ハリーポッター施設は「博物館類似施設」?高さ、景観、補助133号線の問題も…/練馬区議会・決算、高口質疑!

*練馬区議会・決算特別委員会「都市整備費」の高口質疑Part2です

★景観計画の問題①高さ

「練馬区景観計画」によれば、としまえんは「石神井川景観軸」にあたり、
「水辺と一体となったオープンスペース」
などが、景観まちづくり方針に掲げられています。

他の景観ゾーンと重なる場合、こちらが優先される、最優先の位置づけと伺っています。

景観計画の基準では、「高さ・規模」の項目で
「周辺のまちなみとの調和に配慮し、著しく突出した高さの建築物は避ける」
とあります。

しかし今回、ハリーポッターの施設は高さ19メートル。
建築制限20メートルめいっぱいで、東京ドーム1個分とも称される巨大な建築物です。

周囲は第一種低層の10メートル制限の住宅街で、周囲との「スカイラインを整える」というガイドラインにも抵触しそうです。

また平成29年作成の「練馬城址公園基本計画作成委託報告書」では、
「高台は周囲を望むことができ、シンボル性や、展望台としての機能を発揮」とありましたが、
今のハイドロポリスにあたる高台「矢ノ山」よりも、建物のほうが高く、視界が完全に遮られます。

【Q1】高さに課題アリ!

景観計画としても、練馬城址公園の整備の観点からも、高さという点に課題があると思いますが、区の見解を伺います。

【区回答】(開発調整課長)
  • としまえん駅周辺のエリアで、10階建てを越える高さ20メートル~30メートルのマンションが多数ある
  • 建物配置については、隣接地より一定の距離を設けていることから、著しく突出した高さとは言えないものと考える

★周囲はほとんど10メートル制限!

駅前には高い施設もありますが、北側から一帯はすべて住宅街で、ほとんどが周りは第一種低層の10メートルの区域に囲まれています。

今後の練馬城址公園の見晴らしという観点でも、この巨大建築物が大きな課題となるということは、指摘しておきます。

 

今後協議が始まる際は、ガイドライン計画基準にそうよう、しっかり指導頂きたいと要望いたします。

 

★景観計画の問題②圧迫感

また、景観計画には「公共空間からの見え方に配慮し、圧迫感、威圧感を軽減するように努める」とあります。

【Q2】圧迫感アリアリ!

相当圧迫感のある建物だと思いますが、この点の見解も伺います。

【区回答】(開発調整課長)
  • (景観計画の)形態意匠の項目
  • 事業者から「景観条例第16条」に基づく「大規模建築物の建築等に係る事前協議書」が提出されてないことから、区では現在詳細を把握してない状況
  • まちづくり条例の事前届出書の資料によりますと、建物の外壁を河川、隣接地より一定の距離を設けていることから、圧迫感の軽減が図られているものと考える。
  • 区は、事前協議書が提出され協議が必要と判断した際には、景観計画の基準を踏まえ指導してまいります。

 

★景観計画の問題③緑化

一定の距離があるということですが、その近くに行くわけでもあり、建った時に圧迫感を感じることは間違いないと思います。19メートル、縦横も相当大きな建物です。

それから、緑化については、「屋上や壁面の緑化を積極的に行う」という基準がありますが、建物の高さを抑えておけば屋上緑化なども考えられたと思いますが、今の設計を見ると屋上緑化はできない構造とのことです。

18000㎡以上の伐採届が出て、みどりの激減は確実です。

そのなかで、現在、区民からは、「今ある木を、近隣や練馬城址公園部分に植え替えてほしい」という要望もあがっており、協力するという造園業者などもいると聞いています。

こちらもあわせて、区の検討や協力を要望したいと申しあげます。

 

★博物館…じゃないよね?

事業者はこちらの施設を、「博物館またはこれに類する施設」として申請をしようとしていますが、公式プレスリリースによれば、「体験型エンターテイメント施設」とされています。

【Q3】「博物館類似施設」とは?

  1. 「博物館類似施設」の定義、
  2. 東京都に指定の博物館類似施設のなかに、今回と同じようなものが他にあるのか?

2点、伺います。

【区回答】(建築審査課長)
  • 「建築基準法別表第2」の中に、「図書館・博物館その他これらに類するもの」という記載がある
  • このうち、「その他これらに類するもの」については、建築基準法の中で定義しているものはない
  • 建築基準法上の用途は、建築時の主要形態や状況などから、建築主事が判断
  • 東京都のHPには博物館類似施設の一覧等が載っている
  • この中には郷土資料館・歴史館などがあり、芭蕉記念館とか佐伯祐三アトリエ記念館など画家や作家などを限定した施設もある。
  • 文化庁HPでは登録博物館・博物館相当施設・博物館類似施設の例示が掲載されていますが、これらは博物館法などに基づく分類
  • 建築基準法ではまた別の視点で判断
  • この施設は建築確認は東京都の扱いになるので東京都の主事が判断する
  • 施設内外に様々な展示物を配置し、来館者が観覧できる施設を、建築基準法上の博物館その他にこれらに類するものとして判断することになると思われる

★郷土資料館や美術館がほとんど…

基準法では、定義のない施設になるということです。

練馬区では、「博物館類似施設」はほかに、「ふるさと文化館」が該当するのですが、資格ありの学芸員が7名います。他区でも、郷土資料館とか美術館とかそういったものがほとんどで、学芸員がいたり、教育施設となっていたりします。

そういうものと比べて、「体験型エンターテインメント施設」と公表しているものが、「博物館類似施設」と果たしていえるのか、疑問です。

★補助133号線ができるまで、練馬城址公園は整備できない…?

民間施設は2023年春に完成の予定ですが、そうなると、現在工事の搬入に使われているトイザらスの部分も、使えなくなるのではないかなと思っています。

【Q4】工事は何年かかる?

北側も道が狭いため、

  • 補助133号線が完成しない限り、練馬城址公園の工事ができないのか?
  • 補助133号線の完成まで、最短でも何年かかると区は見込んでいるのか?

2点、伺います。

【区回答】(開発調整課長)
  • 補助133号線の整備が行えない状況でも、豊島園通り等を活用して、練馬城址公園の整備は実現可能と考えている
  • 練馬城址公園は東京都において現在整備計画の検討が進められている
  • 都は公園整備を進めるにあたり、工事の進め方等も念頭に置きながら検討を行っているものと考える
  • 開発事業者は、現在、都をはじめ関係機関との協議を進めている
  • 区はこうした関係機関との協議の状況を事業者に確認しながら、工事による影響が軽減されるよう協議をしていく
【区回答】(交通企画課長)
  • 補助133号線の目白通りから補助172号線の区間は、都市計画道路の第4次事業化計画の優先整備路線に位置付けられている
  • 施行者である東京都が現在事業化に向けた準備を進めていると聞いている
  • 完成までの時期は、東京都から情報を得ていないが、
  • 一般的には、事業化から事業認可の期間、10年程度は設定されると考えている

【Q5】豊島園通りから、どう工事するのか?

豊島園通りが可能とは、どのように可能なのか教えて頂けますでしょうか。

【区回答】(開発調整課長)
  • 南側のエリアの工事は現在、今回の計画地を含めて計画が進められている
  • 今回のスタジオツアー計画の中には、南側に通路の計画がある
  • こちらの通路の活用等も含めて、東京都と協議が進められているものと思う
  • そうしたことから、豊島園通りからの流入、通行等も配慮しながら計画がすすめられるものと考えます。

★民間施設優先で、公園整備にしわよせが…

総合すると、(豊島園通りぞいに)出入り口ができたときに、ハリーポッターの施設の園路を使って、工事車両を運び込んでいくことは可能と考えている、ということだと思いますが、

そうすると、当然民間施設がオープンしたあとは営業が優先で、営業外だったり、配慮しながらということで、営業が優先となるのは間違いないかなと思います。

かつ、補助133号線は標準で10年ということで、一体的に公園整備をしていれば、こんな風に民間施設が先行して、公園整備にしわ寄せがいくということはなかったと思います。

整備が遅れるなら、今、「プール営業を続けてとしまえん100周年」をという要望がありますが、それも事業者に働きかけて頂きたいと要望致します。

是非立ち止まって、一度区民とともに計画のあり方を考え直してほしいと要望します。