休業の際には、多様な方策を組み合わせて、学習の機会を確保してまいります。

自主休校や発達障害の支援に、タブレットPCの活用を

また、自主休校の児童への対策も急務です。

6-7月の6日間の調査で、延べ826人、1日平均137人の小中学生が、感染予防のために登校を控えました。

Q3-3:自主休校の生徒への支援

熊本県の公立校では、授業をオンライン中継した結果、以前から不登校の生徒が、画面ごしに授業に参加できるようになった実例があります。練馬区も、オンライン端末を活用し、自主休校の生徒がともに学べる体制をつくるべきですが、検討状況をお答えください。

A:区答弁
  • 感染予防のために登校を控えている子供たちにも同様に、多様な方策を組み合わせて学習支援を行っています。
  • オンラインによる授業のライブ中継については、同時に授業を見ることができるメリットがある一方、
  • 視聴人数が限られることや機材確保等に経費がかかることなどの課題があるため、現在研究を進めています。

(*何も問題なくサポートできているような答弁ですが、実際はどうでしょうか…)

Q3-4:発達障がい、学習障がいの生徒への支援

また、発達障害や学習障害の子どもに対し、授業をサポートするソフトも、特性にあわせて個別に導入し、同じ教室で学ぶインクルーシブな環境を整えるべきです。
たとえば、板書にタブレットの撮影機能を使う、課題提出を手書きでなくパソコンで行う、デジタル教科書や音声教材の活用などが考えられますが、区の検討状況をお聞かせください。

A:区答弁
  • 障害のある子供たちへは、現在も文字等が拡大された教科書の活用や音声の文字化など、障害に応じた個別支援を行っています。
  • タブレットの導入により、支援の幅がさらに広がるものと考えており、積極的に活用していく考えです。

 

新しい学校づくりは、子どもの参画、子どもの声をきくべき!

ソーシャルディスタンスが求められる新型コロナ対策では、少人数授業の重要性、小規模校のメリットを、改めて浮き彫りにしました。

具体的な例として、旭丘小中・小竹小を統廃合し、一貫校を作る計画がありますが、小さな学校の重要性が再認識される今、やはり小竹小を残すべきです。

一方、旭丘の小中一貫教育校は、今年度基本設計が示される予定です。新校は、校舎にゆとりをもたせ、小規模のよさを最大限活かすべきです。何より、子どもが通いたくなる、魅力あふれる場所であるべきです。

Q4:校庭を森に!自然ゆたかに!

来場者が急増した新広島野球場、学生の利用を活性化した大学図書館や、保育園、学校などを多数手がけ、こどもの環境にも力を入れる環境建築家の仙田満氏によれば、学校教育の場でも、「困難を乗り越える力を育める環境」「元気に思い切り走り回れるような空間」が重要で、

特に「現在、日本の子どもたちの成育体験として最も欠けている点は自然体験」で、「大きな校庭を確保しつつ森化し」「自然体験の場と、都市における緑地形成拠点とすべき」と述べています。

江古田周辺は緑が少なく、地域の環境向上にも寄与しますが、区の見解を伺います。

A:区答弁
  • 旭丘・小竹地域における施設一体型小中一貫教育校については、旭丘小学校・旭丘中学校二校を先行して設置準備を開始することとしており、現在、基本設計に着手しています。
  • 緑化等の環境配慮については、地域の緑の拠点となるよう、既存の緑を活用しつつ、更に屋上緑化をはじめとした多様な学校緑化を行っていきます。

Q4-2:発達障がいに配慮したデザインに

また、ソファなどでゆったりできる、校内に落ち着ける場所を用意するなど、発達障がいの子に配慮したデザインも、設計時点で織り込むべきです。だれもが同じ場所で安心して学べる学校を要望します。

A:区答弁
  • 障害特性に応じた教育環境の確保については、昨年度から学校現場と連携を取り、障害のある児童生徒が安全かつ快適に学校生活を送れるよう、教室配置の工夫などについて検討を進めています。

Q4-3:プロセスから結果まで、子どもが関われるように!

現在、残念ながら新校設計にあたり、地域への進捗報告もなく、子どもの意見が聞かれる場面もありません。準備委員会は、ハード面の話が中心ですが、重要なのはどんな学校にしたいか、ビジョンの共有ではないでしょうか?

新しい学校づくりは、百年に一度しかない、絶好の教育のチャンスです。単に、学校名、校歌やモニュメントなどの表層だけでなく、区がワークショップ等を実施し、子どもがプロセスから結果まで関われることが重要です。学校づくりに子どもが参画する重要性、子どもへの教育効果について、区の見解をお答えください。

A:区答弁
  • 節目節目で地域説明会を開催し、地域における小中一貫教育の取組やこれからの学校施設に必要な施設機能等について説明するとともに、
  • 令和元年度からは小竹小も含めた3校の保護者や地域の代表等で構成される準備会を設置し、新校の教育内容を含めた様々な検討を行っています。
  • 準備会でいただいたご意見等については、開催ごとに報告書を作成し、地域へ周知しています。
  • 各学校や地域の保育園、幼稚園へ情報提供を行い、適宜、保護者や子供たちからも意見を伺うことを準備会で確認しています。
  • 引き続き、地域とともに開校に向けた準備を進めていきます。
  • なお、今後の改築実施校については、小竹小に限らず、施設の躯体状況や建築年数、児童生徒数の動向、避難拠点としての役割など、様々な要素を総合的に考慮して選定します。

(*私自身学区域ですが、一切「周知」をもらったことがないので確認したら、「PTA会長や町会長に渡している」とのこと。それは「地域へ周知」とはまったく言いませんよ!!!これは本当に酷いです。こういうやりかたで、「周知した」と言って、進めるのでしょうか?)

コミュニティスクールについて

ドイツで生まれ、オランダで広がり、近年国内でも注目を集めるオランダの教育ビジョン「イエナプラン教育」では、みんなの声、みんなの関係性を重視します。保護者も共に、子ども達や未来の社会への責任を担います。

そのためには、学校、保護者が心を開き、話し合うなかで、共通のビジョンやミッションを作り上げ、共有し、協働することが重要です。

日本では、PTAの強制加入やなり手不足等が問題視されていますが、PTAも、任意性を保証しつつ、子どものための学校づくりに直接かかわる方向へのシフトが期待されます。

Q5:学校運営協議会の導入は?

この理念に近い制度として、日本には「学校運営協議会」、いわゆるコミュニティスクールがあります。

練馬区が採用する「学校評議員制度」では、校長の求めに応じた個人の意見にとどまるのに対し、協議会は、学校運営や人事に一定の責任と権限をもつため、より安定的で地域協働性の高い学校づくりが進みます。2017年の制度改正で、教育委員会には、設置の努力義務が課されました。

全校で導入する八王子市は、具体的なメリットとして、
「学校、家庭、地域でこども像や学校像を共有し、計画段階から地域や保護者らの参画を得た学校運営ができている」
「小中連携や地域連携がはかられる」
「子どもたちの学力向上に寄与」
「学校への苦情が減った」
「地域コミュニティ活性化につながった」
「学校を核とした地域防災体制が確立」
など、多数あげています。

学校運営協議会の導入について、区の見解をお聞かせください。

A:区答弁
  • 学校運営協議会は、地域とともにある学校の実現を目指し、国が平成16年度に制度化しました。
  • 平成29年3月には「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正され、学校運営協議会の設置が努力義務化されたところです。
  • 区ではこれまで、国や都が推進する「学校・地域連携推進事業」に取り組み、学校と地域が連携して教育活動等を行ってきました。
  • 学校運営協議会は、地域住民の学校運営へのさらなる参画等を図るものであり、これまでの取組の発展型であります。
  • 学校と地域との協働を進める上で有意義であり、すでに検討を始めています。

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