「公共施設等総合管理計画」学校長寿命化と保育民営化、二大争点/3/10文教児童青少年委員会

3/10文教児童青少年委員会レポです!

「公共施設等総合管理計画」、数々の問題を残したまま、成案に…

*「素案」の論点はこちらをご覧ください
https://koguchiyoko.net/nerima/20191210iinkai_bunkyo_sisetsu/

★パブコメ、多かった意見は…?

やはり、保育園の民営化への反対意見が多数。

また、項目としては、「小中一貫教育校の設置と周辺施設の集約」……旭丘の小中一貫校と、それにあわせた栄町敬老館への移転に対する反対意見が、多くあがりました。

↓個別の取組に対する意見として第3位で、多い印象。

 

★反映した意見は、わずか9件…

348件中、反映された意見はわずか9件……。

反対多数の民営化に関しては、「保護者に丁寧に説明」と加えたのみ。

丁寧な説明といっても納得が得られないことは、民間委託での説明会での反対でも、すでに明らかですが……。

他に、教育関係では、長寿命化について説明が加えられました。

★パブコメ一覧はこちら

↓PDF化してまとめましたので、ご覧ください。
★パブコメ一覧

★学校施設の長寿命化問題

パブコメを受けて変更された、長寿命化と民営化について質疑をしました。

★長寿命化工事後、途中で廃校にしたら、税金の無駄!

今回の計画で、初めて、施設の「80年までの長寿命化」の基準が示されました。

気になるのは……

  • 長寿命化をしたうえで、たとえば70年目など、途中で廃校にすることはあるのか?
  • それとも、一度工事したら80年までは、学校としてもたせるのか。

という点。

区は、

  • 「統合再編は、都度判断する」
  • 「財政シミュレーションと残す、廃校の判断は別のこと」

と答弁しましたが、長寿命化にあたっては、当然、どこにどんな改修が必要か、綿密な調査をし、財政シミュレーションを行ってから判断をしなくてはなりません(文科省の手引きにもそう明記してあります)。

(参考)文科省:学校施設の長寿命化改修の手引

長寿命化には、億の単位でお金がかかります。

もしも、80年の前で、他の施設に転用することになれば、さらに大規模改修が必要になり、余計な経費がかさみます。

ですので、長寿命化したら、学校施設として最後までもたせるのが、当然大前提!

万一、長寿命化の工事をしたのち、80年待たずにに廃校などになれば、余計な税金をかけた責任、財政シミュレーションを含めた、区の見通しの甘さが問われることとなります。

★長寿命化の順番…築年数は重要な基準

長寿命化の順番として、様々な基準が書かれ、「総合的に判断」とされていますが……

今の学校は、60年を基準に建てられており、そもそもの基準として、「60年を目途に改修」とあります。

築年数の古さが重視されることに変わりはありません。

それぞれの学校の事情があるのはもちろんですが、もしも、60年を過ぎた古い学校を長期間放置し、何かあれば……やはりこちらも大きな責任問題となってしまうでしょう。

★「鉄骨」「鉄筋」→「良好」とは何か?

文科省の「長寿命化の手引き」には、「グレード1~4」まで4段階と細かく分かれていますが、練馬区の場合は、「良好」としか書かれていません。

コンクリートの中性化について、質疑にあたり、専門家の方に、いろいろご意見を伺いました。

  • 「酸素と水が存在しなければ鉄筋は腐食しない」という説明は、自然の摂理であり、間違いない
  • しかし、これを「水、酸素に触れて無いと、鉄筋の酸化、コンクリート破裂は起きない」「これからも劣化や欠落は起きない」と解釈するのは間違い
  • 良好とは、基本的には現時点での「結果」
  • 現在の「良好」という状態は「現状は問題無し、今後はどうなるか分からない状態にある」ということ

★中性化防止対策は必須!

中性化とは、コンクリートの劣化を意味します。

文科省の手引きでも、中性化抑制剤、再アルカリ化工法、ひびわれ対策など挙げられています。

区は「施設の状況が異なる。改めて調査」「薬剤など、中性化進行を止めるやり方がある」と答弁しましたが、長寿命化にあたっては、コンクリートの劣化を止める中性化防止対策が重要です。

そして、その費用がかさむのかどうか、中長期的に比較し、改築も視野に入れるべきと思います。

(参考)文科省手引きより、コンクリートの劣化等はこちら

 

ちなみに、長寿命化については、京都市の計画が大変細かく、中性化対策や、財政シミュレーションもきちんと載っています。

保育園民営化が”危険”な理由

★「公立保育園」へのニーズが1位、という事実

民間委託だけでもあれだけの反対が起こっているのに、保護者のニーズをあまりに無視している、今回の民営化……。

平成30年5月に出された「東京都保育ニーズ実態調査結果報告書」でも、練馬区のニーズ調査でも、1番望まれているのは「公立」保育園、とはっきり出ています。

いつも「保護者の多様なニーズ」を理由にする区ですが、この都の調査結果、保護者のニーズをどう受け止めるのか、聞いたところ……

……スルー!!!

答弁なし。
保護者の第一のニーズは、無視をするようです…。

★区立直営園という、セーフティネット

区立委託園に何かあった場合は、区の作成した「緊急時対応マニュアル」に沿って、当初は区が責任を持って保育士などを派遣し、対応にあたることにしています。

先日、豊島区の園が突然閉鎖のニュースがありました。今後、待機児童が解消されるにつれ、保育業界の「淘汰」が予想されています。

万一の場合、セーフティネットとしての直営園の役割がますます重要になってくると考えます。民営化とは、「閉鎖もありうる」というリスクと表裏一体。民間が悪いというのではなく、これは制度的な事実です。

昨年の大型台風、今回のコロナウイルスのような非常時……リスクは様々。セーフティネットとしての区立保育園をどの地域にどのくらい残すのか?と聞いたところ、

こちらもスルー!!!
「今後の検討」との答弁のみ…。

万一、すべての区立園を民営化する、あるいは数園しか残さないようなことになれば、セーフティネットとしての役割は果たせません。フォローできる保育士自体がいないからです。

今後の練馬区の保育を、どう守り、保証していくのか。練馬区が大切にしている保育とは何なのか。そういった大きな考えを示さずに、民営化ありき…という提案は、本当に危険です。

高口の予想ですが、現在、「区立幼稚園で障害児の受け入れが1/4」という実態を見ると、もしも、区立保育園を少数だけ残すことになれば、そこでの障害児の受け入れが増えるだろうと思います。それは、インクルーシブとは逆行した施策ではないでしょうか。

民営化は、障がいを持つお子さんなど、弱い立場の方にとって、より、大きな問題をはらむのではないか、と思っています。

それ以外にも、石神井公園駅前再開発事業など、多数の問題をはらんだ、今回の『公共施設等総合管理計画(実施計画)』。今後の動向を、注視していきたいと思います。