【決算】中高生以下の妊娠出産へのサポートを!【高口質疑】
※2022/9/27、練馬区議会・決算特別委員会、「保健福祉費」での高口質疑です!
① 14歳以下の妊娠、練馬区の多さ…
東京都福祉保健局発表の資料によれば、
2014-2020年度の7年間で
14歳以下の母親から生まれた子どもの数が、東京都で25人、
そのうち練馬区だけで8人と、約3分の1を占めます。
2020年度だけでも4人います。
23区で比較すると、7年間で
- 1人の区が7区
- 0人の区が14区。
0の区が多数のなか、
練馬区が8人というのはやはり多い。
世田谷区1人、大田区0ですので、
人口が多いからとも言えません。
市町村でも、7年間に6市で1人ずつです。
Q1:区の認識、理由、分析
練馬区としての見解や、理由をどう捉えているか、まず伺います。
練馬区A
- 令和2年は4人、令和元年は1人、平成30年は0人
- ちなみに令和3年も0人
- 多いとのご指摘ですけども、複数年の平均で考えますと年1人程度でございます。
- 練馬区が特段多いという認識はございません。
- また、理由につきまして年齢区分では15歳未満、その上が15歳~19歳、その上が20歳~24歳となっております。
- 例えば15歳未満だけでなく、10代の出生数を見ますと、練馬区より多い自治体が都内にも複数あります。
- 令和2年は偶然練馬区が多かっただけでそれ以上でもそれ以下でもないと認識しております。
- そのため練馬区独自の要因があったとは考えておりません。
② 裏に隠れた課題
この問題を私に教えてくれたのは、子ども支援に取り組むNPO職員です。
その方の総合的な分析では
- 背景に、家庭内トラブルが考えられる
- 家から出たいケースや、虐待の可能性もある
- 問題のある家庭に、行政が介入できていないのではないか
- 誰にも言えず、中絶できない妊娠中期に入ることもある
- 直前まで気づかず、公園等で出産する墜落産や虐待死事件につながる可能性もある
- 出産しても、学生の保育指数は、就労より優先度が低く、
- 保育園に入れければ退学せざるを得ず、学歴が中卒になるため、キャリア支援が必要
と指摘しています。
区内の助産師にもこの件を伺ったところ、
- 年齢が低いほど、性交や妊娠についての学習ができていない
- 避妊についても十分な性教育が行えていない
- また、親から虐待や性的虐待を受けて児童養護施設に保護されている子は、施設で管理する体制がないため
- →保護中に妊娠がわかった場合、妊娠継続するなら自宅に帰るしかないが、難しい
- →帰されても、親からの虐待等で居場所を失う
- →親がいない場合、中絶しかない
…という状況を指摘しています。
これらはそもそも、
「高校生以下の子どもは妊娠しない」
という前提で、制度ができているのではないかと思われます。
現実として、14歳以下の妊娠があるのに、
社会がその子たちを見ようとしていない。
ないものとして考えている。
ないことだから、予算も必要ないと思われている。
若年層の中絶率が高いデータもあり、
1人いるだけでも、その1人の下に、大勢の予備軍になる子どもがいる。
そのことを重く受け止めるべきです。
務費でも指摘しましたが、
まずは包括的性教育、セクシュアリティ教育に
緊急に全校で取り組むべきです。
Q2:対策を
そのうえで、中高生以下の妊娠・出産については、
- 相談や保護の体制
- 居場所づくり
- 長期的な産後ケア
- キャリア支援等
子ども家庭支援センターや児童相談所、教育委員会、学校、民間支援団体などと連携した
幅広い対応が必要と思います。
練馬区として、今後どのような支援をしていくのか伺います。
練馬区A
- 若い妊婦の方、特定妊婦の方の支援につきましては、現在保健師によります電話や訪問による相談、または妊婦健診や通院の付き添いを行っております。
- 安全に出産ができるまで支援を行うとともに産後の相談なども行っております。
- また、各保健相談所には妊娠期の健康管理や産後の子育ての相談にのる妊娠・子育て相談員がおり、電話や来所で相談することができます。
- 10代20代の妊産婦の方を対象に、石神井および大泉の保健相談所では、平成27年から若年ママの会を開催しております。
- 保健師が悩みの相談にのったり、参加者同士でコミュニケーションをとりながら、ネットワークづくりをするお手伝いをしております。
- 妊婦面談や産後の赤ちゃん訪問、乳幼児健診などチラシにより周知しまして、だいたい月1回程度開催しており、5人程度の参加者がいらっしゃいます。
- 今後とも妊婦面談や赤ちゃん訪問など面談の機会を捉えて適切な支援に繋げるよう行ってまいります。
★妊娠・子育て相談員→常勤化を
適切な支援という点で、各所との連携が重要だと思います。
各保健相談所に妊娠・子育て相談員が1名ずついますが、
豊玉、光が丘、石神井を除く3か所は、会計年度任用職員です。
妊娠出産、産後ケアは1年で収まるものではなく、
フィンランドでいうネウボラ制度、切れ目のない支援のためにも、
しっかりと常勤職員として位置付けるよう求めます。
(※質疑したかったのですが時間がなく要望にとどめました…)
③ 妊娠出産の費用→補助を
来年度、高校3年生まで医療費無償化となりますが、
そもそも妊娠出産は保険適用されないので、自費のままです。
「検査薬を買うお金がなく、出産直前に太ったと言われて気づいた」
という話は10代からよく聞くもので
お金のハードルで病院に行けず、妊娠が進む状況もあると聞いています。
避妊や妊娠・出産関係の費用を無料にする、
せめて高校生まで無料にするくらいでないと、
思春期の女性の健康、安全が守れません。
10代のうちから、セクシャル・リプロダクティブヘルス&ライツ、
自分のことは自分で決める考え方を身に着ける。
将来子どもがほしいと望んだ時のためにも
思春期の女性のからだを守ることが大切です。
Q3:保険適用外の費用助成を
そもそもすべての妊娠・出産費用についても助成を拡充すべきと思っていますが、
まずその一歩として、高校生年代までの妊娠・出産で
保険適用外の分の費用を助成することについて
区の見解を伺います。
練馬区A
- 出産に要する経済的負担を軽減するため、国は来年度から出産一時金を増額する方針を示しました。
- こちらにつきましては、引き続き国の動向を注視してまいります。
- また、若年妊婦の方の支援ということで、国では、令和2年度から予算立てをして支援を行っております。
- 地域においては、例えば保健相談所、子ども家庭支援センター、場合によっては福祉事務所、こちらが継続的な支援を行い、都道府県レベルにおいては母子生活支援施設などを設置しまして、支援を行っております。
- 実際、都内にも特定妊婦の方などを対象に支援を行っておる施設があります。
- 産前1か月から産後2~3か月の間まで、無償で生活の場や食事などの提供が受けられる施設がございます。
- これまでも国・都・区で取り組んでまいりましたので、引き続きこの取り組みを進めてまいります。
- そのため出産費用を無料にするという考えはありません。
支援の充実を!
中高生の妊娠の場合は、ぎりぎりまで相談できなかったり、誰にも言えなかったり、あるいは家庭のトラブルだったり、複合的な課題を抱えていらっしゃるケースがあると思います。
そのあたりもしっかりと視野に入れて、支援にあたっていただきたいと要望します。