兵庫県豊岡市の五荘小学校にて、コミュニケーション教育を視察させて頂きました!

2024年5月16日、兵庫県豊岡市の五荘小学校にて、コミュニケーション教育を視察させて頂きました。

コミュニケーション教育は、豊岡市さんが全校で行っている、公教育として画期的な取り組み!

以前からとても注目しており、先日の一般質問でも取り上げました。

ぜひ自分の目で見てみたい!
と、視察を申し込み、お受けいただきました。

ご担当の皆様、学校の皆様、本当にありがとうございます!!!

以下、視察レポートです。

■豊岡市立五荘小学校6年生のコミュニケーション授業

★公開授業を見学

見学させていただいたのは、中学生まで連続して行われる授業の第1回目。

この日の講師、演出家・ワークショップデザイナーの田野邦彦さんは、
「初回だから楽しく!」を心がけたそう。

とにかく終始、子どもたちの笑顔と笑い声であふれていたのが、印象的でした。

授業スタート!

まず、
「給食何食べたー?」
「先生って呼ばないで。『たーにゃ』って呼んで」

気さくな声かけから、「普通の授業とは違うぞ」ということが伝わってきます。

しょっぱなから、子どもたちの心をがっつり掴む「たーにゃ」さん!

(私も、このブログでは敬意をこめて、「たーにゃ」と書かせていただきます!)

「今日はゲームをしまーす」
と、たーにゃが言うと、子ども達からは
「イェーイ♪」
と、素直な反応が。

ただし、
「いつもとは違うルール」
「難しいところもあるから、みんなで乗り越えて」
と加え、コミュニケーションが大事だということが暗に伝わってきつつ、ゲームスタート!

①ジャンケンゲーム

・1対1で、次々相手を変えながら、ジャンケン
・「いつもと違う」のは、「あいこ」が目標、というところ!
・5人と「あいこ」になったら終了

…というルール。

実際やってみると、最後に残った2人が、「あいこ」に。

そこで、すかさず、たーにゃが、

「最後まで残ると、ちょっと恥ずかしいよね」
「でも、最後ということは、一番多くの人と関わった。一番多くコミュニケーションをとったから、ふたりの勝ち!」

とフォローの言葉をかけます。

「最後まで残ったから、負けだな」
と「いつも」のように皆が思っていたところ、「残ったら勝ち」という、価値の逆転に。

「目的は、勝ち負けじゃない」
ということがまさにわかるようになっていて、感動しました。

また、ジャンケンの順番も、男女男女で交互にするルールがあり、同性同士で固まらない工夫も、この年頃の子どもたちには必要なことだと感じました。

②「たから」さがし

続いて、「た」「か」「ら」が頭につく3つの言葉を探すゲーム。

ただし…

・ペアを組んだ相手と「右手の拳(グー)」を合わせながら
・教室にあるもの、教室の外に見えるもののみOK

という制限つき。

(その前段として、ゲームの前に、右手の拳を合わせたまま、ジャンプしたり、そのまま歩いたりして、慣れていきます。「右手拳をあわせる」という慣れない動きも、遊びの中で展開していくので、子どもたちは笑い、楽しみながら、自然と慣れていっていました)

さらに、見つけた言葉が他のペアと「かぶらない」と、「褒められる」というルールも追加されます。

実際にやってみると…

ペアの相手と、「右手を合わせる」という難しさを抱えながら、教室を歩き回り、頭をひねったり、あーだこーだ話しながら、ことばを探す子どもたち。

発表では、
「なるほど!」
と思う言葉もたくさん出てきて、それ自体面白いのですが…

それだけでなく、「違う」ことが評価されるルールによって、

・一人一人違うこと
・同じようで、実は、価値観や見ているものが違うこと

が、ゲームを通して自然と入ってくるようになっています。

③寄せ鍋ゲーム

休憩中も、子どもたちの笑い声はやむことなく…

テンションの高いまま、次のゲームへ!

まず、たーにゃが一人一人に、紙を渡します。
「他のひとに見せちゃダメ」と伝えながら。

その紙には、一人一人違う「食材」が書かれています。

その後、4人組をつくり、
紙に書かれた食材で、話し合い。
「世界一美味しい一品料理」
を決める!というゲームです。

その料理名を発表するのですが、
そこでも、爆笑が起きたり、
聞くからに美味しそうだったり、個性が爆発!

続いて、人数を8人組に増やし、
「世界一美味しいコース料理または定食」
で、3品を作り上げるゲームに展開。

他のゲームでも、誰かが発表するごとに
「素晴らしいね!」
などの賞賛の言葉を発していたたーにゃは、
ここでも
「おいしそう!」
「バランスいいね」
など、たくさんのほめ言葉を発します。

それが、表現や発表のしやすさ、安心な場づくりにつながっていると感じました。

中にはまとまらず、発表の最中も話し合うグループもありましたが、
「失敗する体験」ができることこそ、コミュニケーション教育で重要、とのことでした。

これが初回の授業なので、このあと回数を重ねるごとに、様々なカリキュラムがあり、子どもたちがどんなふうに成長していくのか、とても楽しみだなあと思います!

。。。

とにかく盛り上がり、あっという間の2時間。
休憩は5分だけ、
子どももたーにゃも、なんてパワフル!

圧倒される2時間でした。

★意見交換

公開授業ののち、同じく見学に来られた他自治体の方や、研修に来られた市内の先生方と、意見交換や質問の時間がありました。

ゲームを通じてどんな狙いがあるのか、
環境を変えながら子どもを瞬時に、かつじっくり「観察」していること、
それによって、予定していた内容をアレンジすること等…

うーん、すごい、なるほど、と唸るお話。

他の皆さんからの意見や質問も参考になりました!

最後に、教頭先生からのご挨拶での、
「わかりあえないことから」始める、
という言葉にも、とても感銘を受けました。

簡単に、「わかるようになれ」「理解しなさい」というのではなく、
(その結果の同調圧力や、暗黙のルール等ではなく)
まずは、「一人一人ちがう」というスタート地点を共有し、そこから「わかりあえないからこそ、どうするか?」をともに考えていくが、
これからの社会では本当に必要とされるのだと思います。

また、教育委員会の方のお話では、
実際に、
コミュニケーション教育を受けた子どもたちは、
「話し合いが好き」
だと実感できるとのこと!

やはりコミュニケーション教育がいかに必要かを、痛切に感じました。

ありがとうございました!

■城崎温泉、城崎国際アートセンターへ

片道にかなり時間がかかることもあり、
何より、平田オリザさんや中貝前市長の著書を読んで、
ぜひ豊岡市の他の所へも行ってみたい!
と思いたち、前日に一泊して、他の場所へも足を運びました。

★城崎国際アートセンター

通称KIAC(キアック)。

 

城崎国際アートセンター(KIAC)は、兵庫県豊岡市が運営する舞台芸術を中心とした芸術活動のための滞在制作(=アーティスト・イン・レジデンス)を行うアートセンターです。旧・城崎大会議館をリニューアルし、2014年に開館しました。公募等で選ばれた滞在アーティストによる創作活動を支援する他、公演、試演会、公開稽古、ワークショップ、トークイベントなどの地域交流プログラムを一般公開しています。

http://kiac.jp/

県立のホールや保養所が廃止され、それを市が買取ることになり、
アーティスト・イン・レジデンスの施設としてリノベーションした施設です。

あるものを最大限活用

「できるだけ、あるものを再利用する!」
という方針で、
元の宿泊施設の備品をほぼそのまま使っていたり、
キッチンの鍋、食器などは、廃校になった学校から持ってきたり。

(まだまだ使えるのに壊そうとしている練馬区立美術館と、つい対比してしまいます…汗)

若者の間で、昭和レトロが流行っているらしいので、喜ばれそうな装飾が数々あり、惹かれましたが、外国人の滞在者にも好評とのこと!

スタジオ

元宴会場など、いくつかの部屋は、スタジオに転換。
防音室を備えたスタジオでもあり、機材の貸し出しも行い、収録にも対応しています。

ホール等

1000人収容の大ホールは、
利用しやすいように舞台位置を変えて広くするなど、発表しやすく改修されています。

この日は、市内小学生による、こいのぼりの展示が開催中でした。

時代に合わせて、トイレを間引く=減らす改修もしています。

お風呂は温泉で

シャワールームもありますが、基本は、温泉街の外湯を使ってほしい、という方針、

町民と同じ120円!
という価格で利用できます。
120円で温泉、うらやましいですね…!

まちに出ていく活動

アーティストが、街に出て行ってリサーチしたり、このままだと廃れてしまう文化をヒアリングし、それを舞台にすることもあるそうです。

住むだけでなく、いかにまちに関わっていくか。

練馬区も、美術館改築とともに、アーティストインレジデンスを、練馬区もやろうとしていますが、

多様な問題、複雑な問題があること、
異質さと出会い、話し合っていくこと、

といった視点が、とても重要だと気づかせていただきました。

ご対応くださった皆様、本当に本当に、ありがとうございました。

★城崎温泉

「まち全体でおもてなしする」という城崎温泉の特有の理念を体感してみたく、あちこち歩いたり、泊まったりしたのですが…

想像をこえて、素晴らしいまちでした!!!

「外湯」等の伝統システム

たとえば、「外湯」という仕組み。

旅館には大きな温泉はつくれない、土産物屋も作れない、等細かな決まりがあり、
観光客は「外湯」と呼ばれる、街中の複数の温泉施設をめぐるのが基本。

浴衣姿の観光客が、あちこちに見られます。

お土産屋さんは、17時頃に一度店をしめ、
夕飯が済んだ20-22時に、再度店を開けます。

外湯も23時まで営業しているので、夜も観光客がまちを歩き回り、まちにお金を落とし、地域経済をまわすシステム。

まさにひとつの共同体、コモン。

それを支え合ってきた伝統が続いていること、本当にすごいと思います。

宿の方ともたくさんお話させていただき…
こんなに、宿であたたかい経験をしたのは、人生で初めて…!

文化で心が豊かになること、必要なこと、
城崎を守ってきた歴史、
(平成の大合併まで、独自の議会があったそう!!)
地方の消滅の危機感など…

住んでいる方にしかわからないお話をたくさん聞かせていただきました。

コミュニケーション教育についても、
今の子どもたちに必要、重要、とのこと。
これも住民の方から伺えたのが貴重でした。

★兵庫県立コウノトリの郷公園&豊岡市立コウノトリ文化館

 

豊岡市は、コウノトリが最後まで生存していたまちでもあります。

一度は絶滅したコウノトリですが、人工繁殖に成功。

コウノトリと共生する、
そのために、
環境を変えていく必要がある……

そこで、減農薬無農薬、有機農法を広め、田んぼに生物多様性を取り戻すこと、

そのための環境教育をすること…

「コウノトリの復活」が、様々なところへ、広くつながっていることが、よくわかりました。

一度は絶滅しましたが、今は少しずつ増えて、
なんと台湾や名古屋にまで渡っているそう!!!

実際に、初めて、自分の目で、コウノトリを見られて、感動!
卵をあたためたり、餌をつついたり、羽ばたいているコウノトリ…

何より、その自然の美しさ、
360度ぐるりと豊かな山々、みどりに囲まれて、
心が洗われる、素晴らしい景色にも感動しっぱなしでした。

(駅前の交番には、交通事故情報ではなく、コウノトリ情報の掲示板が!コウノトリをこれでもかと推すまちの姿勢が、まちのいろいろなところで見られました)

★ほかにも…

ほかにも、平田オリザさんが学長を務めた芸術文化観光専門職大学や、豊岡市駅前の公共施設も、短いですが足を運び、勉強になりました。

。。。

個人の視察で、ここまで遠方に来たのは初めてでしたが、来たからこそ感じたり、出会えたりするものがたくさんあり、本当に有意義でした。

議会で活かせるように、頑張ります!!!

ご対応いただいた皆々様、本当にありがとうございました。