高口反対討論…学童の質向上、子どもの最善の利益を考えよう!

6/28に閉会した練馬区議会(2019年の2回目なので、「第2定例会」)といいます。

最終日、学童クラブ、ねりっこクラブの2条例の改正について、討論を行いました。待機児童の数は問題になっても、質は案件にのぼりません。

保育の質、子どもの環境に真剣に取り組むべき……という視点で、討論しました。

1:学童不足。減らすのではなく、増やすべき

今年度の学童待機児童は、366人。在籍児童は右肩あがりに増え続け、5067人にのぼります。

保育園の次は、小1の壁。入会基準が1年生優先に変わり、小2の壁、小3の壁……。私たち親は、常に不安にさらされています。安心して働き続けるためには、区の責任で、学童クラブを増やすことが不可欠です。

ところが今回の条例改正案は、田柄地区区民館、光が丘すずらんほか、4つの学童クラブを閉鎖するものです。実際に、近隣小学校の保護者からは、「3年生で待機になった」という声を聞きました。私たちが今すべきことは、学童の閉鎖ではなく、「学童に入れるかわからない」という不安を解消することです。

深刻な学童不足のなか、増やすどころか、減らしてしまう。とても現状にふさわしい改正とは思えません。

2:小人数学童の必要性

今回廃止とされる学童クラブについては、「少人数でゆったりしており、先生たちの対応がこまやか」との声を聞いています。

構成も、田柄地区区民館で1年生7人、2年生8人、3年生9人。光が丘すずらんも、7人、13人、10人と、理想的なバランスです。安心して預け続けることができ、異年齢のよさも活きる環境です。

障害児も各1名在籍しています。「多様なニーズ」を掲げるのであれば、少人数で細やかな配慮のできる学童は、無視できないニーズです。

3:保護者への説明は後回しに…

廃止にあたり、区は「保護者に丁寧に説明する」といいますが、4月の入会時点で、廃止の説明はありませんでした。

条例改正を先に済ませたあとの説明では、結論ありき。「次年度は個人の事情による」という答えも、無責任です。振り回されるのは、子ども達です。

在籍家庭の意向を尊重しつつ、在籍数が減ったとしても、廃止ではなく数年後に休室にして待機児童増加に備えるなど、柔軟な対応をすべきです。

4:ねりっこクラブの課題

廃止の理由を、区は、春の風、秋の陽小学校の校内に、ねりっこクラブを開設するためとしています。ねりっこクラブは、登下校の事故の心配が減るなどの点で、確かに安心です。

一方で、大泉第二中学校では、道路を優先し、学校から離れた飛び地に、第二運動場を作る計画です。小中学校の違いを踏まえても、ここでは、子どもの安全より、区の都合を優先しているのです。

大人の事情と、子どもの思いは、必ずしも一致しません。
私たちは今こそ、「子どもの最善の利益」に立ち返るべきです。

私の子どもも、今年1年生になりました。あそびを根底にした保育園と、学校は、決定的に違うと実感中です。学校で疲れた子どもにとって、学童は、授業から離れ、ほっと安らげる場です。

区立学童は定員40名以下が基準ですが、ねりっこクラブの受け入れは40人の2ユニットが基本で、135名という巨大クラブもあります。大人数を1か所に集めると、大人目線、管理優先になりがちです。これは現場の努力の問題ではなく、環境の問題です。

5:学童の質

学童の面積基準は、「子ども一人あたり1.65㎡」。これは、保育園の1、2歳児の基準という狭さです。これに対して、区は、「厚生労働省の基準を満たしており、ぎゅうぎゅう詰めではない」と断言しました。

現実の子どもが見えていないか、見ようとしないか、見ていても「それでいい」と思っているのか。

子どもの目線で、学童の質を高める姿勢、「保育の質」にしっかり向き合うことを、心から求めます。

6:負担は現場に。支援員の支援を!

保育の質で重要なのは、人、支援員です。子どもの自主性を尊重しながら、遊びを通して、成長を支える。高い技術が求められます。先生たちが、安定した給与で働き続け、スキルを向上させることは、質の向上に欠かせません。

練馬区の委託学童の求人を検索すると、時給1000円程度の募集が目立ちます。不安定雇用、官製ワーキングプアとも関わる問題です。

子どもを守るためには、現場の支援員を守ること。
大切な人材の課題を、企業まかせにすべきではありません。

7:こどもはまちで、地域でそだつ

忘れてはならないのが、「こどもはまちで、地域で育つ」という観点です。

子どもがあそぶ場が、姿が、まちのあちこちにあること。それを見守るおとなが、たくさんいること。その環境は、地域を豊かにします。

「放課後も学校に」という考えを推し進めすぎると、子どもの姿が、まちから消えてしまいかねません。

子どもの最善の利益、保育の質について、改めて議会で真摯に話し合うことを求め、終わります。