放射性物質に汚染された芝生養生シートをなくす…1年以上公表せず、行方も不明のまま
4/23、文教児童青少年委員会の報告です。
放射性物質に汚染された芝生養生シートの亡失と、「調査委員会」報告書
これまでの経緯
- 2011年11月:東日本大震災ののち、中村小学校で使用していた芝生養生シートのうち、3枚が放射性物質に汚染
- 8000ベクレル/kgを超える濃度検出
- 担当:施設給食課(現・学校施設課)
- 2012年2月~:このシートを、練馬区役所内で保管
- 練馬庁舎地下1階「PCB保管庫」にて
- PCB=ポリ塩化ビニフィール:毒性があり、法令で禁止
- ブルーシートで覆い、ひもで結束
- 環境省に、「指定廃棄物」として指定申請
- 担当:施設給食課(現・学校施設課)
- 2016年6月:シートをダクト裏に移動
- 立ち入り禁止のテープを撤去
- 担当:総務課
- 2017年2月:ダクト裏にあることを、職員が確認
- 清掃業務受託事業者が、ワックスがけ
- 乾くまでの間、シート等を保管庫の室外に移動
- 担当:総務課
- 2017年3月:書庫用の棚を設置
- 総務課職員は、シートを確認せず、施設給食課に連絡せず
- 庁舎レイアウト変更を行う
- この時期に、なくなった可能性が高い
- 2018年12月~:環境省からサンプル調査調査の依頼
- 保管場所を確認→見当たらず
- 環境省に報告
- 保管・管理に関わった区職員等に聞き取り
- 2019年2月:「誤廃棄した可能性が高い」と推測
- 2019年5月:「調査委員会」を設置
- 保管・管理方法、経緯、環境への影響等について、調査・検証
- 2020年4月:報告書がまとまったため、内容を公表
調査・検証の結果=不明
★誤廃棄の可能性→低い
- 事業者にも確認
- 中間処理施設の粉砕機に入らない大きさ→誤混入の可能性はない
- 産業廃棄物→記録がない
- 一般廃棄物→記録がない
★持ち去りの可能性→低い
- 10m×12mのシート
- 結束時点で、1m×1m×1.2mの大きさ
- 重さは1つ30kg=3包で90kg
- 「移動させることも容易ではない」
★庁舎内放置の可能性→低い
- 上記の大きさ
- 目立つもので、誰も気づかないことは想定できない
=「処分先、所在については、確定することができないと結論」
健康や環境に影響は?
★誤廃棄された場合
- 放射線濃度の計算式
- 報告書「健康や環境に影響を与えるものではないと考える」
- PCBも、特殊な国の施設で焼却処理をしなければならない
=そこも問題ない、との区の見解
★放置されている場合
- 健康を害するには、「シート半径1mに連続して148日間以上」いること
- 線量限度年間1ミリシーベルトは超えない
*そうはいっても、どうなっているかわからないこと、今回のずさんな管理が明らかになった以上、不安は消えません…。
*「年間1ミリシーベルト」という点をどう評価するか、という点もあります。
亡失の原因は…「区の保管のずさんさ」
①危機意識の欠如
- 一義的な管理責任は、「施設給食課」
→2015年7月以降、保管庫を確認せず - 保管庫の管理担当は「総務課」
→場所の提供と認識し、管理意識なし
→放射性物質を保管・管理しているという「危機意識の欠如」が「根本的原因」
②担当課同士の連絡・調整の曖昧さ
- 両課で、綿密な連絡・調整が行われなかった。
③具体的な管理方法を取り決めていなかった
- 総務課が、ワックスがけの際、事業者に指示・確認していれば、防ぐ可能性はあった
*そんなことがあるのか?という驚きしかありませんが…。
区の管理責任は?
- 廃棄物処理法が適用されるとまでは言えない
- 調査報告書「が、管理責任を果たさなかったことは非常に重大」
- 「重く受け止め」「再発防止を徹底」「厳格に対処」
再発防止のために…
★調査報告書の再発防止策3点
- 管理責任と明確化と確実な引継ぎ
- 定期的な確認の実施と表示
- 廃棄時の確認の徹底
★他の放射性物質の確認を!
- 学校から出た放射性物質で区が保管しているものは、このシートのみ
- あとは、敷地内に埋設されている学校がある
- 2011年から9年たち、今回の問題→保管や引継ぎ状況を、再度確認すべきでは?(高口質疑)
- 区「各学校で適切に引継ぎしていると思うが、重大事案が発生した→学校に情報提供したい」
- 区「埋設したものは測定→基準値以下」
- 区「PCBは区役所地下2階で施錠、適切に管理」
★適切な情報公開も必要!
- 紛失が発覚してから1年以上、区民、議会に報告がなかった
- 紛失時点+調査委員会設置時点で、公表すべきだった
- 透明性が、危機意識を高め、再発防止につながる
- 区「その都度の公表、選択肢にあったかもしれない」
★調査委員会、5人中4人が身内…
- 4人は、区の管理職
- 区「国立科学研究員、弁護士の助言」を受け、「丁寧にヒアリング」
- …としているものの、第三者委員会の設置などをし、透明性を高めるべきではないでしょうか?